「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

憲法九条とニート、フリーター そして徴兵制

2007-05-11 14:27:08 | Weblog
憲法記念日を前後して NHKの「憲法番組」はよかった
アメリカによる押しつけ憲法ではないことが ある程度理解されたとおもう
5月7日の『クローズアップ現代』”9条を語れ 平和憲法は今”も わずか30分だったが興味ある内容だった

経団連の代表は 相変わらず「Cラインで石油タンカーが攻撃されたら」「これまで以上に危険になっている」「海外での経済活動のためにも(改憲は必要)」という。
相手に攻撃の意思があれば 護衛されていようがいまいが攻撃するだろう
攻撃には理由がある 理由をつくりださないことが大切なのだが・・・。
番組は メーデーに参加したニート、フリーターのデモも取材していた。400人が「時間給をひきあげろ!」「残業代を支払え!」とシュプレヒコールを繰り返していた。
その中に 作家・雨宮処凛の姿があった。マイクを持っていっしょにシュプレヒコールしていた。彼女は 元右翼だがいまは護憲派である。
若者たちの憲法感は 「戦争でもおきないと今は変わらない」「バイトするより自衛隊がいいと思う 国が給料を保証してくれるから」
雨宮は若者たちと交流しながら感想を述べる。「彼らにとって 戦争が希望。平和は絶望」「利権の配置は変わらない。異議申し立てなのです」と。

若者たちの声を聞きながら 満州事変直後の「純朴そのものな村の年寄りの一団」の会話を思い出した。
小熊英二という人が『民主と愛国』で 「1930年代前半には 経済不況からの脱出口として 戦争に期待をかけていた庶民も少なくなかった」と述べ 農本主義者の右翼橘孝三郎が記録したという『純朴そのものな村の年寄りの一団』の 列車の中の会話を記している。(友人から送られた資料で知ったのだが)
会話とは
「どうせついでに早く戦争でもおっぱじまればいいのに」「ほんとにそうだ さうすりゃあ一景気来るかもしらんからな」「ところでどうだい こんなありさまで勝てると思うかよ なにしろアメリカは大きいぞ」「いや そりゃどうかわからん しかし日本の軍隊はなんちゅうても強いからのう」「そりゃ世界一にきまってる。いかし 兵隊は世界一強いにしても 第一軍資金がつづくまい」「うむ・・・」「千本桜でなくとも とかく戦いというものは腹が減ってはかなはないぞ」「うむ そりゃそうだ。だが どうせ負けたって構ったものじゃねえ ひと戦争のるかそるかやっつけることだ。勝てばもちろんこっちのものだ。思う存分カネをひったくる。負けたってアメリカならそんなにひどいこともやるまい。かえってアメリカの属国になりゃあ楽になるかも知れんぞ」

デモの若者と 「年寄りの一団」の会話。似ている。
満州事変直後と今。
「閉塞感」を打ち破るためには 殺したり殺されたりは二の次なのだ。
満州事変直後と 今は違う。いまは「憲法」がある。その気があれば選挙で仕組みを変えることができる。そこが決定的に 違う。

格差や貧困 ニート、フリーター問題を本気になって考えようとしないのは そんな人たちがさらに増えることを待っているのでは・・・とも思える。
そんな若者たちが 閉塞感からの「お出口はこちら!」と案内される道は 「いつかきた道」である。
若者たちとの会話が成立する状況は生まれている。

日本の軍事費に占める人件費を調べてもらった。
07年の防衛予算 4兆7000億円 そのうち人件費2兆1000億円。
約半分が人件費。
「九条」改悪と徴兵制。かつては「一銭五厘のハガキ」一枚で徴兵された。
ものごとには 必ず経済的側面がある。
若者たちとの会話は 十分に成り立つ。
そんなことを考えさせられた『クローズアップ現代』であった。