ハチに頭を刺され続けたヘビがいた。痛みにがまんできなくなったヘビはハチに仕返ししてやろうと思い、荷車の車輪の下に頭を突っ込んだ。そしてハチもろともに死んだ▼ちょっとおっかない古い寓話(ぐうわ)をスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟に思い出した。約200年間、中立政策を続けてきたスウェーデンがこれを大きく転換した▼あの寓話でいえば、車輪に頭を突っ込んだヘビはやはりロシアなのであろう。ウクライナが米欧の軍事同盟であるNATOに接近するのががまんならぬと同国に侵攻したのが2年前。結果はどうなったか▼なるほど、ウクライナでロシアはかろうじて優勢を保っていると伝わる。が、ウクライナに攻め入ったことでロシアへの警戒を強めたフィンランド、スウェーデンが中立を相次ぎ見直し、NATOの元へと走った。今回のスウェーデンの加盟でロシアと欧州の間にあるバルト海のほぼ全域をNATO加盟国が包囲することになった▼ロシアにとっては元も子もない話で、NATOの東方進出を食い止めたかったのに無謀な侵攻が招いたのは正反対の結果である。ウクライナ侵攻がどう終わるにせよ、NATOの抑止力、監視力は大幅に強まる。何のための侵攻だったか。ロシアは自問すべきだろう▼ウクライナ軍の戦死者は3万人を超えたそうだ。ヘビもあきれる戦争の愚にうめく。
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