富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

景気後退とマイナス成長の違い

2019年10月08日 | Weblog

左のグラフで説明すると、右肩上がりの直線は、国民総生産の累積的な成長を表わしている。これが、マイナスに転じると、グラフは折れ線グラフのように下方に曲がるのではなく、Y=aX+bの函数のパラメーターといわれる成長率aの値が0に近づく。国民総総生産は、切片であるbの値が、基準年の総生産高を表わしてる。景気後退は、グラフのようにプラス成長していても、一定の範囲内で波動する現象として表される。政府は、2019年10月の月初に「景気後退」を確認している。これは、消費税が原因ではなく、アメリカと中国との貿易戦争の余波、イギリスのEU離脱などの影響によるものである。日本国内の内需には、個人消費の占める割合は高いが、耐久消費財の累積的な充足があり、日本の個人消費の動態では、世界経済の好況・不況の原因と考えにくい。個人消費についていえば、アメリカ、中国の個人消費が世界経済の好況か不況かを決めるボリュームをもっている。しかし、これも限界に達している。そうなると、中国、アメリカにおける国家の公共投資が、世界経済の牽引力となるので、例えば、北京の新国際空港の稼働のような人流・物流のロジスティクスの改善が、次の不況から脱出するためのキーワードとなる。日本の場合は、社会保障費と消費税とがリンクする仕組みが安定すれば、電柱地中化を含む「基幹の送電」の地中化、超電導化に進むことができる。その意味で、極めて大事なのは、景気の循環ではなく、Y=aX+bの函数で表される国民総生産の長期トレンドを間違ってもマイナスにしないことである。消費税と社会保障は、ともに「消費される経済」の枠のなかの循環である。政府の財政投融資、長期的な国土強靭化などのハードへの投資こそ、日本国の生命線である。そこに投じられれる長期低利の安定資金があるのは、さしあたり日本国だけである。野党系の消費税をめぐる議論は、愚民による愚論である。

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする