鉄卓のブログ「きままに」

「写真」「ウォーキング」「旅」「縄文」をきままに楽しく。
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「旅」-漢和辞典より【「旅」-5】

2016-01-24 | 読書
国語辞典では「旅」(タビ)であるが、漢和辞典では「旅」(リョ)である。我が家にある漢和辞典で引いてみた。それぞれの辞書の3番目まで。
『①昔の軍制で五百人の部隊。②軍隊、戦争。③おおぜいの人。』(「新選漢和辞典」小学館、1968年)
『①軍隊。いくさ。周の軍事制では、兵士五百人の隊。②もろもろ(衆)。ともがら。③かしら、族長。』(「角川新字源改訂版」角川書店、1999年)
『①軍隊の編成単位。五百人《一説に、二千人》②軍隊。「軍旅」③群衆。ともがら。』(「全訳漢字辞海」三省堂、2012年)

漢字は中国から伝わった。文字を持たなかった私たちの祖先、そして渡来してきた人たちは、日本列島で使っていた言葉を漢字に当てはめて使う作業を長年に渡って続けた。一つの漢字の意味がびったし一致するものはそうはなかったと思われる。苦心の連続であっただろうと思う。
「旅(リョ)」が「たび」とされたのは、「軍隊の移動」がイメージされたことからのようである。

「旅」と地名【「旅」-4】

2015-10-16 | 読書
最近読んだ本から。
「土地は人を呼び、人は土地を求めて旅行する。土地の名はその土地の印象をそのなかに蓄え、その土地の内容をあらわし、その土地への足跡を記念する。旅行者にとって、その地名は行動圏の拡大を意味し、よきにつけ、あしきにつけ、彼の生活のモニュメントとなる。多くの土地への交通が容易となってきた現代生活は、すなわち足の生活であり、時にはいくつかの地名を股にかけた遍歴の生活であるかもしれない。こうして、人びとは多くの地名を欲し、情報を求める。かくて、旅行は地名情報のこよなき媒体である。」(山口恵一郎著「地名の成り立ち」徳間書店、10-11P、1967年)

「旅」-国語辞典より【「旅」-3】

2015-10-08 | 読書
我が家にある国語辞典で「旅」を引いてみた。
『住んでいるところを離れて、一時的に他の土地へ行くこと。』「明鏡国語辞典 携帯版」大修館書店、2006年
『(1)差し当たっての用事ではないが、判で押したような毎日の生活の枠からある期間離れて、ほかの土地で非日常的な生活を送り迎えること。(2)差し当たっての用事のため遠隔地に赴くこと。』「新明解国語辞典 第5版」三省堂、2003年
『ふだんの生活をはなれて別の場所に出かけること。』「角川必携 国語辞典」角川書店、1995年
『自宅を離れて、ある期間ほかの土地へ出かけること。』「集英社 国語辞典」集英社、1993年
『自宅を離れて遠方の地をまわり歩くこと。』「新選国語辞典 新版」小学館、1976年

「旅」の始まり【「旅」-(2)】

2015-08-19 | 読書
 縄文時代の土器の製作・使用は人々が定住するムラの出現へと発展する。そして日常的な生活圏ハラで食料や日常生活に必要なもの得て安定した生活が始まる。そして時には、ハラで入手困難な物を求め、ハラの外へ出ていく。ヤマを越えていくこともあるだろう。
 「そうした旅は、定住的なムラ生活の開始とともに始まる。つまり、旅とは人類史上の第二段階になって定住的な生活が軌道に乗って初めて浮上してきた全く新しい行動様式なのである。・・・(中略)・・・旅はムラを離れ、ハラ(日常的生活圏)を離れ、ヤマを越えて移動し、その果てに、馴染みの風土とは異なる風土に入ることであって、単に距離を稼いで遠征することではない。」小林達雄著「縄文の思考」ちくま新書、76P、2012年(2008年第1刷)

「旅」という言葉【「旅」-(1)】

2015-07-13 | 読書
最近読んだ本にこんなことが書かれていた。「日本人は内と外をはっきり区別する。内のものに親しみ、外のものに対してはへだてる。そのために、日本人の『旅』という言葉には特別の感情が現れる。つまり、よそへ行くんだ、外の世界へ出るんだ、という感じであり、寂しい、心細い、特別の味わいがある。」金田一春彦著「日本語 新版(上)」岩波新書、236P、1994年(1988年第1刷)