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今日の筆洗

2018年10月30日 | Weblog

 米国ミネソタ州のミネアポリス郊外にアノーカという町がある。人口約二万人の小さな町だが、あることで有名になっている。「世界のハロウィーンの首都」なのである▼その理由は一九二〇年代にさかのぼる。ハロウィーンといえば仮装やいたずらが付きものだが、そのころから、若者のいたずらが急速にエスカレートし、手に負えなくなっていったそうだ。家の門を壊す。電柱を倒す。車をひっくり返す。ハロウィーン禁止論も米国中で持ち上がったそうだ▼アノーカは禁止ではなく、若者にハロウィーンの別の楽しみ方を提供することで破壊行為を食い止めたそうだ。当時はなかったパレード、仮装大会、窓辺のデコレーション・コンテストなどを企画。これが当たっていたずらは沈静化に向かった。その功もあって三七年、米国議会に「首都」と認定されたそうだ▼米国よりも約百年遅れた、東京・渋谷でのハロウィーンの情けない騒ぎか。若者らが軽トラックを横倒しにするわ、痴漢や盗撮が相次ぐわ…。嘆かわしい▼ついはめを外すというよりもこういう手合いはハロウィーンを隠れみのに悪事を働いている印象さえある。ハロウィーンでこわいのはおばけの仮装ではなく、見境を失った人間の本性の方だろう▼毎年の騒ぎをよき方向に導く知恵を見つけたい。このままでは渋谷は「首都」になる。悪いハロウィーンの。

 
 

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