「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

紅白歌合戦・考

2012-01-11 15:03:13 | Weblog
 ちょっと古い話になってしまいましたが、何か忘れ物をしているような、そんな気持ちでいたものですから、さっぱりしたくて書いてしまいます。
 昨年末のNHK『紅白歌合戦』のことです。

 東日本大震災の復興支援がテーマでした。
 「世界からのメッセージ」コーナーには、ドイツで活躍のサッカー選手・長谷部誠さん、香港の俳優・ジャッキー・チェンさん、アメリカの人気歌手・レディー・ガガさんがコメントを寄せ、福島出身の4人組バンド”猪苗代湖ズ”が初登場で『Ilobe you &Ineed you フクシマ』を、歌手・長渕剛さんは、石巻市の小学校校庭から、”ぼくは 悲しみを抱きしめようと
決めたァ!”と新曲『ひとつ』を熱唱、フクシマ出身の俳優・西田敏行さんは、涙をこらえながら ”あの街に生まれてよかったといわせてくれ 大切なものが何か 教えてくれた故郷よ”と謳いあげました。
 西田さんの場面では、集会場に集まった(涙を拭きながら)聴く被災者の方々の姿が中継されました。
 視聴していた多くの人たちと被災地が 心を寄せ合った瞬間だったかもしれません。

 それが 気になったのです。
 3.11直後から流されたAC広告と、なぜかダブって見えたのです。
 あの頃、「思いやり」とか「日本は強い国」とか「日本はひとつ」とか・・・・・、有名タレント、有名スポーツ選手を登場させて、結果的には、東京電力と国に対する責任追及から目を反らさせる役割を果たした あのAC広告とです。
 私には、あのAC広告の「年末集大成版」に見えたのです。

 現実は・・・被災地は大変な寒さです。
 東電福島原発事故は「レベル7」
 放出された放射性セシュウムは広島原発168個分
 県内経済にも大打撃
 避難している人 15万人。6万人強が県外での生活を余儀なくされています
 炉心の中がどうなっているか わかっていません
 放射能汚染の広がりも知らされていません 海洋汚染の実態もわかっていません
 瓦礫の処理も
 岩手、宮城、福島の小中学校のほぼ半数は 復帰のめどが立っていません。

 福島県議会は、県内原発全10基の廃炉を求める請願を採択しました。
 福島では、「放射能除染、全面賠償、原発ゼロ」という願いを受けて、「国・東電」に対する日本共産党を含めた「オール福島」のたたかいという状況が生まれています。

 「国民的番組」といわれたこともある『紅白歌合戦』です。
 未曾有の、歴史的な、大震災、原発震災の年に わざわざ「復興支援」と銘打ってやったのですから、国民的「怒り」が滲み出るものであってほしかった。
 「それは期待しすぎだよ」といわれるかもしれませんが、(大変な制作費をかけたでしょうに)一歩踏み込んだ、一工夫(ほんの僅かなシーン、僅かなカットでいい)がほしかったのですよ。
 これは望み過ぎでしょうか。私ひとりの「天邪鬼(あまのじゃく)」な見方でしょうか。

 いずれにしても、書いてホッとしています。
 読んでいただいてありがとうございます。

 

謹賀怒龍年

2012-01-02 12:00:34 | Weblog
 革新都政の会ニュースに寄せた「新春随想」です
 年初のご挨拶としては 手抜きかな。

 私の賀状。ことしは
   あけまして めでたいかどうか・・・
   おわってみなければわかりませんが
   謹賀怒龍年
   激動之年 選択之年
   ことしもよろしくおねがいします
   2012年 はじめに 
です。

 「漂流」状態の民主党内閣は、昨年末も押し詰まったタイミングで本性を露呈しました。
 普天間飛行場の移設に向けた環境影響評価書(アセスメント)を、こっそり沖縄県庁に運び込んだのは12月28日未明。
 翌29日には、「コンクリートから人へ」のマニフェストを投げ捨て、八ッ場ダム「建設再開」を決定。
 その日の夜の同党税制調査会は、2015年10月までに消費税率を10%とする案をまとめたのです。
 原発事故の収束も、被災地の復旧・復興の目途も立っていないというのに、「国民のいのちと生活」は置き去りにしたままです。『龍』も怒る年になること必然です。

 教育問題や大型公共事業など難問山積の東京都政ですが、生活時間の半分を都内で費やしている身として心配なのは「大震災」です。
 石橋克彦・神戸大学教授が衆院予算委員会公聴会(2005年2月23日)で公述した話を思い出しています。それは
 「日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入りつつある」
 「どういう震災が起きるか・・・広域複合愛震災、長周期震災、超高層ビル震災とかオイルタンク震災。そして、原発震災というものが将来起こりうる」
 「人類が、まだ見たこともないないような、体験したことこともないような震災が生ずる可能性がある」
 「巨大地震が起きると、非常にゆったり大きく揺れる長周期の地震波を放出する」
 「最近の超高層ビルは制震装置というのを備えて揺れを抑えるといわれているが、まだ実際の長周期震動に洗礼されたことがない。その構造物自体が損傷するかもしれない。これが長周期震災」
 「オイルタンク火災、コンビナート火災は、津波によって火のついた油を乗せた海水が市街地に遡上して、市街地延焼化作用を誘発することも起こりうる」
 というものでした。
 この警告は、予算委員長(当時は自民党)の「ありがとうございました」の一言で片付けられています。
 しかし、石橋教授の公述どおりのことが、6年後に起きたのです。

 いま、巨大地震による長周期震災が東京に起きたら・・・。
 オリンピック誘致や、1メートル1億円の道路建設などを発想すること自体 不思議です。
 安心して住み、働きつづけられる東京にしていきたい。
 その「思い」をあらたにしている『龍年』の初めです。