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首都圏内のイベント会場不足深刻.17年末までに動員可能な会場のデータベース作成

2017年06月19日 17時43分15秒 | thinklive

都内にある競技場やホールが、一斉に改修・建て直しを始めています。これは、2020年の東京五輪に合わせた動きです。都内各所にあるホールやイベント会場の建て替え・閉鎖が相次いでいることから、都内のイベント会場は一時的に不足状態に陥り、芸術団体や音楽関係者たちは開催場所の確保に四苦八苦しているのです。会場の不足は、関係者たちの間で“2016年問題”と呼ばれて悩みの種になっていました。

 会場の多寡やイベント・公演の回数は、都市の芸術・文化を量るバロメーターでもあります。また、産業・学術振興においても、関係者が一堂に介する会議場やホー

ル、講堂は必要不可欠です。会場不足という事態を受け、都も問題解消に乗り出しています。

東京五輪開催決定から、相次ぐ施設の閉鎖・改修

 東京都を中心とする首都圏には、たくさんのイベント会場があります。東京ドームや味の素スタジアムといったスポーツ施設でもコンサート、フリーマーケットなど多種多様なイベントが開催されます。毎日のようにイベントが催されている東京ですが、2020年の東京五輪の開催が決定したあたりから、ホールや劇場、いわゆる“ハコモノ”の閉鎖・改修が相次ぐようになりました。 2008(平成20)年には新宿コマ劇場、2010(平成22)年には東京厚生年金会館が閉鎖されています。また、2015(平成27)年から渋谷公会堂の建て替え工事が始まり、2019年まで休館する予定になっています。そのほか、日本武道館や国立代々木競技場第一体育館なども建て替えを理由に長期閉鎖を予定しています。

 これらの閉鎖・改修は五輪を理由にしたものばかりではありませんが、2015年頃から一斉にイベント会場が使用できなくなりました。イベントが開催できなくなると、東京からはにぎわいが喪失し、文化や産業の衰退を招きます。「イベント会場が不足することは、2015(平成27)年頃より文化・芸術を振興する各団体からも指摘を受けていました。各団体から要請を受けて、舛添要一都知事(当時)は対応を急いでいました」と話すのは、都生活文化局文化振興部事業計画課の担当者です。

 早急に都はイベント会場の調査を実施。同調査から、都内には50席以上を有する会場が約1300カ所あることがわかりました。

 「公演団体やイベント主催者は機材搬入や収容人員、照明・音響などの関係から、使い慣れた会場をずっと使い続ける傾向にあります。そのため、代替施設を探すノウハウがなく、いつも使っている施設が閉鎖されてしまうと公演をすることが困難になってしまうのです。一方、都内には想像以上の会場施設があり、これらの稼働率は決して高くありません。かなり余裕がある施設もあります。代替施設の情報を共有すれば、既存施設の稼働率が上がり、有効活用にもつながります」

しかし、リストアップされた1300のイベント会場には、落語の演芸場からクラシックバレエのホール、インディーズバンドが活動場所とする地下のライブハウスなども含まれています。クラシックバレエとミュージックバンドのライブとでは、施設に求められる機能が異なります。数字上は多くのイベント施設があるからと言っても、それらを一緒くたにして語ることはできません。他方、各団体が求める施設すべてを都が建設することはできません。

都は会場を新設せずに、既存の施設を活用する方針を打ち出し、葛西臨海公園や木場公園といった都有地や公園11か所に仮設の野外会場を設置できる、という情報提供を始めたのです。

 情報提供のほかにも、都は大学キャンパス内にある講堂・ホールや新国立劇場を民間団体でも使用できるように、政府や文部科学省、関係団体に対して要望を出しました。そして、それらの要望は一部で実現しています。

 「都は会場運営の効率化をさらに向上させるため、2017(平成29)年度末公開を目指して、会場施設のデータベース化に取り組んでいます。データベース化の取り組みでは、会場の所在地・座席数などの基本情報のほか、各施設の改修スケジュールなども盛り込む予定にしています」(同)。

 データベース化によって各団体が公演場所を探しやすくなることは言うまでもありませんが、改修スケジュールが情報共有することで、施設間で改修スケジュールを調整することも可能になります。


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