歴歩

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熊本市・熊本城跡 出土した鉄刀に「甲子年」の銘を確認 古墳時代後期

2023年01月28日 | Weblog
 熊本市と熊本大は27日、昨年4月に熊本城跡の旧NHK跡地(同市中央区)から出土した鉄刀(全長約55cm)を調査・分析した結果、西暦604年にあたる「甲子年五□□」の銘文がある鉄刀が出土したと発表した。
 出土地は古墳時代の横穴墓群近くで、鉄刀には象嵌技法により施された文字が確認された。鉄刀は古墳時代後期のものと推定され、同時期の比較の対象となるものとしては、1983年に兵庫県養父(やぶ)市の箕谷(みいだに)2号墳(東西12m、南北14mの円墳、7世紀)で出土した圭頭大刀(推定全長は77cm前後)がある。「戊辰年五月□」の6文字が刻まれている。最後の6文字目は二画しか残っていなく読めないが、「五月中」が中国や朝鮮で作られた古代の刀剣によく使われる吉祥句(きっしょうく)であり、結果「戊辰年五月中」と判読された。「戊辰(ぼしん)年」については、608年と推定されている。
 今回の大刀の銘文は「甲子年五月中」と推定され、「甲子(こうし)年」は604年と判断された。
 甲子年大刀と戊辰年大刀はともに飛鳥時代の推古朝のころ。飛鳥地方に都が置かれ、国家形成過程で、地方の中小豪族に贈られた鉄刀とみている。
[参考:産経新聞、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、養父市HP]
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奈良市・富雄丸山古墳 国内最大の銅鏡と蛇行剣が出土

2023年01月26日 | Weblog
 奈良市教育委員会と奈良県立橿原考古学研究所が25日、同市の国内最大の円墳・富雄丸山古墳(4世紀後半)の「造り出し」の部分で埋葬施設の粘土槨(全長約6.4m、幅約1.2m、内部に割竹形木棺を埋葬)が見つかり、内部から国内最大の銅鏡と蛇行剣が出土したと発表した。

銅鏡: 国産の青銅製。長さ64cm、最大幅31cm、最大厚さ0.5cmの盾形の青銅鏡。
 背面中央に丸い突起の「鈕(ちゅう)」がある。その上下に「鼉龍文(だりゅうもん)」が円形に施されていたことから「鼉龍文盾形銅鏡」と命名した。円の外側には鋸歯文が見られ、高度な技術により薄い板と鏡を融合させている。蛍光X線で調べたところ、錫、銅、鉛の成分が検出された。盾形の銅鏡はほかに類例がなく、鼉龍文盾形銅鏡と名付けられた。

蛇行剣: 国産。剣身が曲がりくねった「蛇行剣」。長さ237cm、幅約6cm。古墳から出土した鉄剣では国内最大。
 今回見つかった蛇行剣は金属をたたいて作られ、柄、鞘の痕跡から装具を含めた全長は267mに復元できるという。国産の蛇行剣は85例の出土が確認されているが、今回の蛇行剣は最大で最古。鉄剣としても広島市の中小田第2号古墳の全長115cmを大きく上回った。 
 
 発掘現場は28日12時30分~15時と29日(10時~15時)に一般公開する。盾形銅鏡と蛇行剣は保存処理中のため展示しない。
<参考:共同通信社、毎日新聞、産経新聞、朝日新聞、読売新聞>


過去の関連ニュース・情報
 富雄丸山古墳
 鼉龍鏡

 これまで、蛇行剣は5~6世紀にかけて出土している。今回4世紀後半築造の富雄丸山古墳から出土したので、最古級となるが、北九州市小倉南区の南方浦山古墳(直径10mの円墳、4世紀)から全長34.5cmと短い蛇行剣が出土しており、こちらの方がやや古いかもしれない。
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