東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

沖縄と東京の温度差

2013年08月27日 | インポート
P1010958 今年も東京教組のオキナワStudy Tourが、8月16日~19日に行われました。参加者の感想の一部を紹介する。
 沖縄戦において住民にとって貴重な避難場所であったガマ(自然洞窟)を日本軍が使うために住民を追い出したり、最も危険な入り口付近に追いやったこと。各地で引き起こされた集団自決等々、毎回、講師の方々の話を必死でメモを取りながら、頭に入れるのに精一杯で、理解しきれないことも多いのですが、この学習会に参加すると、自分が今できることを少しずつでもやっていかなければという気持ちを持つことができます。
 佐喜眞美術館で、丸木位里・丸木俊さんの描いた「沖縄戦の図」を前にして語られた「南部への撤退の中で、住民たちが逃げて行く時、腐ってぱんぱんに膨らんだ死体を踏むと、踏み抜かれて破裂し大量のウジや肉片が飛び散る」「沖縄戦で、五体満足な遺体はほとんどなかった」というお話に心を揺さぶられ、また、朝鮮半島や中国、東南アジアで現地の方々に対し、日本軍が行った残虐な行為という、加害の歴史についても、自身が学ぶだけでなく伝えていくことの必要性を強く感じました。今、ネット上には、軍隊や戦争を美化し、中国や朝鮮半島に対して信じられない位の差別的な思想が溢れています。加害の歴史を認めず、差別や歴史認識に対する反論を徹底的に叩き潰し、議論すら許さないような風潮が広がっています。とても恐ろしいことです。
 普天間基地の名護市辺野古への移設計画も、宮森小学校へのジェット機墜落事故も他人事ではなく、私たち自身の今後に大きく関わってくるという気持ちを常に持ち、学び続けていきたいと感じました。沖縄は今も基地と隣り合わせ、危険にされられています。東京にいる私たちが、沖縄に関心を持ち続けることの大切さを痛感した今回の学習会となりました。

 沖縄と東京の温度差は、地元新聞「琉球新報」「沖縄タイムス」と読売・朝日・毎日・産経などの記事によってもはっきり表れる。例えば、
ゲン閲覧制限 沖縄戦体験者「戦前の検閲のよう」<琉球新報>
絵本作家の磯崎主佳さん(42)は「今回の閲覧制限は、必死の思いで語ってきた戦争体験者の声を封じる動きに見える」と話す。「漫画は原爆を体験した作者・中沢啓治さんの『どうしても伝えたい』という心の叫びだと思う。子どもたちにはその声や表現を受け取る自由がある。悲惨な表現を制限するのではなく、子どもが感じる恐怖や疑問を共に考えることが大人の役割だ」と力を込めた。
 一方、関西大の高作正博教授(憲法学)は、公立図書館で職員が特定の書物を廃棄したことをめぐる過去の裁判で最高裁が「著作者には自らの著作物を伝える利益がある。それを妨げる図書館の行為は違法」と認めた判決を挙げた。これを例に「何の議論や基準もなく閲覧できなくなることは、著作者の表現の自由や子どもたちの知る権利を侵害している」と説明した。

「はだしのゲン」 教育上の配慮をどう考えるか(8月25日付・読売社説)
 憲法は、表現の自由を保障し、検閲を禁じている。市民が広く利用する一般の公立図書館で蔵書の閲覧を制限することは、こうした観点から許されない。
 ただ、小中学校図書館を一般図書館と同列に論じることは適切ではあるまい。作品が子供に与える影響を考える必要がある。心身の発達段階に応じた細かな対応が求められるケースもあるだろう。
 下村文部科学相が「市教委の判断は一つの考え方。教育上の配慮はするべきだと思う」と述べたことはもっともである。

 小中学校図書館も公立図書館であり、子どもたちも市民である。
 東京が「井の中の蛙」にならぬよう、私たちは沖縄からもっと学ぶべきだ。