富山県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所が16日、富山市呉羽地区の小竹(おだけ)貝塚(縄文時代前期、約6750~5530年前)について発掘調査の最終結果を発表した。
■出土人骨は10年10月の発表時では71体が確認されていたが、さらに20体増えて91体となる。
そのうち、性別が分かったのは53個体で、男性が35個体、女性が18個体だった。
年代別では、現代の10代後半~20代にあたる青年が15個体。 胎児や新生児の骨もあり、当時は、若年層が多く死亡する厳しい環境だったとみられるという。 60歳以上の人骨もあった。
男性の人骨22体のうち、当時としては高身長の1m65cm以上の人骨が6体見つかった。 平均身長は縄文後期の平均値(1m58cm)よりやや高い1m59cmだった。 一方、女性7体の人骨は縄文後期の平均値と同じ、平均1m48cmだった。
年代の若い個体で、左右の側切歯や第2小臼歯が抜かれたものがあり、縄文時代中・後・晩期では生前に抜歯の風習が知られているが、縄文前期のこの地域でも同様の風習があった可能性を示す。
人為的な損傷がある骨も複数見つかった。 いずれも墓穴を掘った際に、すでに埋葬されていた人骨が傷つけられたものとみられ、丁寧に並べて再び埋葬されたものもあった。
頭上に直径約5cmの小さな土器を載せた状態で埋葬された人骨もあった。
さらに、人骨のDNAを分析したところ、北方系と南方系の系統が混在していることが分かった。渡来系の弥生人や現代の日本人に多いタイプはみられなかった。
北方系:バイカル湖周辺や北海道縄文人に多く見られる、 南方系:東南アジアから中国南部に多く見られる
■九州や伊豆諸島以南で採れる貝であるオオツタノハで作った腕輪が、縄文時代のものとしては初めて日本海側で見つかった。
■国内最古級のヒスイの作りかけの加工品も1点見つかった。装飾品として糸魚川方面から持って来たものではないかと考えられるという。
■関東地方や近畿地方、東北地方の型式の土器、日本最古のイノシシ型土器など日本各地で作られた出土品や模造品が見つかっており、地域間の交流が盛んだったことがうかがえるという。
■シバイヌほどの大きさの犬の骨21体も出土し、人と犬の深い関わりを裏付けた。
■尖った石器が刺さったイルカの肋骨の骨も出土。当時の富山湾ではイルカ猟が行われた可能性があるという。
■タイの歯を埋めた漆塗りの一部(1cm四方)が出土した。装飾品として使っていたとみられ、タイの臼歯の球面が上になるよう工夫されているという。
今回の発掘調査の報告書を3月末に刊行する予定。
県埋蔵文化財センター(富山市茶屋町)は今月18日から3月下旬まで調査結果をまとめたパネル展を開く。
[参考:富山新聞、北日本新聞、共同通信、読売新聞、朝日新聞、中日新聞、KNB北日本放送]
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小竹貝塚