東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

被ばく大国

2013年12月19日 | インポート

1492647_559785887429186_459000653_o 低線量の継続的被曝の影響を研究した米国ピッツバーグ大学のアーネスト・スターングラスは、核実験と原子炉からの放射性廃棄物による人体の健康、特に発達中の胎児や幼児への影響について広範な疫学調査を行い、大気中核実験が行なわれた50年代に死亡率が上昇していることつきとめ、核実験が多くの子どもの命を奪ってきたことが明らかにした。
 核開発を強固に押し進めていた米国政府は、この研究を覆すためにジョン・ゴフマンに惜しみなく人材と資金を提供して研究させた。しかし、ゴフマンは、核開発に関わった労働者のカルテなどを丹念に調査した結果、ICRPよりスターングラスの被曝評価の方が正しいという結論に至った。期待を裏切られた米国政府は彼を要職から追放し、社会的に葬り去ろうとしたが、その後も彼は市民科学者として低線量被曝の危険性を主張し続けた。
 ゴフマンは、被曝影響の感受性が年齢に依存することをも明らかにし、特に10歳以下の子どもの放射能に対する感受性は非常に高いということを立証した。
 さらに、米国統計学者ジェイ・グールドは、原子力施設の風下の市町村に住む人々の乳がん患者数を調べ、その相関関係を明らかにしたことで低線量の放射線被曝の影響、特に食品などを通じた内部被曝の危険性がこれらのデータによって明らかにさた。
 水と大気と食品を通して放射性物質を体内に取り込むことによって生ずる内部被曝は、チェルノブイリの被害を研究することによってその実態がさらに明らかになってきている。その研究成果を生かそうとしない結果が、再び福島の子どもたちの被曝被害を引き起こしている。
 内部被曝の影響を考慮に入れていないICRPの定めた年間1ミリシーベルトの基準すらも守ることが出来ない日本は、自ら「被ばく大国」になろうとしている。
(最後の一葉・シロモクレン)