「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

逃げないでおくれ

2006-10-31 13:14:24 | Weblog
北海道滝川市で小学6年生女児 自殺
福岡県筑前町の中学男子生徒 自殺
岐阜県瑞浪市の中学女子生徒 自殺
長崎県立高校の女生徒 自殺未遂
鹿児島県奄美の中学女生徒 自殺未遂・・・・

連日のように児童 生徒の”いじめ”による悲劇がつたえられている

児童の遺書を紛失したという教育委員会がある
遺族の前で「いじめがあった」と謝罪しながら
「いじめは確認できていない」「誘導尋問だった」と 発言が二転三転する校長もいた
知らされる側は やりきれない

なのに 文部科学省の統計では
全国の児童 生徒の「いじめによる自殺」は1999年以降7年間ゼロとなっている
なんでそうなるの?

学校がいじめ発生件数の年間目標をゼロにしないと 教育委員会の学校評価が大きく下がる などの事例が各地にあるようだ
「組織的ないじめの隠蔽」である
「自己管理シート」を義務づけられた現場の教師は その内容が給料に反映するので 報告しない仕組みのようだ

メディアは いじめによる自殺もんだいをいっせいにとりあげた
たとえば みのもんたの『朝ズバッ』は2週にわたって緊急特集を組んだ
寄せられたメール ファックスは6000通を超えている
内訳は 友人からいじめられた・・60%
    先生から・・・・・・・・・・40% だそうだ
複数のコメンテーターから「(隠蔽は)自分の学校を守りたいから」「先生の質が落ちている」「他人の痛みがわからない」などの意見が飛び交うが 10月30日に論戦が開始された教育基本法については 触れられない
ゲスト出演(30日)の瀬戸内寂聴さんが「教育基本法を変えればいいというものじゃない」と発言したが 言い終わらないうちにコマーシャル。
あとのフォローはない。

報道担当者が 国会状況を知らないはずがない
「教育の憲法」といえる教育基本法が なぜ変えられようとしているのか・・・・
選別教育が加速すれば いじめはさらに増えるにちがいない
自民と民主で「愛国心」導入競争をやっている時期か!!

メディアは教育基本法問題から逃げないでほしい。

教育基本法
第一条(教育の目的)教育は 人格の完成を目指し 平和的な国家及び社会の形成者とし
    て 真理と正義を愛し 個人の価値をたっとび 勤労と責任を重んじ 自主的精
    神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない
第二条(教育の方針)教育の目的は あらゆる機会に あらゆる場所において実現されな
    ければならない。この目的を達成するためには 学問の自由を尊重し 実際生活
    に即し 自発的精神を養い 自他の敬愛と協力によって 文化の創造と発展に貢
    献するように努めなければならない

前文  われらは さきに 日本国憲法を確定し 民主的で文化的な国家を建設して 世
    界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した この理想の実現は 根
    本において教育の力にまつべきものである
    われらは 個人の尊厳を重んじ 真理と平和を希求する人間の育成を期するとと
    もに 普遍的にしてしかも個性豊な文化の創造を目指す教育を普及徹底しなけれ
    ばならない
    ここに 日本国憲法の精神に則り 教育の目的を明示して 新しい日本の教育の
    基本を確立するため この法律を制定する。

われ疑う 故にわれ有り

2006-10-14 15:25:14 | Weblog
北朝鮮は 「核」実験のまえにロシアと中国に通知していたといいます。
10月9日 北朝鮮は「実験した」という声明を出しました。
北の国営テレビは「実験は成功した」と発表しました。
各国の地震計は 数値はまちまちですが「地震とは異なる揺れを感知した」といいます。

北の核実験のニュースは世界を駆け巡りました。
メディアの多くは「核」実験を事実化した報道となりました。
テレビ各局は街の声を集めていましたが 「あの国は何をするかわからない」というオンパレードでした。

北朝鮮の発表は本当だったのでしょうか。
航空機による大気中のチリ収集では「異常なし」でした。
その後(11日)アメリカの航空機による観測で 「ごく微量の放射性物質を確認した」そうですが 「ごく微量」とはどんな意味をもつのでしょうか。
検査結果はすぐには出ないといいます。
いまだに 実験に関する詳しい情報 実験場所ははっきりしていません。

アメリカは「放射性物質は核実験によるものと思われる」といっていますが
フランスは「核実験であった場合 失敗した可能性がある」「TNT火薬500キロ前後の爆発かもしれない」といっています。

安倍内閣は 船舶の出入り禁止などの制裁強化に踏み切りましたが
その理由は「核実験したと言ったこと自体が挑戦だ」です。

核実験が事実であれば 許されることではありませんが
今回の事態をめぐる報道は 冷静さを欠いているんじゃありませんかね。

あのみのもんた氏も「憲法九条は世界に誇るものじゃないですか」と言いながら
「経済制裁 思い切ってやってくださいよ安倍さん」といいます。
きちんと発言しているのは 爆笑問題の太田 光氏だけかもしれません。

小森陽一東大教授が 著書『心脳コントロール社会』(ちくま新書)の中で イギリス
の貴族出身のアーサー・ポンソビーの「戦争プロパガンダの10項目の法則」を紹介しています。面白いからここでも紹介します。
1 われわれは戦争をしたくない
2 しかし 敵側が一方的に戦争を望んだ
3 敵の指導者は悪魔のような人間だ
4 われわれは領土や覇権のためではなく
  偉大な使命のために戦う
5 われわれも誤って犠牲を出すことがある
  だが 敵はわざと残虐行為におよんでいる
6 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
7 われわれの受けた被害は小さく
  敵に与えた被害は甚大
8 芸術家や知識人も
  正義の戦いを支持している
10 この正義に疑問を投げかける者は
  裏切り者である・・・・と。

小森氏は「われ疑う 故にわれ有り」と自我観を持って生き抜いていく必要を指摘しています。
世界は「核」をめぐってあたらしい岐路にさしかかりましたね。
核に 許される核と 許されない核があるのでしょうかね。
ダブルスタンダードは もういい加減にしてほしいものですよね。

こんなことを書いているとき
菅 義偉という総務大臣が(13日)NHKの短波ラジオ国際放送で 拉致問題を重点的に取り上げるよう命令することを検討する考えを述べましたよ。
安倍首相は「問題ない」といったそうです。
大問題ですよ。
命令放送とは 放送法が国際放送について定めている制度ですが これまでは具体的な放送内容について言及したことはありません。
「国策協力の強要につながる」という批判が出ているといいます。当然です。
「命令放送」が拡大したらどうなると思います?
放送全体が「国策放送」を強要されることにもなりかねませんよ。

北朝鮮問題をめぐっては さらにいろんなことが起きてくるでしょうね。
メディアは 一刻も早く「冷静さ」を取り戻すべきですよ。

番組に介入した人が 総理大臣になった

2006-10-01 18:14:13 | Weblog
2001年1月のことは忘れません
内閣官房副長官だった安倍晋三氏と中川昭一氏が NHKの番組に介入したことを・・・・・。

二人とも「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の中心メンバーでした。

介入した番組は 1月末放送予定の「ETV2001」”日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷”です。従軍慰安婦問題がとりあげられました。
当然のことながら 責任は天皇に及ぶことになります。
右翼による抗議行動で NHKの「あたふた」がはじまりました。
番組は 見るも無残に改竄されました。

はじめのうち 改竄は右翼の抗議のせいかと思っていたのですが 実はそうではなかったのです。
安倍 中川両氏が NHKの幹部を呼んで説明を求めていたのです。
朝日新聞がとりあげました。
政治家による番組介入として メディアはいっせいに取り上げるだろうと思っていましたが 朝日新聞は「ぐずぐず」になってしまいました。
NHKは 「独自の判断で番組に手を入れた」といい逃れました。
この問題は いま法廷で争われています。
この間のことを告発した勇気あるプロデューサー二人は つい最近現場をはずされました。不当配転といっていいでしょう。

その安倍晋三氏が総理大臣になってしまったのです。
中川昭一氏は政調会長です。番組介入コンビです。

東京新聞(9月23日)は その辺のことを鋭く指摘しています。
「気になる安倍流のメディア対応」
「安倍政権にメディア戦々恐々?」
「”活用”から”介入”懸念の声も」・・・・・と。

そんな声はどこ吹く風。
総裁選以来 はやくも「ご機嫌とり」「すり寄り」をはじめましたね。
密着好きのワイドショーは 「5年ぶり ファーストレディー誕生」などと持ち上げ役です。

極めつけはテレビ朝日の ニュースや座談会を織り込んだドラマ仕立ての『特報スクープ決定版・安倍晋三宿命の半生』(9月23日)です。
ご覧になった方もいるでしょう。
結果は「よいしょ番組」でしたね。
政治評論家による座談会「安倍政権の期待と不安」のコーナーに期待しましたが 「不安」については語られず仕舞いでしたよ。

初めての所信表明演説を聞きました。
「お坊ちゃん演説」でしたが 中身はすごかった。
憲法改定を打ち出しました。
改憲手続法の早期成立に強い期待を表明しました。
集団的自衛権の行使について研究作業に着手するそうです。
あたらしい教育基本法の早期成立を期待するといいます。
防衛庁の「省」昇格をやるようです。
歴史認識について触れることはありませんでした。
安倍内閣は「戦争ができる国づくり内閣」だということが はやくも明らかになりましたね。

メディアは 「ご機嫌とり」をやっている場合じゃありませんね。
もうそろそろ「政治からの独立」を考えましょうよ。