今年4月、日本王座決定戦(暫定)に敗れた久高が、2ヶ月と間をおかず
再起戦に臨んだ。しかもそれはタイのリングで、WBCユース王座に
挑戦するという大舞台だ。
チャンピオンのパノムルンレックは世界ランク1位。ここまでの戦績は
17戦全勝(10KO)。これらの数字だけを見れば、久高にとってかなり
厳しい相手だと思われた。
しかし、久高はよく健闘した。22歳同士、若い2人のボクサーが
お互いの力を存分に出し合う、素晴らしい試合だった。
1ラウンド前半はお互いに様子見という感じだったが、少しづつ打ち合いの
様相を呈してくる。サウスポーのチャンピオンの左ストレートも良かったが、
久高のボディブローもいい。ラウンド終盤には、連打と得意の右カウンターで
攻勢をかける久高。敵地で世界1位の選手を相手にしながら、全く臆する
ことのない堂々とした立ち上がりだ。
2ラウンドにはパノムルンレックもエンジンがかかり始めたのか、
ほぼ五分の展開に戻す。パンチのバリエーションも増えてきた。
3ラウンド、チャンピオンのプレッシャーが強まり、久高が下がる場面が
目立つ。カウンターで迎え撃つのは久高のスタイルの一つではあるが、
前回の日本王座決定戦ではそれが裏目に出て、相手にペースを握られて
しまった。それを思い起こさせる不吉な流れだったが、ラウンド中盤、
久高は自分から打って出る。あんな負け方はもう嫌だという、久高の
意気込みを表すかのようなシーンだった。
4ラウンドも全体的には若干パノムルンレックが優勢に見えたが、決して
久高も一方的にやられていたわけではない。ラウンド終盤には右ストレートを
続けざまに叩き込み、パノムルンレックの動きが止まる場面もあった。
5ラウンドはボディの打ち合いで幕を開け、そのまま激しい接近戦が続いた。
敵地ゆえ、久高がパンチを当てても全く歓声はなく、逆にパノムルンレックの
パンチには、当たろうが当たるまいが観客が一体となって声を上げる。
6ラウンド。久高には疲れが見え、それを感じたチャンピオンが猛攻を
仕掛ける。久高も意地で打ち返して何とか踏みとどまったが、ここは明白な
パノムルンレックのラウンド。
7ラウンド。前のラウンドの流れを見る限り、このまま一気にチャンピオンが
押し切る可能性も考えられたが、ここから久高が奮起。それまでの接近戦から
一転、足を使ってリズムを立て直し、パンチにもキレが戻ってきた。
8ラウンドにはアウトボクシングから再び接近戦へと展開を変えたが、
いずれの局面でも、久高は一歩も譲ることがなかった。6ラウンドの
ピンチを思えば、それは驚異的とも思えた。
9ラウンド。パノムルンレックもさすがに疲れて手数が減り、タイ人の
歓声が上がる機会も少なくなっている。ひたすら前進を続けてきた
パノムルンレックが、後退する場面すら出てきた。
10ラウンドには、久高が更にパノムルンレックを攻め立てるが、
チャンピオンも弱気になることなく打ち返す。そしてゴングが鳴り、
試合は判定へ。
4ポイント差が2人、残りの1人は2ポイント差で、ジャッジは
いずれもパノムルンレックを支持。チャンピオンが防衛を果たした。
ラウンドごとにポイントを振り分ければ、それくらいの差になるのも
納得は出来るが、数字ほどの差があった試合ではない。印象的には、
むしろ接戦であったと言ってもいいだろう。
大雑把に言うと、6ラウンドをピークとして前半はパノムルンレックが
徐々に優勢、その後は逆に少しづつ久高が盛り返すという展開だった。
前回の試合では、相手にペースを握られてそのままズルズルとラウンドを
重ねてしまい、「気持ちの弱さ」という課題を露呈した久高だったが、
今回はそれを見事に克服していた。前回とは段違いの内容だったと言える。
敗れはしたものの、弱い相手を簡単に倒して終わるよりも遥かに大きな
収穫を得たに違いない。試合後の久高は、爽やかな笑顔を浮かべていた。
再起戦に臨んだ。しかもそれはタイのリングで、WBCユース王座に
挑戦するという大舞台だ。
チャンピオンのパノムルンレックは世界ランク1位。ここまでの戦績は
17戦全勝(10KO)。これらの数字だけを見れば、久高にとってかなり
厳しい相手だと思われた。
しかし、久高はよく健闘した。22歳同士、若い2人のボクサーが
お互いの力を存分に出し合う、素晴らしい試合だった。
1ラウンド前半はお互いに様子見という感じだったが、少しづつ打ち合いの
様相を呈してくる。サウスポーのチャンピオンの左ストレートも良かったが、
久高のボディブローもいい。ラウンド終盤には、連打と得意の右カウンターで
攻勢をかける久高。敵地で世界1位の選手を相手にしながら、全く臆する
ことのない堂々とした立ち上がりだ。
2ラウンドにはパノムルンレックもエンジンがかかり始めたのか、
ほぼ五分の展開に戻す。パンチのバリエーションも増えてきた。
3ラウンド、チャンピオンのプレッシャーが強まり、久高が下がる場面が
目立つ。カウンターで迎え撃つのは久高のスタイルの一つではあるが、
前回の日本王座決定戦ではそれが裏目に出て、相手にペースを握られて
しまった。それを思い起こさせる不吉な流れだったが、ラウンド中盤、
久高は自分から打って出る。あんな負け方はもう嫌だという、久高の
意気込みを表すかのようなシーンだった。
4ラウンドも全体的には若干パノムルンレックが優勢に見えたが、決して
久高も一方的にやられていたわけではない。ラウンド終盤には右ストレートを
続けざまに叩き込み、パノムルンレックの動きが止まる場面もあった。
5ラウンドはボディの打ち合いで幕を開け、そのまま激しい接近戦が続いた。
敵地ゆえ、久高がパンチを当てても全く歓声はなく、逆にパノムルンレックの
パンチには、当たろうが当たるまいが観客が一体となって声を上げる。
6ラウンド。久高には疲れが見え、それを感じたチャンピオンが猛攻を
仕掛ける。久高も意地で打ち返して何とか踏みとどまったが、ここは明白な
パノムルンレックのラウンド。
7ラウンド。前のラウンドの流れを見る限り、このまま一気にチャンピオンが
押し切る可能性も考えられたが、ここから久高が奮起。それまでの接近戦から
一転、足を使ってリズムを立て直し、パンチにもキレが戻ってきた。
8ラウンドにはアウトボクシングから再び接近戦へと展開を変えたが、
いずれの局面でも、久高は一歩も譲ることがなかった。6ラウンドの
ピンチを思えば、それは驚異的とも思えた。
9ラウンド。パノムルンレックもさすがに疲れて手数が減り、タイ人の
歓声が上がる機会も少なくなっている。ひたすら前進を続けてきた
パノムルンレックが、後退する場面すら出てきた。
10ラウンドには、久高が更にパノムルンレックを攻め立てるが、
チャンピオンも弱気になることなく打ち返す。そしてゴングが鳴り、
試合は判定へ。
4ポイント差が2人、残りの1人は2ポイント差で、ジャッジは
いずれもパノムルンレックを支持。チャンピオンが防衛を果たした。
ラウンドごとにポイントを振り分ければ、それくらいの差になるのも
納得は出来るが、数字ほどの差があった試合ではない。印象的には、
むしろ接戦であったと言ってもいいだろう。
大雑把に言うと、6ラウンドをピークとして前半はパノムルンレックが
徐々に優勢、その後は逆に少しづつ久高が盛り返すという展開だった。
前回の試合では、相手にペースを握られてそのままズルズルとラウンドを
重ねてしまい、「気持ちの弱さ」という課題を露呈した久高だったが、
今回はそれを見事に克服していた。前回とは段違いの内容だったと言える。
敗れはしたものの、弱い相手を簡単に倒して終わるよりも遥かに大きな
収穫を得たに違いない。試合後の久高は、爽やかな笑顔を浮かべていた。