「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

まともな思考形態に立ち戻れるかーーNHK問題

2005-01-16 17:08:33 | Weblog
NHKが放送した『ETV2001』(問われる戦時性暴力)をめぐって きわめて大事な議論がおこなわれています。
ことの発端は 2000年12月8日からはじめられた「女性国際戦犯法廷」を 『ETV2001』がとりあげたところからはじまっています。
番組の企画が通ったのが10月下旬でした。一般的に企画が通るまでには数週間 長ければ半年かかることだってありますが この番組の場合「あっという間に通った」といいます。法廷ですから天皇の戦争責任に及ぶであろうことははっきりしていますが NHK側の担当者は「問題ありません」という力強い対応だったといいます。
主催者側は 『ETV2001』の誠意をうけとめて 取材に際して特別優遇しています。
識者を交えてのスタジオ収録も 和気藹々で終わったようです。

◆ 状況が変ったのは 1月になってからです。制作担当者の手の届かないところで NHK側の手で改変に改変が重ねられていきます。「右翼」団体からの抗議が影響しているのだろうと(その当時は)思われていました。NHK側の右往左往ぶりも手にとるようにわかったものです。
今回の長井暁チーフプロデューサーの勇気ある告発によって NHKはまた慌てましたが そのことで 「右翼」だけでなく政治家も動いていたのだーーということがわかりました。
◆ 16日(日)のテレビ朝日『サンデー・プロジェクト』での安倍晋三氏の受け答えで さらにはっきりしましたね。
NHKは早々と朝日新聞に抗議したようですが これは自民党に対するエクスキューズですね。
ということは NHKは今回の事態にまじめに対処する気がないということを表明したも同然です。自民党にだけ誠意が通じれば「ことは済む」と思っているのでしょう。視聴者・国民にたいする「知る権利」 そして自らの「報道の自由」を放棄したことの表明でもあります。言論機関の自殺行為じゃないですか。
イタリアの労働運動家のことばをあらためて思い起こしています。「芸術家(この場合 ジャーナリストといいかえましょう)は たとえ自由であっても偉大だとは限らないが 自由でなければ偉大になることは困難だ。自由でない場合には 自由になるためにたたかうときにこそ偉大になりうる」と。
NHKの労働組合は 長井さんを支援することを表明しているようです。わたしたちも できうるかぎりの支援をしなければなりませんね。
◆ 各局の番組もいっせいにこの番組をとりあげましたが 「予算を人質にとられているのだからしかたない」など NHK擁護の発言をする評論家 弁護士のコメンテーターもいます。
基本的には 「言論の自由」「知る権利」の立場に立つ内容になっていました。まだまだ屈しているわけではありません。評価することも忘れないようにしましょう。
◆ ところで 長井さんの勇気に拍手するとともに 長井さんが決断したのは NHKに対する批判の高まりという背景もあったのではないでしょうか。NHKにたいする運動にまではなっていないにしろ 批判の波は目にみえているからです。さらに大きなものにしなければなりませんね。そのことが長井さんを守ることになります。

いったいNHKはどこに行こうとしているのでしょう。
きっとわからなくなっているのです。
NHKの行く道を決めるのは 視聴者・国民じゃないでしょうか。

憲法九条 教育基本法 そしてジャーナリズム。大事な時期を過ぎようとしています。

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1 コメント

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今朝のニュースを見て (gmeg)
2005-01-17 09:32:32
今朝のNHKニュースでこの問題を知りました。

本当のことを言うと殺されるというのが、頭にあります。

証拠がないと告発を否定している政治家がいますね。カットされた部分のフィルムは、もう存在しないのでしょうか。圧力をかけてないと言うなら、6分間のカットを放映してほしいと思います。

なぜ、そのカットが必要だったかを検証してほしいですね。

歴史をなくしてしまうという発想で、嘘を本当にしたいのでしょうが。
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