「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

金正日総書記死去で思い出したこと

2011-12-20 12:07:45 | Weblog
 12月14日。なかのZERO大ホール。「いのちを歌う あしたを語る」へのご参加ありがとうございました。
 900名を超える参加でした。
 12月だというのに30分も延びるなど、舞台進行担当としては反省の多いイベントでした。日頃から「こんな集まりならまたきてみよう」と思っていただけるものにするために、その都度工夫をこらしてきたのですが、今回はきわめて不十分なものとなってしまいました。
 次回は、今回の反省をこころにとめて努力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

 そんな矢先、金正日朝鮮労働党総書記が17日午前8時30分、現地指導の際、過労により列車内で死亡したという報道がありました。死因については、心筋梗塞を起こし、心原性ショックを併発したためだそうです。
 後継者については、朝鮮労働党中央委員会、党中央軍事委員会などが連名で発表した報道文には、「尊敬する金正恩指導者の領導に忠実に従おう」とあり、金総書記の三男の金正恩中央軍事委員会副委員長(28歳)が後継者となることを示唆しています。
 日本政府は安全保障会を開催し、不測の事態に備え万全の体制構築を指示したといい、韓国も国家安全保障会議を緊急招集。中国も国境警備を強化したといいます。
 何年前でしたか、「テポドン」の発射訓練で大騒ぎしたことがありましたね。韓国海軍の哨戒艦が沈没した事件もありました。哨戒艦のときは、(事件の真相がわからぬまま)鳩山首相(当時)は「だから”抑止力”が必要」といい、沖縄の基地の重要性を強調したものです。
 原発問題に収束のメドはたたず、被災地復興は掛け声ばかり、TPPは・・・消費税は・・・年金は・・・。国民の怒りが増すばかりのいま、金正日総書記死去への対応が「目くらまし」に利用されないように注目する必要がありそうです。

 後継者問題で思い出したことがあります。
 2009年7月。韓国記者協会主催のジャーナリスト世界会議に参加したときのことです。ぼくが参加した目的は、北朝鮮に詳しい慶南大学教授・LIM EUL-CHOOL(リン・オンチョル)さんの話を聴くためでした。
 リン教授はいいます。「後継者といわれているのは金正恩。26歳(実際は23歳、業績を上乗せするために年齢を多くみせるという)。北朝鮮は内部的後継者を急いでいる。金正日総書記の健康問題」と。
 2009年に23歳だといいますから、いまは25歳ということになります(発表は28歳となっている)
 金正恩氏が軍事委員会副委員長になったとされるのが2010年9月ですから、リン教授の予測は当たっているといえますね。
 リン教授はさらにつづけます。「ただちに金正恩体制にはならないだろう。後見人が仕切ることになる」「その後見人は、金正日の妹婿のチョン・ソンテツ氏。この人は国内で支持が多い」と。
 そこで北朝鮮はどのようになるのかに関心が集まります。
 リン教授は、「内部で変化の可能性が高い」「どのように変化させていくか さまざまな(人権問題、経済協力、軍事的なものも)要素を少しづつ替えることになるだろう」と。

 いまのところ、体制はリン教授の分析どおりにすすんでいるように見えます。
 国際社会の責任ある一員としての道をすすむ条件をつくりだす土壌は(不確実ながら)つくられていくことになるかもしれません。この際、北東アジアの平和に向けて、日本も外交的努力をする時期にきているといえます。
 いろんな意味で、いま 日本は重要な局面にあることをつくづく認識させられていますよ。
 いろんな場所でああでもないこうでもないと話し合いながら、注意深く見守っていこうではありませんか。
 よいお年をお迎えください。

『坂の上の雲』と城南信用金庫

2011-12-11 14:22:40 | Weblog
 NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』。第三部(完結編)がはじまりましたねえ。各方面から 「いま なぜ 『坂の上の雲』なのか」と問われつづけてきましたが、走り始めた車は止まらないようです。
 第三部第一回は「旅順総攻撃」。日本の近現代史を教わっていない人にとっては 何がなんだかわからないのではないでしょうかね。つくる側だけが「自己陶酔」している。なんとか見てもらおうと、NHKも苦労してますね。放送日に合わせて電車の車内吊り広告をやっていました。JRと京浜急行のタイアップです。
 でも、第一回の視聴率は12.7パーセント(ビデオリサーチ調べ)。”視聴率至上主義”でいうわけではありませんが、テレビドラマの視聴率は(民放では)昔は25パーセントが合格点でしたね。局間競争が激しくなるにつれて その数字も下がってきました。20%になり、いまや15%です。15%以下なら失敗作の烙印を押されるのです。
 
 もともと、司馬遼太郎は「軍国主義の鼓舞につながると思われるから」と映像化を許可していなかったのです。
 それを2001年(海老沢会長時代)に映像化権を得たのです。この年は、「従軍慰安婦」問題を扱った『ETV2001』が政治家の圧力で無残に改ざんされた年です。「靖国派におもねった企画」といわれていました。なにせ「坂の上の雲」は、中曽根康弘氏なんかは「われわれにとって すばらしい歴史教科書」とべた褒めしていたものです。
 第一部から第二部は 3人の主人公(秋山好古、真之兄弟と正岡子規)が松山を出て東京で「出世」していきながら、日清・日露戦争で活躍していく姿が描かれました。日清戦争は、朝鮮を植民地化する戦争でしたが、司馬遼太郎はそのことを描いていません。「司馬遼太郎の歴史観」は、多くの歴史学者、マスコミ人から批判されてきたものです。
 司馬自身、小説の中で「これからは日露戦争を書くことになる」といっているように、日本がいかにしてロシアに勝っていったかの戦術がこれでもかと描かれているのです。
 見る人は、歴史的背景を知らされないままですから、「何がなんだかわからない」ことになるのです。
 第二回は「203高地」。この戦いで6万人の死傷者を出したといわれています。第三回は「敵艦見ゆ」。最終回は「日本海海戦」です。

 民主党は、当初、まがりなりにも「東アジアの平和」といっていました。この作品を見た韓国・中国の人たちはどんな印象をもつのでしょうか。視聴率12,7パーセントといっても、全国で(猫が見ていても視聴率ですが)1270万人が見た計算になります。「いまの閉塞感を、明治の気概で乗り切ろう」などと思う人だって現れるかもしれません。あらためて歴史認識について
周囲で話し合ってみてはどうでしょうか。

 一方で、歴史を前にすすめようとしている企業もあります。
 以前 このブログでも紹介しましたが城南信用金庫です。理事長が「脱原発」といえるメッセージを発表したことで一躍脚光を浴びています。以来、顧客が増えているそうじゃありませんか。
 その後、同金庫は東京電力との契約を解除したそうです。「原発に頼らない安心できる社会」に向けて、具体的に踏み出したのです。「営業活動のなかでも呼びかけ、国民運動として展開したい」といっているのです。日本も捨てたものではありません。

 ところで、12月14日、九条の会・東京連絡会が「さようなら原発 平和・9条ーー音楽と講演のつどいーーいのちを歌う、あしたを語る」を開催します(なかのZEROホール 19時開演)。魂のテノール歌手・新垣勉さんの歌と、九条の会事務局長・小森陽一さんの講演です。これだけでも納得の内容ですが、福島九条の会・事務局長の真木実彦(東北大学名誉教授)の訴えと、なんと、城南信用金庫の吉原毅・理事長からのメッセージが紹介されます。メッセージの中身は、当日のおたのしみということにしておきます。
司会は、元TBSアナウンサーの藤田恒美さんが引き受けてくれました。これもおたのしみの一つです。
 日本は いま 大きな曲がり角。この「つどい」で、あたらしい年に向かいたいたいものです。