韓国では、地下鉄で物を売っている光景をよく見かけます。
『みなさん。こんにちは。お仕事お疲れ様です。少しだけ私の話に耳を傾けていただけますか?今、私がなぜここにいるのかと言いますと、本日、みなさんのために、親も子供も喜ぶ「電気式垢すり機」をご紹介したいからです。今回、特別に1万ウォン! 1万ウォン札1枚でサービスさせていただきますので、よろしくお願いいたします』
昼間の地下鉄車内に突然現れて、力強い声を上げる人がいます。
それは「ザプサイン(雑商人)」だ。
韓国では、道端や地下鉄の中で物を売っている人を「ザプサイン(雑商人)」といいます。
「思い出音楽CD4枚セット」「手袋」「爪切りセット」「ニンニク皮むきセット」など、安い1000ウォンのものから、高い10000ウォンのものまでよりどりみどりで、いろんな種類を用意している。
こうした商売は、地下鉄の中だけではない。
乗り換えのための階段やエスカレーターの隣などでも場所を取り、靴や洋服やCDなどを売っている。
もちろん不法な行為だが、彼らを取り締まる駅員さんも少なく、ほとんどは、暗黙で了解されているようだ。
電車の中では、物を売っている人だけではなく、募金活動をしている人もいる。
「神様を信じましょう。これからくる時代を乗り切るためには、私たちは神様を信じないといけません」と宣教活動をして、いきなり車両の中で賛美歌を歌い出す人もいるし、ハーモニカを吹きながら集金する目の不自由な人もいる。
今でも地下鉄では「ザプサイン(雑商人)」が物を売ったりしている。
なぜ、韓国ではそれが許されるのだろう。
お金持ちも貧乏人も電車に乗って通勤する日本とは状況が違って、韓国では地下鉄は真に庶民の足だ。
その空間の中では、韓国の庶民の姿を見ることができるし、不法ではあるが、貧困な彼らの経済状況を理解して、そこまで稼ごうと頑張っている姿に取り締まりができないのも現実のようだ。
中には、「ザプサイン(雑商人)」を否定的に見る人もいるが、金をあげたり、物を買ってあげたりしなければ済むだけで、彼らの職を奪おうとまでしないだろう。
日本人の目には迷惑に見えるかもしれないが、彼らの迷惑行動を許してしまうのも、ある意味、韓国人の余裕であり、親切さかもしれません。