『本来無一物』・・・もともとは禅からきた言葉だが、
この言葉を、はじめて知ったのは、かの山岡鉄舟が無刀流を開眼した折、
「全ては本来無一物なり」と悟ったという話からだ。
最近、あるドラマを見ていて、その言葉を久しぶりに聞いた。
そして、なんだろうか・・ハッとした。
20代に聞いたときと、今聞いたときでは、受け取り方がまるで違う。
『本来無一物』・・・もともと何ひとつとして、この世に持って生まれてきたわけではない。
俺は、自分の左手をかざして・・「そう、この体も、もともとあったわけではない」と独り言を言いつつ、
本棚にずらりと並んだ本を眺めては「そう・・これらも、はじめからあったわけではなく、コツコツ集めてきたから、ここにあるのだ」などとつぶやいた(笑)。
『本来無一物』・・・この言葉の意味は、非常に深い。
新しいテレビだDVDだと言いながら、それらをあの世に持ってかえることはできない。
自分の体すらも、老いて朽ちれば、こちらの世界に置いて行かねばならない。
そう・・はじめから、何もなかったんだから、失うものは何もないんですね。
だから、何かを失うことを怖れることはないし、何かを無くしても悔いることもないのではないかと・・。
『本来無一物』・・・ちょっと、いま、ココロに響いてます。