さて、勝手に一段楽しているので、
少しずつたまった記事をアップします
(と言ってもネタがたまっているだけで、
書き貯めてある訳ではないので、ペースは変わりません)
7月13日(木)、五泉市(旧村松町)さくらんど会館にて、
岡本泰寛テノールコンサートがありました。
岡本さんは二期会の若手テノール歌手。
芸大大学院を修了し、日伊コンソルソ第2位入賞など
輝かしい実績を持ち、近年大きなオペラに立て続けに
出演しています。
この方のコンサートが、
旧村松町で行われたのです。
このコンサートについて知っていた県内音楽関係者、
どの程度いるでしょうか?
こういう情報収集能力を勝手に自画自賛しています(笑)。
旧村松町は、私の職場の隣町で、
山一つ越えると辿り着きます。
村松には何度か行っていたので、特に心配もなく。
もう一つこのコンサートに行こうと思った理由。
恐らくこの日来場していた聴衆で、
岡本さんのことを知っていたのは僕だけだと思います、
実は僕が東京にいたとき、岡本さんは某男声合唱団の
ヴォイストレーナーを務めていて、
ソリストなどもしていた関係で、聴いた事があったのです。
そんな二期会の若手テノールのコンサートがたった1000円!
行くしかないわけです。
で、行ったのですが、驚いたことが。
僕はてっきり、
一番広いホールで開くものだと思っていたのですが、
何とごくごく小さい多目的ホールでの開催。
「狭っ!!!!」
入った時の感想。
明らかに二期会のテノール歌手には不釣り合いの広さ。
パイプ椅子が100席ほど。
どう見ても公民館の多目的ホールの方が広い。
僕は客入りをとても心配していましたが、
100人弱でしょうか。
でもね、1000円×100人で10万円。
歌手とピアニストの交通費+α程度ですね。。。
田舎のコンサートに旨味があるときというのは、
こういうときですね。
良し悪しは別にして、税金投入で成り立つ公演です。
さて、岡本さん登場。
「Caro mio ben」イタリア古典歌曲から。
第一声。
声が素晴らしい!!!
非常に磨き抜かれていて、
無理のない発声。
リリックだが、声量もある。
本人がトークを挟みながら曲を歌う進行。
明らかにクラシック初心者を念頭に置いた進行。
ここで気づいたこと。
「岡本さん、声高っ!!!」(心の声)
地声が高い。
テノールだから当たり前なのだが、
とにかく高い。
これなんです。
僕のクラシック歌手原体験は、
まさにテノール歌手です。3大テノール。
テノールの美しく高い声に憧れました。
しかし、前もこのブログで書きましたが、
僕は「低い声」で話したいのです。
話し声の高さは要らないのです。
それが僕にとってテノール歌手の(勝手な)マイナス点。
僕の理想は、
話し声が低く、歌う声が高い歌手(そんな歌手いないですが)。
まあ岡本さんのいかにもテノールの話し声で
ナビゲートが進みつつ、
トスティから2曲、
サンタルチア、オーソレミオと続いて休憩。
テノールコンサートの王道を。
テノールってこういうとき得なんですよね。
こういう「ベタな」コンサートはテノールしか出来ない。
「バリトンコンサート」って、地味です(笑)。
ベタな選曲をして、ベタに歌う。
これこそテノールの醍醐味。
休憩後はピアノの「セヴィリアの理髪師」序曲から。
続いてドニゼッティ「愛の妙薬」より『人知れぬ涙』。
マスカーニの間奏曲を挟んで、
プッチーニ「ラ・ボエーム」より『冷たき手を』。
最後はヴェルディ「リゴレット」より『女心の歌』。
ベタです。限りなくベタです。
トークを挟んだので、曲数の割には時間が経つ。
アンコールでは何がくるって、勿論
プッチーニ「トゥーランドット」より『誰も寝てはならぬ』。
最後に歌ったのは意外と渋く「カタリカタリ」。
お客さんは、間近で、
磨かれたテノールの響きを体感。
当然大拍手。
贅沢だ。贅沢すぎる。
ベタな曲目は玄人クラシックファンには敬遠されるが、
これはこれで楽しめるものだ。
久しぶりに童心に返った。
テノールの声って、そういう気分にさせてくれる。
僕の高校時代の愛聴盤だった、
1990年、初めて3大テノールが揃った公演のライブCDを思い出した。
とにかくかっこよかった。
分かりやすいものが好きだった当時、
僕にとってはとにかく憧れの歌手たち。
何度も聴いたこのCD。
これを聴いていた頃の気持ちが蘇ってきた。
いやー、良かったです。
拾い物といったら岡本さんに失礼だが、
忙しい最中、時間を取って聴きに行ってよかった。
皆さん、要注目ですよ。岡本泰寛に。