TMA講師代表の研究:SNSでは、今年中に中国は崩壊するという観測を意識的に流す輩がいる。理由を外貨危機に求めるグループ、あるいは、国内の主な国営企業の倒産、ゾンビ企業に求めるグループ、さらには、地方政府の財政の赤字に求めるグループなど、主に経済危機に根拠を見出した議論である。人民元の対ドル相場の下げがきついから、中国経済が崩壊するならば、日本円も2016年の後半は対ドルのレートを下げたから、日本経済も危機に向かっているのだろうか?私の議論も、プロのレベルではない。まして、SNSでは、プロは発信しない。中国の経済危機は、中国共産党が問題点を中共中央が認めている範囲内でも、あるいは、派生した悪材料がさらに出てきても、国民の所得水準が向上しており、政府による緊急措置が可能な独裁制が機能するので、世界第2位国内総生産の全体が、第6位、第7位へと転落すると想定している研究者は誰もいない。
こうした中国経済危機が世界経済を恐慌的な悪循環へと導くとは、国際通貨基金IMFも想定していない。ただ、中共中央が人民元による過度な通貨供給を行う余地も、SDRの通貨バスケットのなかにある限り制約された形になる。金融は、IMFにおける調整にルール化されており、危機が起こればIMFから中共中央へ助言、勧告がなされる。
いまあるのは、中国危機ではなく、韓国危機である。韓国の左傾化による南北協調の路線が台頭し、韓国の対外輸出を中国側がうけとめる戦略が構築されると、東アジアにおける日本の孤立化が進む。アメリカがそれを簡単に容認しないならば、ここに2017年は、東アジアの軍事緊張が一気に進む。