聖剣の刀鍛冶 #3 (3) (MF文庫 J み 1-11)三浦 勇雄メディアファクトリーこのアイテムの詳細を見る |
ある男の暴力により身体は辱められ、矜持は泥にまみれた。
何より口惜しく思うのはその理不尽に屈してしまったこと。
膝を折り、醜態をさらしてしまったこと。
「聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)3」三浦勇雄
昔愛した少女の化身が側にいる。そのせいか、化身の少女は遺伝子レベルで少年を好いていて、でも自らの呪われた身を思い、なかなか少年に近寄ることができずにいる。
まあルークとリサのことなんだけど、倒錯した関係が好みなので、しばらくこのシリーズを読み続けてみようか。正ヒロインのセシリーがいまいち好きになれんのだが、と思っていたらぶっとんだ。
途中までは、いままで通りのぬるい感じだった。ルークに認められたリサの戸惑いと高揚。いきなり現れた人外との戦闘。アリアを納めるための鞘造り。と無難なストーリー展開だったのだが、帝国戦士団の中枢で黒い陰謀をもくろむジーグフリードが再登場したところで話は急展開を迎えた。本人も知らないリサの秘密を暴露してルークを貶め、散々挑発し、挙げ句の果てには人気のない納屋でセシリーに暴行を……。
前にも書いたけど、考えもなく無理に暴れ回っているセシリーが僕はあまり好きでなくて、「こいつもっと徹底的に痛い目にあわんかな」と黒いことを考えていたら、遭いました。それも徹底的に、暴力によって戦闘力を奪い、鎧も衣服もはぎ取り、なんだかんだいっても女な肉体を乱暴に扱い、悲鳴を上げ心を折られるまで。
正直いって、ライトノベルでここまでやるとは思ってもいなかった。それも、清廉潔白でまっすぐ進むことしか知らないヒロインの心に、汚れた一滴を垂らすだなんて、なんて鬼畜な……。
おかげさまで、というとあれだけど、俄然面白くなってきた。挫折を味わい尽くしたヒロインが立ち上がり、恐怖を乗り越える姿には燃えるものがある。ルークとの今後の関係性も含めて、なかなかに目が離せない展開だ。
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