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たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

諸田玲子著 「恋ほおずき」

2020年09月23日 11時18分52秒 | 読書記

当地 今日は 雨雲に覆われており、時々小雨が降るような天候。
台風12号の北上、停滞する秋雨前線の影響で ここ数日は
晴れそうに無い。


図書館から借りていた 諸田玲子著 「恋ほおずき」(中央公論新社を 読み終えた。本書は 2002年9月から2003年5月まで 「婦人公論」に連載された 「章ノ壱 初蛙」、「章ノ弐 施餓鬼舟」、「章ノ参 草紅葉」、「章ノ四 寒雀」から成る 連作長編時代小説である。

諸田玲子著 「恋ほおずき」

主人公は 中條流の若き女医者江与(24歳)。女医者と言っても 女性専門医ということではなく 実態は堕胎医。当時は本来ご法度だった職業で、浅草田原町の古医方(本道の医者)父親六左衛門の同じ家の裏側で暖簾を掲げている。江与の家には 六左衛門の他に、20年以上住み込んでいる使用人弥助おとき夫婦、江与の妹真弓(16歳)がいる。物語は 江与が 浅草清水稲荷境内で かっぱらいの子供平吉、北町奉行所定廻り同心津田清之助と出会うところから始まる。一方で 六左衛門の趣味は俳諧、岡っ引きの梅蔵は 六左衛門の弟子を自任して 暇を見つけてはやってきて俳諧談義。
「初蛙 脛に飛びつくもちゃそび屋」(孤鶴・梅蔵の俳号)
「子蛙の迷い込みたる青畳」(凍鶴・六左衛門の俳号)
「古女房デンと居座る青畳」(孤鶴)
江戸時代、産みたくても産めない様々な事情のある女性達がいた。子を流さなければならない者の苦悩を描きながら その一方で 江与自身の過去の悲しく切ない事情と子堕ろしとの葛藤、立場上、「子堕ろしは人殺しだ。命の芽を摘み取ることだ」とする同心津田清之助に対し 「子を流さねば生きられぬ者の苦しみをご存知ない故、きれいごとを言う」と 対立する江与であったが、おきく勝代蔦江おひさ綾瀬川志津・・・、次々と起こる事件に関わりながら 江与は 妻子有る同心清之助へ、ほのかな恋心を抱き始め、清之助も江与に惹かれていくという筋書きになっている
「流されて母恋う子らの施餓鬼舟」(凍鶴)
「廃屋は狐狸の棲み処か草紅葉」(凍鶴)
「寒雀寄るな止まるな射て食うぞ」(孤鶴)
天保13年11月、「女医者は血の道の治療をしているだけなら問題ないが、頼まれるままに堕胎をする者があるのはけしからぬ、これからはそうした噂が聞こえたら 頼んだ者まで徹底して調べ、必ず罰を与えることにする」という 女医者取り締まりの触れが出された。

最愛の妻志津を殺された清之助の幼馴染井関彦十郎が 中沢兵庫と決死の果たし合いに臨む緊迫する段もあるが 総じて、出生の秘密を知ってしまう妹真弓や、悪餓鬼から下っ引きの手伝いまでするように成長する平吉、実直で信用のおける岡っ引き梅蔵おまさ夫婦、家族同様の使用人夫婦弥助おとき等々の様々な人間模様を描き、さらに 随所に 六左衛門梅蔵ののんびりした俳諧談義を織り交ぜていて、なんとなく楽しく、ほのぼのしたラブストーリーになっているように思う。
物語としては 「それから どうなる?」、江与のその後を知りたくなるところで終わっている。

 


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takeさん、こんばんわ (たか)
2020-09-23 17:34:58
諸田玲子氏の小説を今、読みあさっております。
「恋ほうずき」は未読ですので、その内 図書館で探してみたいと思います。
因みに今、読んでいる小説は「波止場浪漫」「四十八人目の忠臣」です。
諸田氏の小説は面白いですね。
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たかさん、こんばんは、 (takezii)
2020-09-23 21:38:09
つい数年前まで 全く読書の習慣等 無かった爺さん、 読書初心者?で、諸田玲子の作品についても全く無知でしたが たまたま、「お鳥見女房シリーズ」、「狸穴あいあい坂シリーズ」を読んでから すっかりその作風に惹かれ ファンになってしまい、ちょこちょこ読むようになりました。ままだまだ序の口、「四十八人目の忠臣」も、「波止場浪漫」も未読ですが その内読んでみたいと思っています。コメントいただき有難うございます。
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