学校で、国旗・国歌を強制することは、違憲であるという判決が、東京地裁から出されました。これでますます、学校の現場は混乱しますね。読売・産経 の両新聞の社説では、この判決に強く反発し、逆に 朝日新聞 は高く評価。
この決定は、これまでの他の判決とも矛盾している部分がありますので、代表的な新聞社だけでなく、国の司法判断までも分裂していることになります。残念でなりません。
それぞれの主張は理解できますが、それより教育現場から、この政治闘争をやめさせる方策はないものでしょうか。朝日・産経両新聞の社説にも決定的に欠けているのが、生徒に対する影響の視点です。
先日ご紹介した 『学校が泣いている(石井昌浩)』 もぜひお読みいただきたい一冊ですが、この件については、『授業の復権(森口朗)』 が非常に参考になります。
確かに、判決も述べているように、大事な卒業式に政治的思想を持ち出し、妨害する教員の態度も許せませんが、それに対する都教委の指導は、いかにも高圧的。これでは双方、憎しみが増すだけの悪循環だと思うのですが。
昨日の判決の影響で、学校運営や大事な式典が混乱することを恐れます。学校現場での政治闘争をやめてもらわなければ、生徒がまともに勉強できません。教員の質を高める機会も失われます。
さて、というわけで予定を変更して、本書を紹介します。
本書は、そんな荒れる現場で、学校を再生したすばらしい校長先生の著書です。
鈴木氏は生徒の約半分が中退していく、“超指導困難校” 足立新田高校 を立て直しただけでなく、逆に都立トップの人気校にした校長で、本書は着任から退任までの生々しい記録です。
茶髪云々の小さな問題から、国旗国歌のような政治的問題まで、実に様々な問題が起こります。
入試会場ですでに喫煙をしたり、空き缶を投げつけたりする生徒!校長を自殺に追いやりかねない一部教員のあからさまないやがらせ、学校を嫌悪する近隣住人や保護者、そういう環境です。
そんな学校を任されたらどうしますか。
鈴木氏はまず、早朝からジャージに着替え、生徒たちが壊した備品やトイレを修理し、ガムをはがし、落書きを消すことから始めます。そこから、校長が飽くことなく次々と改革をする姿は圧巻です。
本の装丁というか、表紙がいかにも安っぽい印象(ごめんなさい)で、個人的には好きではないのですが、内容は本当にすばらしいです。 “ジャージ”に象徴される鈴木先生の“情熱”はもちろん、“知力”がけた違いです。
学校問題に興味のある方にはぜひ、お薦めしたい一冊です。
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熱血!ジャージ校長奮闘記 小学館 詳 細 |
P.S. 高校入試に出る自由権に関して genio 先生 ( 入試に出る!時事ネタ日記 )が、簡単にまとめていますので、中三生はチェックしてください。
http://tokkun.net/jump.htm
『熱血!ジャージ校長奮闘記』鈴木高弘
小学館:253P:1470円
■■ 公教育 ■■
たとえ、良かれと思ってやっていたとしても、結果、公教育は見るも無残。本書の鈴木先生のような方、本書のような本にもっと関心が集まるよう応援したいと思います。ついでにVIVAにも応援、どうかよろしくお願いします。ふ~。
→ 一瞬だけ並びましたが…。相手が強い。
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ところで、この本興味深いです。最近子育てに自信を失いつつあるので・・・。あーあ、です。
それはそうと、何で自信が持てないんですか?私は、塾で生徒の成績を上げることには、自信がありますが、子育ては最初から、自信がないので、失いようがありませんけど…。
しかも junior がんばっているじゃないですか?
“勉強”や“受験”のことなら、いくらでも相談に乗りますよ。なんてったって、それが仕事ですもん。
あと裁判長が個人的な歴史認識を判決の根拠にしたこととは問題だと思います。これまでの国歌・国旗裁判の判決が常識的だっただけに、とてもびっくりしました。
今後ともよろしくお願いいたします。
とにかく、教員には毎年ある行事に過ぎなくても、子どもたちの大事な人生の一ページなんで、違和感を持たせないような式にしてほしいなと願うばかりです。
特にアメリカは、国家としては歴史が浅いので、何千年もの歴史を持つ国は(一応ですが)敬意を表されます。
「中国三千年」というのは彼らも常識としてわきまえてますが、日本の皇室が2600年以上の伝統を持つと話すと、ほとんどの米人がびっくりします。彼らにしてみると「キリストよりも前から続いている」という事実自体が「Oh, it's miracle!」な訳で、私もそういう反応に出くわして初めて、これは凄いことだわな!と改めて皇室を見る目が変わりました。
抗争の絶えなかったヨーロッパで、なぜキリスト教がいまだに精神的拠りどころなのかの一因も、2000年という歴史的に長いスパン継承されて来た権威だから、という理由はあながち無視できないと思います。彼らが一目置く英国王室でさえ王朝はとっかえひっかえで、アルフレッド大王から数えてもほんの1100年ですから、その倍近くの年月純血統を継承してきたというのは、やはり奇跡に近いことなのかも知れませんね。
朝日寄りの方々には彼ら流の社会科学的論拠として、絶滅危機に瀕した超稀少種生物保護とか歴史文化遺産保護という理由で対応できると思うのですが、(ジョーク、冗句。私も日本にいた時は朝日購読者でしたが、今は無党平和派)
歴史は大切です、どの国であっても。二度と同じものは作れないからです。神と時間との創作物で、たかだか百年しか生きられない人間がいじくるものではないと思います。結論。
(今日のURLは雑ニュースのページへリンク。雑です。)
ところで、私は国歌(でいいんでしたっけ?)を歌うことになっているなら、歌うか、せめて起立はすべきだと思います。卒業式はある意味最も大切な学校行事。それを教員が成功させようと思わないのでは……見るところが間違っていると思います。教育委員会の高圧的なやり方にも問題はありますけどね。
いつもありがとうございます。