日々の記憶
建築家 筒井紀博のブログ
KIHAKU's blog



年末、仕事の関係でLAに行った際、兼ねてより気になっていたロデオ・ドライブにあるプラダ・ショップを訪れました。
設計したのはRem Koolhaas。2004年の作品。
いまや世界中が注目している建築家の一人です。

この建築の特徴はなんといってもファサードが無い点です。
通常、商業施設だと伝統的なファサードやガラスのショーケースなどが配置されているのですが、それらが全くない。
サインすらないので、知らない人が通ればここがプラダだとは気付かないでしょうね。
あえてあげるなら、エントランス床に設けられている楕円形の穴。この中にマネキンが置かれ、唯一ショーケース的な役割をしています。

内部空間は中央の大階段を中心としてシンプルな構成です。
そしてさまざまな空間がデジタル的な処理と建築的な処理によって漠然と仕切られています。

試着室の中までそれらの仕掛けがふんだんに用意されており、不思議な感覚に陥りますね。

そしてなによりも建築を建築の領域だけで終わらせようとしないそのエネルギッシュさを強く感じました。

しかしこの空間には感動がない気がしました。
商業施設の持っている宿命なのか?

ただただ楽しい空間であったと思います。

自分の持っているベクトルとは異なるベクトルで世界の頂点に君臨するコールハース。
そんな彼の空間を認めつつも、自分の目指すべき空間が再認識された時間でした。

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