歴歩

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福島県棚倉町・流廃寺跡 礎石の上に土の壇があり柱間が広い建物跡が出土

2009年11月26日 | Weblog
 同町教委は19日までに、発掘調査をしている平安時代の流廃寺(ながれはいじ)跡(同町流字東山)の5号平場の建物について、柱間が非常に広く、床全面に土の壇を築いて礎石を覆うという、山岳寺院の建物としては全国的に例のない建物構造だということを確認した。通常の山岳寺院では柱を支える礎石は土からむき出しになっているという。
 建物は東西約7m、南北約4・5mの棟で、南側には約4・5mの庇があったと確認された。遺跡の中心建物である金堂跡(県指定史跡)の奥に配置され、金堂跡に次ぐ広い平場に建てられた格式の高い重要な建物だったことが推測されるという。礎石は金堂跡のものと同様に幅約90cmと大きく、柱と柱の間隔が広いことも特徴的だという。この礎石四つが土の中に埋まっていた。
 6号平場からは、南北約15m、東西約5mの建物跡が確認され、ほかの建物との配置や規模、構造から食堂の跡と推定される。また、5号および6号平場を結ぶ幅約1m、長さ約9mにわたる敷石の通路のような遺構も見つかった。
 流廃寺跡では2003年度に発掘調査が始まり、平安時代の山岳寺院跡の約60の平場が確認され、13カ所の平場で礎石や土器、「金銀象嵌鉄剣」(県重要文化財)などが出土した。これまでに金堂、講堂、仏堂などの6つの建物跡などを確認しており一部が県指定史跡になっている。
 発掘調査は今年度で終了する予定。平成22年度に調査報告書をまとめ、国指定を目指すことにしている。
 29日午前10時から現地説明会が開かれる。
[参考:福島民報、福島民友新聞、河北新報、毎日新聞]

追記 2013.7.28 国史跡指定申請
 棚倉町教委は、流廃寺跡の国史跡指定を目指し、県を通じて文化庁に意見具申書を提出した。
[参考:福島民友新聞]

追記 2013.11.17 国史跡指定へ
 宮脇廃寺跡(伊達市)と流廃寺跡(棚倉町)が国史跡に答申された。



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