佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

全日本合唱コンクール新潟県大会

2006年08月27日 23時41分26秒 | 合唱

 

 コンクールでした。

 

 

 前から書いていたとおり2団体に出場。

午前中の練習かかぶっている。 

ので、朝9:00から11:00までLalariへ。

11:00から13:00がユートライへ。

2時間ずつ参加することに。

たまたま隣で練習していて助かった

(助かったというか全部参加できなかったので

関係者の皆さんには御迷惑をおかけしました)。

 

 前日も13:30から21:00まで歌いどおしだったので、

今日は両団体の午前練習が終わった時、正直へばっていた。

集合時間まで客席で聴いていたが、

あまりに疲れていて眠気が(笑)。

 

 まずはLalariの演奏。

実は指揮者(先生)が3団体に出場(笑)。

御歳70歳ですよ。凄い。。。

なので、直前リハーサルは僕が仕切る。

12分間。午前の練習を僕自身が途中で抜けたので、

約束事も確認しつつ。

僕が抜けた後で通した時、バスが途中で落ちたらしいと(苦笑)。

若干色々不安を抱えつつステージへ。

 

 一般は6団体。

Lalariは1番。ユートライは5番。

 

 Lalariの本番。

課題曲は可もなく不可もなく、、、という感じ。

良い音は鳴っていたと思うが。。。

僕自身、バスが練習で落ちたところで、

1ヶ所落ちそうになった。気にしすぎた。。。

自由曲。勢いはあったと思う。

途中、演奏者が結構自由に演奏する場面は、

どう空間に響いただろう。

注意深く聴いてはいたが。。。

 

 

 悪い演奏ではなかったが、

良くも悪くもLalariの特徴が出た演奏だったかな、と。

 

 

 と反省する前に、

ステージ裏を通って、すぐにリハーサル室へ。

ユートライのリハーサル。

時間が重なっていなかったので良かった。

 

 ユートライの演奏の鍵は自由曲のニールセン。

それと、そこへ持っていくまでのピッチ。

自由曲1曲目のサンドヴォルドからニールセンは、

同じ調なのでそのままいくことになっている。

だから、1曲目を丁度良いピッチで終えて、

2曲目のニールセンのテノールがどう歌い始めるか、

そこが結構重要だった。

 

 リハ室では、正直上手くいかなかった。

 本番。

課題曲は、その作曲者のメッセージを、

非常にしっかりと表現した。

僕自身は、非常に良い出来だったと思った。

ピッチ云々は元々良くない団体なので(苦笑)、

でも曲の持つ世界観は伝わったのではと。

 

 自由曲1曲目サンドヴォルドは、

非常に鳴りやすい書法で書かれている。

歌い手も安心して歌えた。

 

 問題のニールセン。

テノールのピッチはまずまずで入って、

ピッチ自体は安定していった。

非常に体力を要求する大曲。

しかし、集中力自体は切れなかったと思う。

途中の関門も何とか抜けられた。

最後の和音が若干良くなかったが、

全て出して歌いきったと思う。

 

 結果については、、、

僕のメルマガで全部書いたので、

購読してください(笑)。このページから飛べます。

Lalariもユートライも銀賞。関東行きならず。

実は、新潟の合唱界は、

しばらく、JUNEとユートライが中心になって

数年前まで進んでいた。

ここ何年か、団体数が増えて、

一般自体のレベルは少し上がっていると思う。

6団体というのは、丁度良い緊張感が保てる。

少なすぎると1団体のみしか行けないし、

これ以上多いとちょっと散漫になる

(いや、やっぱりまだまだ沢山出て欲しいな。。。)。

そういう意味では、県突破もなかなか厳しい。

 

 実は今回、一番嬉しかったことは、

医学部合唱団のメンバーが数名聴きに来ていたこと。

そのメンバーとは新潟ユースに参加していたメンバーで、

どこで知ったか、コンクールを聴きに来ていた。

医学部さんはコンクールには出ていないので、

コンクール自体の存在もあまり知らないと思うが、

新潟ユースを通じて、いろいろな情報が向こうに流れて、

興味を持って今日聴きに来てくれた、というのは、

僕にとってはとても大きいことだった。

コンクールに出る出ないはどうでも良くて、

他の団体のしていることに興味を持って、足を運び、

刺激を受けて帰ることこそが、

僕にとっては(新潟の合唱界にとって)一番大事なこと。

この行き来の道が増えたことが、本当に嬉しい。

 

 

 それにしても、2団体出場というのは、

今回初めてかと思ったが、違った(笑)。

記憶を辿ったら、大学4年の時、 

大学Aの部が初めて出来た時、

新大室内合唱団として参加した。

ユートライにも所属していたので、両方出たはずだが。。。

あんまり覚えていないのは何故だ(爆)。

 

 

 というか、その記憶も含めて、

歳です(笑)。

今回の2団体は結構きつかった。

普通、同じ指揮者の団体というのはあると思うが、

違う指揮者の団体に2つ出るというのは、

その鳴っている音が全く違うので、

そこに対応するのが結構大変だと知った。

というか、同日に練習があったのがきつくて、

その疲れを当日も引きずったところに、

僕の歳の若くないことを感じる(笑)。

 

 

 そして、今日、暑かった。。。

礼服って、暑いんです。。。

まるで早実のハンカチ王子のように汗を拭き拭き(笑)。

余談ですが。。。

 

 

 さて、、、

コンクール、どちらも突破できなくて、

急に暇になってしまった(笑)。

ウソです。次の週末は別件の合宿。

今週はそのための準備に宛てます。

 


「死を想え~チェンバロによる瞑想~」

2006年08月27日 23時05分05秒 | クラシック

 

 8月25日(金)、上記演奏会に行って来ました。

5月にバッハで共演させていただいた

笠原恒則さんのチェンバロコンサート。

笠原さんは「楽路歴程」という古楽演奏会を主催されていて、

新潟の古楽界では著名な方。

 

 

 今回、チラシのデザインからしてとても興味惹かれるもので、

楽しみにして行った。会場はりゅーとぴあスタジオA。

 

 会場へ入ると、照明がとても暗く絞っていて、

チェンバロの脇にスタンドライトが一つと、

前にキャンドルが一つのみ。

期待を抱かせる雰囲気。

 

 開演すると、照明は完全に落とされ、

スタンドライトとキャンドルのみ。

笠原さんが登場して演奏。

 

 プログラムについては詳細を省くが、

演奏された作曲家は、

J.ダウランド、J.V.ゲルナー、J.J.フローベルガー、

L.クープラン、J.C.ケルル、J.P.スウェーリンク、

A.フォルクレ、M.マレ。

休憩を挟んで1時間半強のステージだった。

 

 今回、演奏者がプログラムに書いていたとおり、

外界に向けられたメッセージの強い曲ではなく、

内省的な作品、「自らに沈静していく曲」が選ばれていた。

演奏された曲はまさにそのとおりで、

演奏者が注意深く選んだ跡が見えた。

 

 そして、照明がそれを手助けして、

まさに、笠原さんと作曲家の作品の、

チェンバロを介した私的な会話(瞑想)を、

聴衆が見守っている、

そんな印象だった。

 

 空間に放たれるチェンバロの音色は、

その「弾いて減衰するのみ」の音の特性がはっきり表れていて、

音が空間に沢山散りばめられるのではなく、

その微妙な間や空気を、まず演奏者が注意深く聴き、

そして放たれる。

その、まさに「瞑想」を、傍から見守る、

そういう空間と化していた。

 

 おそらくだが、スタンドライトが、

笠原さんの”前”でなく”後ろ”に置かれていたこと、

笠原さんの計算だったのではと思う。

つまり、前に置けば、そのスタンドが、

笠原さんを正面から照らすのだが、

後ろに置いたため、笠原さんを照らすのは、

前の小さいキャンドル一つと、

スタジオAの白い壁に反射した間接光のみ。

つまり、後ろからの光に照らされた笠原さんは、

前から見ると影の様に映り、

その影が、静かにチェンバロを爪弾く、

そういう工夫がされていた。

前に光を置くと、

後ろの白い壁に笠原さんのシルエットが映されてしまい、

そのシルエットの動きがとても気になったに違いない。

あの照明の置き方を、おそらく慎重に選んだのだろう。

 

 そして、曲間に語られる笠原さんの声が、

また渋い響き。

本人は自覚が無いかもしれないが、

非常に良い声で、暗闇に響いていた。

強いて言えば、曲解説の時は、

照明の後ろに立って、顔を照らして欲しかったかな、と。

顔が暗く映ってしまったので。

 

 アンコールの最後には、

キャンドルを吹き消すという素敵なパフォーマンスが。

最初から最後まで渋く決めて、

今回の演奏会のスタイルを貫いて終わった。

 

 僕自身、笠原さんのチェンバロというと、

その即興性や煌びやかな音色が特徴だと思っていたが、

今回の演奏会は、そのイメージを

良い意味で壊すものだった。

その古楽の作品の幅広さと、

笠原さんのチェンバリストとしての幅広さを、

今回の演奏会で示したのでは。

 

 

 素晴らしい演奏家と共演させていただいたものだと、

僕自身、バッハの演奏会を振り返ったりもしていた。

笠原さんの今後の活動に要注目である。