鳥栖市教委は6日、同市藤木町の藤木遺跡から弥生時代後期(西暦50~100年)の小型青銅器をつくる石製鋳型4点が出土したと発表した。
①輪型の銅釧用鋳型(破片) 1点 (福岡県など3府県で出土例がある)
②ほぼ完全形の銅鏃用鋳型 2点 (福岡県で出土例がある。 1点は祭祀用の矢じりか)
③装身具の銅釦(どうこう)用の鋳型 1点 (全国初)
銅釦は、ボタン状の飾り金具。出土した鋳型は全体の3分の1の破片(長さ7.6m)で、鋳型面には鍔状の外周が彫られ、中心部に円形のくぼみがある。製品としての銅釦は佐賀、長崎、熊本、京都の4府県で計10点出土しているが、鋳型の出土例はなく、これまで朝鮮半島で製造されていたとする見解があった。 国内で生産されていたことが証明された。
また、鳥栖市内ではこれまで同時代中期の銅釦以外の青銅器の鋳型は見つかっていたが、今回の発見で、青銅器生産が後期まで続いていたことが確認された。 発掘場所には、弥生時代後期(西暦50~250年前後)前半とみられる長さ約60m、幅2~3m、深さ1m程度の溝があり、過去2回実施した調査でも、近くで同様の溝が出土しており、今回も含め連続した溝を形成し、東西150m、南北200~300mと推定される大規模な環濠集落があったとみられる。 青銅器の鋳造技術を持った工人集団が、鳥栖地域にいたことがうかがえるとしている。
今回の出土品は18日~7月4日、鳥栖市立図書館で展示公開される(月曜休館)。
[参考:共同通信、佐賀新聞、読売新聞、朝日新聞]