たけじいの気まぐれブログ

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長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは 物をこそ思へ

2023年10月25日 09時15分06秒 | 懐かしい小倉百人一首

足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、「けふ、けふ、けふ・・」「なほ、なほ、なほ・・・」等と、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからで、今更になって、「へー!、そういう歌だったのか・・」、目から鱗・・になっているところだ
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、2~3年前、「春」、「夏」、「秋」、「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログ・カテゴリー 「懐かしい小倉百人一首」に書き留めたが、続いて、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、ボツボツ、書き留めてみることにしている。
しばらく中断していたが、秋も深まりつつある季節、再開することにした。


百人一首で「恋」を詠んだ歌 その32

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れてけさは 物をこそ思へ

出典
千載集(巻十三)

歌番号
80

作者
待賢門院堀河

歌意
末長く変わることなく、愛して下さるかどうか
あなたのお心のほどは分かりませんので、
昨夜の寝乱れた黒髪のように、私の心も乱れて
今朝は、物思いに沈んでいますよ。

注釈
「長からむ心」は、「末長く、女性(私)を忘れまいという
男性(あなた)の心」の意。
「知らず」は、「あてに出来ない」「期待出来ない」の意。
「黒髪の乱れて」は、「私の黒髪が乱れているように、
心を取り乱して」の意。
「物をこそ思へ」は、「物思いをすることだ」の意。
「こそ」は、強意の係助詞。

「千載集」の詞書には
「百首の歌奉りける時、恋の心をよめる」
(百首歌を差し上げた時、「恋」の題の趣を詠んだ歌)
と有り、
恋人と一夜を明かした後、朝の別れに、
黒髪を乱して、ただ一人思い悩む女性の情感が
しみじみと伝わってくる作品。


待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)

神祇伯(じんぎはく)源顕仲(みなもとのあきなか)の娘で
前斎院令子内親王に仕え、「六条」を呼ばれていたが、
後に、崇徳天皇の生母待賢門院(たいけんもんいん)に仕え、
「堀河」と呼ばれ、当代の代表的女流歌人の一人だった。


参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)


(つづく)


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