弓を引くその姿・・・すなわち「射」を見て、
「ああ・・素晴らしいなああ~」と思う人が、今、道場に2人いる。
みなさん、それぞれに、素晴らしいと思うのだが、
このお2人はさらに感じるものが違う。
1人は、現在3段のK谷さん(女性)だ。
この方は、非常に美しい射型をしておられる。
流れるように弓矢が運ばれていき、会も深く長い。
その姿が、とても美しく、見ているこちらの心が洗われるような気がしてくる。
とっくに、4段以上を持っていていい人なのだが、惜しくも審査で当たりが出ていないそうだ。
射型が良くても、審査で的中しなければ通らない。もったいなさすぎると思う。
だが、何度でも見ていたい。惹きつけられる射だ。とてもきれいだ。
きっと人柄や生き様までが美しいのだろう・・と勝手に想像する俺がいる(笑)。
もう1人は、年齢70代のI澤さん(おじいちゃん)だが、
この方の射は、見た目はごちゃごちゃでぐちゃぐちゃである。
しかも、的まで矢が届かずに落下、途中から地面をはって矢が進み、めったに当たることがない。
昨日は、一本だけ的中した。
年齢がかさんでくると、強い弓は引けなくなり、自然と弱い弓で引くので矢が飛ばなくなる。
弓の強さに腕もぶるぶる震えてしまう。それはある意味仕方がないことなのだが、
この方は、そこで弓を置こうとはせず、ひたすら射場に立ち、的に向かって弓を引く。
この時の射場での姿に、俺は感動し、いつも心の中で応援しているのだった。
弓を引き絞り、会にはいってもヨレているが、その前向きな「気概」に俺の心が打たれるのである。
かつては、いろんなスポーツをやりこんだ人だが、今では弓とゴルフのみを楽しんでおられる。
弓を楽しみながら、ああして修行しておられるのだ。
この2人が、今、俺が「好きだな」と思う美しい射だ。
美しいというのは良いことだ。心に響く。生きる指針にもなりえる。
写真は、今朝の散歩で撮った霧雨に濡れる花。