1005話)応県の木塔(2)

法隆寺の宮大工だった西岡常一さんが応県の木塔について語っています。その本を自宅の本棚で探したのですが、ザンネンなことに見つかりません。以前、私がその大意をうろ覚えで引いた文章でまにあわせるのをお許しください。

法隆寺の五重の塔につかわれている技術はすべてこの塔にある。だから法隆寺の技術は中国から伝わってきたことがわかる。しかし、応県の木塔はずんぐりむっくりだけど、法隆寺の五重の塔はずっと優美だ。高さにたいする床面積が日本の塔のほうがずっと小さい。それから軒がずっと長く迫り出している。応県の塔は乾燥地にあるので軒は短くてもいいけど、日本は雨が多いので、軒が短かったら、柱や壁に雨がかかって腐ってしまう。日本の環境にあわせて、軒を長くしたのだ。

現代の国際協力についても、重要なことが語られていると思います。技術移転、技術移転とよく言われますけど、そんなに簡単なことではないのです。日本の技術を別の環境にもっていって、それがそのまま役立つとは限らないのです。そこの土地にあわせて翻訳しないといけません。場合によっては、地元にある草の根技術を発掘して生かす眼のほうがずっと重要です。
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