小さな魚の群れそのままの化石がみつかったというニュースを先日、紙面でみた。約五千万年前の岩に、体長一~二センチの二百数十匹が集まっているのが分かる写真があった。同じ向きでそろった横長の列は、食べられないために、大きな一匹の魚を装っているように見える。研究者の言葉通り、名作の絵本『スイミー』の話みたいだ▼スイミーに親しんだという方は親の世代にもいるだろう。副題は「ちいさなかしこいさかなのはなし」で、小魚たちが大きな一匹を模して大きいのを追い払う。小が大に抗する知恵が、太古の魚に本当にあったと思わせ、興味深い▼ここにきて、同じかしこさを胸に刻んでいる人は、野党の中にも多いだろう。参院選を受けて、臨時国会が昨日、召集された。野党共闘で当選した人の姿もあった▼共闘で一定の存在感をみせながら、巨大な与党を脅かすまでには、とうてい至っていない野党である。国会に健全な対抗勢力が必要ならばこれからが重要だろう。秋の臨時国会や衆院解散をにらんだ政局で、同じ方を向き少しでも大きく-が、共闘後も生きる道ではないか▼改憲勢力は伸びなかったのに、改憲を目指す首相の秋波で向きが乱れたようにみえる場面もすでにあった。基本政策の違いという難題もある▼<けっして はなればなれに ならない こと>。主人公のスイミーは、言っているが。
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