東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

全国高校サッカー選手権大会

2013年12月12日 | インポート

Img_5740 福島県立富岡高校が全国高校サッカー選手権大会の代表に決まった。生徒は、原発事故警戒区域の母校に立ち入りできない。今は、3つのサテライト校に通学している。サッカー部も福島北高校内にある仮設校舎に通学して練習を重ねた。代表選手たちは原発事故当時中学生、富岡高校でサッカーがしたいと入学してきた彼らの活躍に期待したい。その福島の元気な子どもたちを被曝から守るのも行政、学校の大きな役割だ。
 被曝にしきい値はなく、可能な限りゼロにしなければならないのは常識だが、放射線の被曝限度は、ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を基準にしてきた。ICRPは原爆と原発を維持するために被曝基準をつくる組織だが、広島・長崎の被ばく者の深刻な健康被害が明らかになるにつれてその基準も厳しくならざるを得なかった。1954年では放射線作業従事者150msv/年、一般人15msv/年だったのが1990年からは、前者が20msv/年、後者は1msv/年になった。
 原発労働者でも年間20ミリシーベルトの大量被曝をする人はいないなかで、子どもたちの屋外活動による被曝を20msv/年まで容認するという国の政策は、命をかけて遺した原爆被爆者の被曝限度を冒涜するものでもある。まして、原子力規制委員会の田中俊一氏の「年間20msv以下までを許容した方が良いというのが、世界の一般的な考えだ」や福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一氏の「放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきませんクヨクヨしている人にきます」や「年間100msvを超えなければ、まったく健康に影響を及ぼしません」などの発言は許しがたいものだ。
 原子力発電所1基が1年間に生成する放射性物質は約1トン。広島原爆のそれは1キログラム。毎年、原爆の千倍の死の灰を原発は作っていることになる。死の灰の広がりもヒロシマでは爆心地から3kmの範囲だったが、チェルノブイリでは300km圏内に今も深刻な汚染が残っている。そのチェルノブイリでは20msv/年は、強制避難ゾーンである。物理学者の藤田祐幸さんが言うとおり「核兵器はひとつの都市を滅ぼし、原発はひとつの国を滅ぼす」なのである。
 福島に限らず、日本の子どもたちが放射線健康被害を避ける抜本的施策が求められている。