「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

日テレと原発と正力松太郎

2011-06-27 09:44:09 | Weblog
 最近は、出身が日本テレビということで、いささか「肩身の狭さ」を感じているのですよ。
 それというのも、日本テレビの創立者(創立は1953年)で、読売新聞社主の正力松太郎氏が1955年、原子力担当国務大臣になり、原子力委員長として原発推進の先導役を担ってきたからです。「プロ野球の父」「テレビの父」と呼ばれた正力氏は、「原子力の父」と呼ばれるようにもなりました。

 日本の「テレビ」も「原子力発電」も、出自はアメリカの世界支配と深く結びついています。
 原発は、アイゼンハワー大統領のアメリカによる世界エネルギー支配を目指した”平和利用”政策に沿ったものでした。
 正力氏は、原発によって日本の共産主義化が防げると考えていたといわれています。
 「このまま貧しさの中に閉じ込められてしまうと、日本は共産化する。生活水準の上昇を拒む諸悪の根源は・・・エネルギー不足問題にあり」「原発が可能になれば、エネルギー不足は解決し、共産化を防ぐこともできるはずだ」とまじめに信じていたと・・・・(内橋克人『日本の原発、どこで間違えたのか』)
 正力氏によってアメリカと「原子力協定」が進んでいきますが、それに抗議して、湯川秀樹博士が原子力委員を辞任していますね。

 テレビの導入も同じ道をたどりました。
 日本にテレビネットワークをつくるきっかけは、カール・ムントというアメリカ上院議員の「台頭する共産主義勢力に対抗するため、ラジオのVOA(ボイス・オブ・アメリカ)をテレビジョン化した”ビジョン・オブ・アメリカ”をドイツと日本に設置せよ」という議会演説だったのです。
 正力松太郎氏とその周辺は、「日本でのテレビネットワークは(アメリカでなく)日本でやる」と進言しています。「計画を日本人みずからやってくれるなら、それが何よりも望ましい(日本テレビ50年史・経営編)」と、ネットワーク構想実現を正力氏に任せることになります。
 当時、正力氏はマッカーサー司令部による「公職追放」の身でしたが、それが解除されます。最近、アメリカの公文書館で正力氏がアメリカ情報局の暗号名で呼ばれていたことが明らかになっていますが、それもうなずけますね。
 テレビ創設のための技術、設備、必要なドルまでも面倒をみてくれたのです。
日テレが、NHKに先駆けて放送免許を獲ったのもうなずけますね。

 日本テレビの正式名称は日本テレビ放送網株式会社です。あまたテレビ局があるなかで、「網」と名のつく局はありません。「網」は反共ネットワークの「網」だといわれる所以はこんなところにあったのですね。「肩身の狭さ」は、そんな経緯が知られてきたからなのですよ。

 だから、日テレが原発問題にどのように向かい合っていくか・・・注目せざるを得ません。
 「電力不足が心配」という原発推進論が聞かれるなかで、「NNNドキュメント’11」(日曜深夜)『原発はなぜ爆発した?』は、安全性を過信してきた東京電力と国の怠慢ぶりを冷静に批判していましたね。「肩身の狭さ」の幾らかは解消しそうです。原発からの撤退に確信をもった報道に期待したい。「頑張れ日テレ!」のきょうこの頃なのです。

「内閣不信任案」・・・あなたならどうする?

2011-06-03 03:53:50 | Weblog
 寒かったり熱かったり、それでも夏はそこまできていますね。
 ご機嫌はいかがですか。
 「ご機嫌どころではないよ、内閣不信任を巡っての日本共産党の態度はなんだ?」と怒っている人もいるでしょうね。
 そんなこともあって、久しぶりに書き換えました。よろしく。

 内閣不信任案の採決の模様をみながら、いろんな意見が出ましたねえ。「NHKの『日曜討論』で、日本共産党の穀田国対委員長は、自民・公明とは立場が違うが、”内閣不信任案”が出されれば賛成すると言っていた。出されたら”棄権”だという。どうなっているんだ」と声高にいう人もいましたね。
     そのことで盛り上がりそうでしたが、別件があって退席し、次の会合に移りました。
     場所は 有楽町のtTRATTORIA(「酒場」という意味)「SCORPION STAZIONE」というイタリア料理
     の店です。
     感じのいい店でしたねえ。店員さんがいいんですよ。イタリアワインだと「キャンティー」が定番でしたが、そこで
     薦められたのは、同じトスカーナ地方の「Etra e China」(エルタ・エ・キーナと読むそうです。”キーナという
     薬草の生える斜面”という意味だそうです。重くて美味かったねえ。

 良い店だったので、つい話が横道に反れました。内閣不信任案と日本共産党の対応でしたね。
 帰宅したら、信頼する友人からメールが入っていました。「共産党が内閣不信任案に棄権することを決めたそうですね。正直、失望しました」「共産党は最初は不信任案が否決されるだろうという予想のもと、反対票を投じることを決めていたものの、可決されそうになったので棄権したと報道がありました。棄権の理由は、党利党略に巻き込まれたくないとも伝えられていますが、本当でしょうか」「この期に及んで賛成でも反対でもないというのなら、共産党はいったいどうしたいのでしょうか」「これこそ、私には共産党の党利党略に見えてしまうのです」・・・・・大要 そんな意見でした。

 日本共産党に訊いたわけではありませんが、ぼくの感想をいいましょうね。
 たしかに、穀田恵二国対委員長が、NHKの『日曜討論』で「自民・公明とは立場が違うが、不信任案には賛成する」といっていました。事実です。
 不信任案の採決で「棄権」。事実ですね。
 さあ そこで、冷静に「この数日」を振り返ってみましょうよ。
 3.11以降の菅内閣の対応(やたら会議をつくるが具体的な進捗が見られない、大震災のどさくさに紛れて、TPPや消費税増税論、漁業・農業の”会社化”、道州制の目論み・・・など、あげれば切がありません)は、従来の自公政権よりひどい政治に突き進む感じでしたよ。
 不信任案が出されるとしたら、あなたならどうします?。ぼくだって不信任に賛成しますね。

 ところが どうでしょう。不信任案提出を前に やたら水面下で動きがありましたね。
 「不信任案の前に国会解散に打って出るのでは」という報道もありました。小沢グループの動きも報じられました。鳩山氏が2回も菅首相と会っていましたね。「解散が怖い」という議員もいたようです。「亀井静香氏が引導を渡した」なんてことも報じられた。「結局、(退陣の日取りははっきりしないが)退陣する約束をしたらしい」ということでしたね。
 知人の多くは、「不信任案は否決されるよ」と言っていましたよ。
 このような状況を何と表現するのですかね。「茶番劇」といっていいでしょうね。
 真剣に「不信任」を考えている側からすれば、「いい加減にしろ!」と言いたくなりますよ。「そんな茶番劇に付き合っていられるか!」・・・・・日本共産党が「棄権」という対応に変わったのは当然だと思いますよ。まじめに「不信任案に対する態度」を考えていたら、ぼくだって「いい加減にしろ!」と怒りたくなりますよ。「棄権」は、「茶番劇」に対する「いい加減にしろ!」の意思表示でしょう。あなただっら どうしますか?。
 これを「党利党略」というのでしょうか。
 わたしたちは、一瞬立ち止まって、冷静に判断しようじゃありませんか。
 日本共産党が、今回の判断にどのような見解をだすか知りませんが、ぼくは、「棄権」はまともな判断だったと思うのですよ。
 みなさん「政局」がお好きなようですが、この国は 大きな曲がり角に直面していると思いませんか?。
 近い将来、国会解散・総選挙ということになるでしょう。原発(時間はかかりますが)からの撤退、早急に「自然エネルギー」への移行、「国民生活第一」の国の予算の抜本的組み変え・・・政治が決断すればできるのです。そんな政治にしたい。そのチャンスは間もなくくるでしょう。
 この際、あれこれの「政局報道」にうろうろすることをやめて、一人ひとり 冷静に「生活を」「この国の行く末」を考えようじゃありませんか。
 気候の変わり目です。御身大切にお過ごしくださいね。

追伸
 6月5日のNHK『日曜討論』で 「ああそうだったのか」とわかりました。
 各党の幹事長、書記局長の出席でしたが 席上、日本共産党書記局長・市田忠義さんが(棄権したことについて)発言していました。「実は、不信任案が出される直前の野党党首会談で、”不信任案が可決されたらどうするのか”とその後の展望を(日本共産党の志位和夫委員長が)たづねたら、谷垣禎一総裁は”確固たる展望はない”とおっしゃったのです。震災、原発対応について菅内角ではだめだと、私たちも菅内閣の対応には極めて不十分なところや問題があるし、信任できないという態度です。けれども、原発を推進して安全対策も怠ってきたのは、自公、自民党政権だったわけです。その反省もないのに、(新しい政権なら大丈夫と)言ってもその保障がないとの点で不信任案には組しないとした。同時に菅内閣も信任できないという立場から、棄権をしました」と。
 「不信任案が可決されたあとの展望がない」というのは、率直といえば率直ですね。そんなやりとりがあったとは知りませんでした。市田さんのこの指摘について問われた石原幹事長はまともに答えられませんでしたね。
 自民党、公明党は、なにがなんでも(対決の政策も無しで)政権交代なんですね。「茶番劇」というのは当たっていましたかね。
 いま、「大連立」で騒いでいますが、原発をどうするのですか・・・・。どうやら「脱原発」に踏み切れないようです。被災者支援、被災地の復旧、原発被害対策の先は見えません。一方で、消費税を上げるという。国民生活優先の政策を掲げる政党を国会から締め出そうとする「比例定数削減」まで言いはじめていますよ。民主党と自民党の「政権のキャッチボール」というのが どうやら「大連立」構想なんですね。こんなことの繰り返しでは、この国は前へ進めません。いや、後退することになるかもしれませんよ。「体制翼賛国家」にはなりたくありませんねえ。