「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

地デジ化完全移行は 延期するのがいちばん

2010-07-24 18:07:44 | Weblog
 来年7月24日。地上デジタル完全実施となっています。
 いま使っているアナログ受像機は、このままだとただの「箱」になってしまいます。

 各局とも地デジ宣伝につとめていますが、NHKの力の入れようはケタはずれです。名のある俳優を多数登場させて、ホームドラマ仕立てでアピールしてみたり、「地デジ化応援隊」というのをつくってみたり。応援隊には王貞治さんや萩本欽一さん、桂歌丸さん、高橋英樹さんなどがズラリです。アナログ受像機の右上には「アナログ」という文字が居座っています。まるで「脅迫」ですよ。

 本当に移行できるのでしょうか。
 2011年7月24日に移行すると決めたのは2001年。たしか小泉内閣のときでしたね。そのために電波法を「改定」したのです。
 2003年を「デジタル元年」と称して、有名アイドル歌手などを使って宣伝を開始しました。
 移行の理由は「電波の有効利用」だといいます。国策なのですかね。いや、デジタルに移行すると大変な経済効果が生まれると計算した向きがありますね。そりゃそうですよ。この国にある受像機数は1億2千万台とか1億3千万台とかいわれています。それが全部買い替えられたとしたら大変な金額です。放送局も、設備投資に莫大な費用をかけましたよ。NHKから民放までが費やした金額は相当なものですよ。そのために経営が苦しくなっている局
だってあるはずです。

 ところで、本当に移行できるのでしょうか
 デジタル元年から今年まで、いろいろ宣伝してみたものの、受像機の普及率は(総務省調査では)80%程度だそうです。民間の調査だと70%だといいます。2003年から7年も経って70%~80%です。あと1年で20%から30%がデジタル受像機に変わるのですかね。
 ムリです。
 まず、「そうでなくても生活が大変になってきている。買い替えるなんてとてもできない」人たちがたくさんいることを知っているのでしょうかね。
 「買い替えたけれど、見えない」という家庭もあります。
 放送の原則は「あまねく見ることができる」ことです。いろんな理由で見れなくなる人たちを切り捨てていいのですかね。

 「放送は国民のため」と日頃から言ってきた放送局も、「完全移行しなければ困る」と言いはじめているのですよ。
 現在のアナログ放送とデジタル放送をいっしょにやっていると(これをサイマル方式というのですが)経費がかかるというのです。
 たしかに経費はかかるでしょう。しかし、20%~30%の家庭が見れないままだと、スポンサーは何と言うでしょうね。「だったら広告費を20%~30%安くしろ」というでしょう。当然の要求でしょうよ。
 現状のサイマル方式を続けていた方が、民放にはメリットがあるのです。
 NHKもサイマル方式にかかる費用は、受信料収入の1%未満だそうです。やたら金をかけて宣伝している費用はムダ金を使っているようなものです。

 テレビの歴史は白黒テレビからカラーテレビ。放送技術の発達を阻止しようなんて言ってませんよ。どんどん研究はすればいい。デジタル化だって悪いわけではないが、なぜ いま
急ぐのですか。みんなの生活が楽になって、どこでもちゃんと見れるようになって、「もうそろそろ移行してもいいか」という時まで待ってみたらどうですか。
 2011年7月24日地デジ完全移行は、延期するしかないじゃありませんか。ねえ。

参院選とメディアーーまたも「目くらまし」

2010-07-20 14:03:59 | Weblog
 かつてなく重大な選挙だと位置づけられていた第22回参院選挙が終わった。
 終わってから時間は経過しているけれど、触れないわけにはいきませんね。

 政治が曲がり角にくる毎に、必ずといっていい「新党」が発生してくるものですね。今回も、自民党から枝分かれした「新党」が、有権者にとって「目くらまし」の役割をえんじましたね。

 最初の党首討論は日本記者クラブ主催だった。
 「消費税増税は法人税減税の財源づくり。福祉財源にも財政再建にもならない」としてきしたのは日本共産党の志位さんだった。
 この発言を受けて、記者の中から民主党の菅代表に「法人税の25%という削減目標はできるのか?」という質問が出た。
 てっきり消費税や法人税の議論になるだろうと期待して見ていましたよ。
 ところが、ならなかった。前列に並んでいるのは記者クラブの幹事社なんですかね。討論会の進行を仕切っていましたからね。時間が限られていたのか、その気がなかったのか、突っ込んだ議論にならなくて、中途半端で打ち切られたのです。

 普天間基地問題もそうでしたね。自民党も みんなの党も 「沖縄県民の納得を」というばかりです。「納得」とは、県内たらい回しの日米合意を「呑め」ということですよ。「押し付け」の同義語ですね。

 各局で党首討論番組が放送されましたが、なにせ9党ですからね。新党が増えた分だけ討論時間を延ばさばよさそうなものですが、テレビ局側にその気はありませんでしたね。ゴールデンタイムをぶち抜いて党首討論をやったらどうですかねえ。それこそ「社会的責任」を果たすことになるとおもいますがねえ。

 結果は、争点となるはずの「消費税増税」議論は生煮えのままでした。
 「普天間基地撤去」問題は、議論の外に置かれたままで終わってしまいました。
 大事な参院選だったけれど、「メディアの対応」は「争点隠し」で終わってしまった。

 ジャーナリストの江川紹子さんが言っていましたね。「(今回の参院選について)メディアの伝え方にも問題があった。どこが勝ちそうだとか、だれとだれがくっつきそうだとか、政局の方にだけ目が向いていたのでは・・・」(7月18日 NHK『日曜討論』”ねじれ国会再び”)と。そのとおりですね。メディアも「自覚」してくれませんかねえ。

 「普天間基地撤去」問題はこれからです。
 11月にはオバマさんが来るようです。オバマさん宛ての署名を集めたいねえ。「普天間基地を無条件で撤去してほしい!」「日米安全保障条約は終わりにして、新しく友好条約を結び直しましょうよ」といった趣旨の署名ですね。
 どこかにたくさん集まって、国会デモとか 銀座デモとか・・・。日本国政府が言えないのなら、われわれが言えばいいじゃないですか。どうですかね。