東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

政治家は…国家百年の大計を誤るな!

2013年12月10日 | インポート

特定秘密保護法が、相次ぐ強行採決という「数の奢り」によって、審議不十分なまま自民党・公明党の賛成多数によって可決、成立しました。まさに「国家百年の大計を誤る」暴挙です。共同通信社の世論調査によれば、特定秘密保護法の「修正・廃止を」と回答した人が82%に上ります。

ある有名な演説があります。一部抜粋となりますが紹介します。

 かの欧米のキリスト教国、これをご覧なさい。彼らは内にあっては十字架の前に頭を下げておりますけれども、ひとたび国際問題に直面致しますと、キリストの信条も慈善博愛も一切蹴散らかしてしまって、弱肉強食の修羅道に向って猛進をする。これが即ち人類の歴史であり、奪うことの出来ない現実であるのであります。この現実を無視して、ただいたずらに聖戦の美名に隠れて、国民的犠牲を閑却し、日く国際正義、日く道義外交、日く共存共栄、日く世界の平和、かくのごとき雲を掴むような文字を列べ立てて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなことがありましたならば、現在の政治家は死してもその罪を滅ぼすことは出来ない。
 我が国民は実に従順であります。言論の圧迫に遭って国民的意思、国民的感情をも披瀝することが出来ない。ことに近年中央地方を通じて、全国に弥漫しておりますところのかの官僚政治の弊害には、悲憤の涙を流しながらも黙々として政府の命令に服従する。政府の統制に服従するのは何がためであるか、一つは国を愛するためであります。また一つは政府が適当に事ぶるを解決してくれるであろうこれを期待しているがためである。
 しかるにもし一朝この期待が裏切らるることがあったならばどうであるか、国民心理に及ぼす影響は実に容易ならざるものがある。しかもこのことが、国民が選挙し国民を代表し、国民的勢力を中心として解決せらるるならばなお忍ぶべしといえども、事実全く反対の場合が起こったとしたならば、国民は実に失望のどん底に蹴落とされるのであります。国を率いるところの政治家はここに目を着けなければならぬ。

Dsc01831 日中戦争のさなか、1940年の国会で、立憲民政党の斎藤隆夫が行った「反軍演説」と呼ばれるものです。当時の厳しい言論統制の中で、これほど痛烈に帝国主義を批判したことに驚きます。そして70年以上経った今、まさに現在の政府に訴えたいことそのままです。

斎藤隆夫はこの演説の翌日、小泉又次郎(小泉純一郎元首相の祖父)らに離党勧告されこれを受諾、結局、国会から除名、議事録も削除されました。迫害はさらに続き、自決用の短刀が送りつけられたこともあったそうです。3年前に公開され話題となった映画「武士の家計簿」の原作者で歴史学者の磯田道史氏は、「五年後のみじめな日本の破滅を予見するような演説であった」と『歴史の愉しみ方』(中公新書)で紹介しています。