「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

『臨界幻想2011』(青年劇場公演)が問うもの

2012-05-24 16:26:44 | Weblog
 5月22日(火) あいにくの雨模様。
 にもかかわらず、新宿・紀伊国屋サザンシアターは満員でした。
 青年劇場の『臨界幻想2011』です。

 この日の舞台は、予鈴 本鈴なし。
 開幕前から東日本大震災による被災の模様がスクリーンに映し出されます。破壊された福島第一原発、うず高く詰まれたままの瓦礫・・・・・。画面は、静かな(開幕に向けての)導入効果になっています。客席も、そのことに気づいたのか、私語もなくなり、やがて静かになりました。
 舞台は、原発で働く青年の死からはじまります。
 原発を「未来の産業」とあこがれ、原子力発電所に就職して7年目のことです。
 死因は心筋梗塞。
 残された母親は、息子の本当の死因は何だったのか・・・疑問を抱きはじめます。
 暴力沙汰・・・因果関係を認めようとしない医師・・・内部告発・・・電力会社による口封じ・・・。
 しかし、やがて隠されていた真実があきらかになっていきます。

、ふじたあさやさんの「臨界幻想」は、千田是也さんの演出で1981年~82年に全国公演されていたのです。知りませんでしたねえ。
 今回はふじたあさやさん自身の演出になるものです。
 芝居のテンポのよさに感心しましたねえ。一人何役ももたされた俳優さんは大変だったと思う。急いで衣装換えしている舞台裏を想像するだけでもスリルがありましたよ。
 母親役の藤木久美子さんは敢闘賞ものです。

福島明夫さんが劇団代表になったのを知ったのは つい最近です。製作ごくろうさまです。
 休憩時間に旧知の俳優・後藤陽吉さんに(久しぶりに)会うことができたのも「臨界幻想」のおかげです。客演ででも舞台に立ってほしいねえ。

 舞台は、これから果てしなくつづくであろう「放射能」とのたたかいを予言するように終わります。
 福島では、いま、放射能という言葉は”ご法度”だといいます。
 放射能問題は、いまや「虎の尾」になりつつあります。
 大手メディアが避けて通るなら、身近な小さな(地域や職場の新聞など)オルタナティブメディアで「放射能」問題を追及しつづけることが大事でしょう。
 青年劇場の『臨界幻想2011』は、いわゆる商業演劇ではできないオルタナティブ(もう一つの)演劇です。
 来年には全国公演を考えておられるようですが、可能ならば早めてほしいものです。これは青年劇場の「当たり芝居」になるにちがいありません。

制服向上委員会

2012-05-13 17:15:42 | Weblog
 5月12日(土)午後。下北沢にある教会。
 代田・九条の会の『憲法記念日によせて 講演と歌のつどい』に招かれて話をしたのです。
 ぼくにあたえられた演題は「憲法とメディア」ですが、憲法学者でもないから、いつものことながら、メディアをめぐる状況と、マスメディアの中に憲法はあるのか・・・という切り口の話になってしまいます。「メディアはどんな役割をはたしてきたのか」から、日本テレビ出身なものですから、「創立者・正力松太郎がアメリカの後押しでテレビに乗り出し、公職追追放の身が解除され、衆議院議員になり、やがて 初代原子力委員長に・・」、「大事なときに、メディアは”目くらまし”の役割をはたしてきた。その実例」「マスメディアの現場に憲法はあるのか」「メディアが内包している矛盾」「どうすればいいか・・・。メディアへの評価,批判をしながら、一方で広告主である大企業にたいする要望も」「いまは”体制翼賛”の時代とは違いがある。城南信金の”脱原発”の決意。それにつづく企業が生まれている」「メディアに変わってもらわなければならないが、信用していいか」「身近なところで、自分たちのミニ新聞を活用して、マスメディアが伝えない”情報”をながしていくことの重要性」などを、あちこち脱線しながら聞いてもらったのです。

 ぼくの話の前に登場したのが、いまや各地で引っ張り凧の「制服向上委員会」。
 はじめて彼女たちの歌を聴かせてもらいました。
 中学生から高校生までのグループです。
  ・・・・・・
  ・・・・・・
  忘れないから 原発推進派
  安全だったら あなたが住めばいい
  みんなに迷惑かけちゃって
  未熟な大人で はずかしいよネ

  ダッダッダッダッダッ脱 原発を!
  ダッダッダッダッダッ 大きな声で
  世界へ向けて叫ぼう 危険な現実を
  ・・・・・・
  ・・・・・・

 これは『ダッ!ダッ!脱原発の歌』の一部です。
 唱歌『峠のわが家』で少女らしさをのぞかせながら、民主党批判の歌までとびだして、会場はアンダー20の世界になりましたね。
 彼女たちに負けてはいられない。つくづくそう思いました。

 ぼくが現役だったら、彼女たちを番組に登場させたい。
 「AKB48」なるものが人気のようですが、「制服向上委員会」を登場させれば、「音楽番組も”両論併記”するようになったのか」と評価は高まると思うのですよ。

 報道番組はといえば、似たような主張の政党同士の議論ばかりじゃないですか。視聴者が判断してもらう”両論併記”の考え方はまるでない。
 あらためて、”両論併記”の大切さを知らされた一日でしたね。

 「制服向上委員会」の歌を聴きたい人は、7月1日(日) 港区芝の正則高等学校にお越しください。
 この日は、東京の九条の会・大交流会です。
 彼女たちの出番は11時です。その後は一橋大学名誉教授・渡辺治さんの講演『憲法を日本のチカラに!』。
 そして分散会、もりたくさんの分科会もあります。グッズなんかを販売するコーナーもあります。
 あらたまて「憲法の大切さ」を知りたい人は、ぜひお越しください。
        参加ご希望者は 電話  03-3518-4866
                FAX 03-3518-4867 へどうぞ
 若さではちきれんばかりの「制服向上委員会」に 負けていられません。