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スプライト現象と武田康男さん

2016-12-04 23:42:36 | 宇宙
朝日新聞12月2日の第1面に、『一瞬の光「スプライト」とらえた』が次の写真入りで報じられました。

雷雲から宇宙に向かって赤い光が放たれる「スプライト」と呼ばれる現象が、茨城県鉾田市沖で
11月25日夜、確認された。「空の探検家」として知られる写真家の武田康男さん(56)が撮影
=ISO感度5000、シャッター速度3秒=に成功した。
スプライトは上空約50~90キロで、雷雲の上から宇宙空間へ向かう放電で窒素分子が発光する現象。
1990年代に解明され始めた。落雷と同時に起きるため、地上からは雷光のまぶしさで見るのも
撮影するのも難しい。
武田さんは「0・1秒足らず、目の錯覚かと思うほど一瞬だった。落雷数十回のうち1回現れるか否かで、
鮮明に撮影できてうれしい」と話す。
冬は茨城県や千葉県の沖合や、日本海でスプライトが現れやすくなるという。
気象予報士でもある武田さんは発生する時間や場所を予測し、チャンスを狙った。当夜は強い寒気が入り、
約200キロ先の海上に発生した積乱雲を4~5時間撮影し続けた。午後11時に発光し、数枚撮影できた。
オーロラやスプライトに詳しい福西浩・東北大名誉教授は「スプライトの撮影は雷雲からかなり離れた所
から狙う必要があり、チャンスは非常に少ない。円柱型とニンジン型の2種類があるが、両方の微細な
構造が撮影されており、大変貴重だ」と話している。(中山由美)

以前、NHKテレビ(?)で国際宇宙ステーションから撮影された雷雲から上方(宇宙に向かって)に
延びる赤い光のスプライトの映像を見ました。

スプライト現象とは?
「スプライト」は、雷雲の上から宇宙へ放電が起こることで窒素分子が光を放つ現象。
落雷と同時に起こるため、まぶしさゆえに地上からの撮影・確認は困難とされてきた。
別名は「超高層紅色型雷放電」。1980年代の終わりに偶然撮影され、90年代になって解明され始めた。

超高層雷放電は、高度20-100kmの成層圏・中間圏・下部熱圏(下部電離層)にかけて起こる、
放電による発光現象である。
この高度は大気密度が非常に低く、対流も少ないため、気象現象はほとんど発生しないとされていた。
ところが、1989年に雷雲(高度10km以下)の上で発光現象が起こることが観測された。
発光時間は1秒以下であり、数秒から0.5秒程度である。
下記のようないくつかの種類が存在する。
・スプライト(レッドスプライト) - 中間圏付近で見られるが、もっと高い所まで到達するものもある。
 主に赤系統の色をしている。
・エルヴス (elves) - 中間圏上部や熱圏下部で見られる。
 水平に広がる発光で、電離層とも関係していると考えられている。
・ブルージェット (blue jet) - 成層圏上部付近で見られる。青系統の色で、細長い形をしている。
 雷雲から上に伸びるため「上向きの雷」とも呼ばれる。
・ブルースターター(blue starter) - ブルージェットに先立って現れることがある発光。
 成層圏下部にみられる。
・巨大ジェット (gigantic jet) - 成層圏から中間圏に渡って伸びる巨大なジェット。
・地球ガンマ線放射 (terrestrial gamma-ray flash) - 雷雲上部での放電現象に由来する現象が、
 ガンマ線バースト (gamma-ray burst, GRB)として観測されているケースが指摘されている。
・電磁波バースト - 雷放電などに伴う電磁波放射が電離層あたりの上層大気の電磁的状態を大きく乱す現象。

今年1月30日仙台市天文台にて 

「空」から「宙」へ 講演会が開催され、聴講しました。

《空の探検家》武田 康男(たけだ やすお)さん
気象予報士。空の写真家。第50次南極地域観測越冬隊員(気水圏モニタリング研究観測)。
現在,大学で地学や自然環境を教えている。
また,小中高校や市民講座などで写真や映像を用いた講演を多数実施。
本や雑誌等の執筆・監修・写真映像提供,テレビ・ラジオ出演なども。
元高校教諭。


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