佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

WBA世界ライト・フライ級王座決定戦 亀田興毅vs.ファン・ランダエタ

2006年08月05日 00時47分39秒 | スポーツ

  

 ビックリしています。

 

 

 

 実はですね、この試合の後、

亀田興毅で検索を始めた人がやたら増えたようで、

当ブログも結構訪れた人がいたようです。

しかし、僕は落ち着いてから書こうと思っていて、

今回の試合は簡単に書いたため、

以前僕が書いた亀田の試合の方がヒットしたようです(笑)。

 

 

 

 でもですね、これはやっぱり書かないとなーと思い、

今日書いています。

 

 

 冒頭書いたとおり、僕は驚いています。

判定にではなく、この異常反応についてです。

これをなるべく冷静に、本質を見ようと考えて、

書いてみたいと思います。

でも感情的になってしまいそうな気が(笑)。

 

 

 何も見ないで書いたと思われるのが嫌で、

木曜日、コンビニでスポーツ紙を3社買いました。

スポニチ、日刊スポーツ、スポーツ報知です。

 

 

 しかしですね、これがビックリするくらいの当たり障りのなさ。

聞くところによると、スポーツ新聞は、

都内などで最初に出回る版とこっちで手に入る版は

違うらしいですね。

当初の見出しは結構過激だったようですので、

この当たり障りのなさにかえって不自然さを感じましたが(笑)。

 

 

 しかし何が驚いたって、

その後のテレビの反応や、

ネット上での反応ですね。

そして、スポーツ紙以外の新聞。しかも地方紙。

今回起こったことについて、少し書いてみます。

 

 

 まず驚いたのは新潟日報。

非常に厳しい論調。

「不可解な判定」

「完敗の内容」

そして記者の目という欄では、

「まれに見る地元判定」と。

「情けない。久しぶりにこれほどの

ホームタウンデシジョンを見た」と。

 

 

 そして驚いたのが「三條新聞」という地方紙。

職場で取っていて、何となく見たら

コラムのような欄でこのことを書いていた。

スポーツの記事など載らない新聞なので、

スポーツの記者でない人が書いていたのは明らかだったが、

陸上など、数字で判別できるスポーツは良いが、

サッカーやボクシングなどこういう判定が出るようなものは

見て損をした気分になるというようなことが書いてあった。

 

 

 記者が責任を持って書くのは自由だし良いんですけど、

何か腑に落ちない。

「記者って誰だ?」

「書いた人誰だ?」

だから腑に落ちないのだと思うのですが。

 

 

 三條新聞については申し訳ないですが、普段から

元々信頼を置いていないので、

新聞と言う媒体を無視して、

まるでただの一個人が書いているようなものに

反論する気もないのですが、

日報の記事について、 

あの試合、「完敗の内容」に見えましたか?

「まれに見るホームタウンデシジョン」ですか?

亀田が何も出来ずやられたみたいな書き方をしていましたが、

そこまでひどい試合だったでしょうか?

まれに見るホームタウンデシジョンとは、

何をもって言っているのか?

これまでの日本でのタイトルマッチ?世界の?

この人はボクシングについて記者としてどの程度知っているのか?

2-1のスプリットデシジョンが

まれに見るホームタウンデシジョンですか?

 

 

 ここまで書くほどのひどい試合だった、完敗だったと

僕は絶対に思わないので、これについては

どうしても意義を唱えたくなった。

 

 

 さて、驚いたこともう一つ。

ベネズエラの大使館に、ランダエタに対する

激励のメールが1000通届いたとのこと。

 

 

 これ、どういうつもりで送ったのかわかりませんが、

善意なんでしょうか?

ランダエタのファンならともかくも。

これはネットのトピックスで読んだのですが、

日本人はやはり「恥の文化」だった、と書いてあった。

 

 

 

 僕は今回のことに、

日本人のメンタリティーを見た気がします。

以前、シドニー五輪でしょうか。

篠原選手がドゥイエ選手に負けた試合、

内股をすかしたのが逆に有効を取られて

最後まで挽回できず敗れた試合。

あの後、ドゥイエ選手に対して、確か日本から

脅迫めいた抗議が相当数あって問題になった。

 

 

 なぜこういうことになるのか。

日本人がスポーツ選手に心技体というか、

「潔さ」を求めているからだと思う。

篠原選手は、判定に抗議せず、「潔い」と思われた。

ドゥイエ選手が「篠原が勝っていた試合だ」と言えば

ここまでにはならなかったはず。

その一言だけを求めていたのだ。

でも彼は「審判の下した判定を受け入れる」

という内容のことを言ったと記憶している。

 

 

 これ本来、スポーツなのだから、

ドゥイエの言ったことは最もなのだ。

だって、彼が判定したわけではないし、

彼が汚いことをしたわけでもない。

判定を受け入れるのは当然だ。

彼が勝ち名乗りを受けたのだから。

彼は何一つやましいことはしていない。

「審判のレベル」というのは、

それとはまったく別の問題。

彼が責められるべき問題ではない。

 

 

 でも彼に対して恐ろしいほどの抗議があったのは、

日本人が、彼に対して、スポーツマン精神、

「柔道家」としての「潔さ」を求めたからだと思う。

 

 

 そういう意味で、柔道すなわちJUDO。

実際に抗議するのは正直どうかと思うが、

彼に柔道の「道」を求める気持ちは何となく分かる。

 

 

 でも、今回は違う。

「ボクシング」なのだ。

ここに、「ボクシング」という競技への認識の不足を感じるのだ。

 

 

 亀田興毅が判定したわけではないんですよ。

セリエAのように、テレビ局や協栄ジムが

審判を「買収」したなら責められて然りだが、

そんな話はどこにもない。

 

 

 まして、相手選手に激励のメールが1000通。

それが日本人の「恥の文化」だという。

勘違いもはなはだしいと思う。

 

 

 ボクシングというのは、「道」ではない。

世界のボクシング情勢を見れば一目瞭然だが、

正しいことだけで動いている世界ではないのだ。

 

 

 そう、今回、亀田興毅が、「ビッグマウス」じゃなかったら、

ここまでのことにはならなかっただろう。

スポーツマンとしての「潔さ」を

彼に求めているから、

今回の判定だけではなく、

それが彼自身にまで対する「反感」へ変わったのだと思う。

 

 

 これが、日本人のメンタリティー。

スポーツに「道」と「潔さ」を求めている。

 

 

 しかし、ボクシングというのは、

スポーツショービジネスなのだ。

善悪や白黒ではっきりするだけの世界ではない。

ましてそこには「道」や「潔さ」は必要ない。

申し訳ないが滑稽なのだ。

負けた相手に、しかも

僕が見る限り、完敗などでは全くなく、

接戦だった試合を亀田が僅差でものにした。

たったそれだけのことに、

どうしてランダエタに1000通もの激励メールが届くのか。

ボクシングというものを捉え違いしているようにしか思えなく、

それが悲しいのだ。

 

 

 そういう意味で、

彼が試合後の会見でビッグマウスを貫いたのは、

スポーツショービジネスの世界で生きる者として、

至極当たり前のことだ。

彼は「亀田興毅」というキャラクターを最初から最後まで演じている。

ボクシングの世界において、

むしろあるべき姿だと僕は思う。

自分がこの世界においてどうあったらいいかを良く分かっている。

 

 

 でも日本人は、

「昨日の試合は負けていた」と

亀田に言って欲しいのだ。

それを言わないでビッグマウスを貫くことに、

スポーツマンとして、否日本人としての

「恥の文化」「道」「潔さ」「礼」がなってない、腹が立つ、

こういうことなのだ。

 

 

 繰り返して言うが、

ボクシングの世界において、

世界のチャンピオンたちがそんなことを言うわけがない。

もう一度繰り返すが、

そこに日本人のメンタリティーを見るのは僕だけだろうか。

 

 

 今回、3-0の大差判定でなく、

2-1のスプリットデシジョンだった。

ちゃんと中立国から選ばれた審判のジャッジを

尊重するのなら、

亀田興毅にこれ以上するべきことはない。十分だ。

 

 

 また繰り返すが、

これがボクシングにおいて、

まれに見るホームタウンデシジョンだなんて、ありえない。

比較するのはおかしいかもしれないが、

サッカーにおいても、ホームとアウェーでは、

実際に吹かれる笛の厳しさが違うのは世界で当たり前のこと。

サッカーでのアウェーというのは、

今やそういうことだと皆受け入れている。

審判だけではない。

泊まる宿、食事、相手ファンの激しいヤジ。

物が飛んでくることは当たり前。

これについて「おかしい」というサッカーファンが

今どの程度いるのだろうか?

それを含めて「サッカー」だという人がほとんどだろう。

 

 

 だから、日本におけるボクシングの見方について、

僕は悲しさを覚える。

言っておくが、今回と逆に、

日本人が海外でタイトルマッチをする際、

ひどい待遇を受けることは当たり前だ。

ホテルがひどかったり、食事に問題があったり、

練習ができない環境におかれたり、

そういう待遇を受けて負けて帰って来る日本選手は山ほどいる。

そういう厳しい待遇の中で、

敵地でベルトを勝ち取ってきた選手も少ないけどいる。

  

 

 

 ボクシングというスポーツの本質とかけ離れた

今回の出来事。

しかし、亀田にとって、TBSにとっては、

これは厳しいことではあるが、

ショービジネスとしては、結果的に大成功になっていること、

躍起になって亀田批判している人たちに

それに気づいている人がどの程度いるのだろうか。

自分の批判が、彼への注目を高めていること。

そういう意味では、

違った形ではあるが、

ボクシングの世界として、これは立派な「成功」なのだ。

 

 

 ちょっと感情的に書いたが、

こういう一般と違う書き込みをすると、

僕が攻撃を受けるのだろうか(笑)。

早く専門誌の記事が読みたい。

皆さん、15日発売(地方は16日)なので、

ぜひこれを機会に、

「ボクシングマガジン」「ワールドボクシング」を

読んでみてください(笑)。

 

 

 いやー、史上最高に長い記事ですね(笑)。

一時間半書いています(爆)。すいません。。。