東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

「図書館戦争」を観た

2013年08月22日 | インポート

「図書館戦争」という映画を遅ればせながら見た。ベストセラーとなった有川浩の同名小説を映画化したものだ。

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映画の冒頭『図書館の自由に関する宣言』が画面いっぱいに映し出される。

図書館は資料収集の自由を有する。

図書館は資料提供の自由を有する。

図書館は利用者の秘密を守る。

図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵される時、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

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ストーリーは、まさに荒唐無稽。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を規制するための「メディア良化法」が制定され、監視権を持つ「メディア良化委員会」が発足し、不適切とされた図書等は、「メディア良化隊」による取り締まりを受け、没収され焼かれてしまう。こうした、検閲が正当化され、表現の自由が侵されつつある近未来の日本を舞台に、『図書館の自由に関する宣言』を元に図書館が独自に組織した自衛組織「図書隊」が読書の自由を守るために戦うというものだ。確かに荒唐無稽だが、「読書の自由を守る」「読書の秘密を守る」「表現の自由を守る」というコンセプトは素晴らしく、また、今の日本を見ていると、本当に荒唐無稽と言い切れるのか、恐ろしい気持ちにもなった。

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R0016692_3 さて、この『図書館の自由に関する宣言』だが、知らない方にとっては、映画の架空の宣言と思われるかもしれないが、実は戦前に思想善導機関として機能した図書館の歴史を反省し、1954年日本図書館協会が綱領として採択した「図書館の自由に関する宣言」である。図書司書の資格を持っている方は、必ず学んだはずだ。

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広島の原爆被害を描いた漫画「はだしのゲン」について、松江市教委が「描写が過激」 として小中学校に貸し出し禁止を要請したことが大きな波紋を呼んでいる。『図書館の自由に関する宣言』には、国民の知る自由を保障するため「図書館は、正当な理由がないかぎり、ある種の資料を特別扱いしたり、資料の内容に手を加えたり、書架から撤去したり、廃棄したりはしない」とある。