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今日の筆洗

2021年11月11日 | Weblog
家財道具をすべて売ってしまった男。これでは家ががらんとして寂しいからと、まず家中に白い紙を張る。その上に近所の絵描きに頼み込んで、床の間、掛け軸、たんすからあくびしているネコやヨウカンがのった皿に至るまで細かく描いてもらう▼古典落語の「だくだく」である。絵の家財道具によって豊かな「つもり」になって暮らそうというのがほほ笑ましくも切ない。最後に頼んだのが長押(なげし)の槍(やり)。槍があれば用心にもなるうえ、武芸の心得があるのかと人から侮られずに済む▼中国の狙いも米軍への用心のためか。中国新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠に空母やミサイル駆逐艦をかたどった模型が出現したそうだ▼張り子がかたどっているのはいずれも米軍の軍艦で、中国軍はこれらを標的にして演習をしているとみられる。米軍を攻撃している「つもり」とは穏やかではない▼演習場を覆うものはなく、衛星から丸見えの状態にしているのも中国軍の計算なのだろう。台湾や南シナ海などをめぐり対立する米国に張り子の米軍艦を見せ、こちらの準備は整っていると警告しているかのようでもある▼米中間の緊張はついに砂漠に無粋な軍艦の玩具を浮かべるほどになったか。タクラマカン砂漠にハトの絵でも描き入れたくなるが、平和になった「つもり」では意味はない。両国の緊張緩和に向けた現実の動きがほしい。
 

 


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