田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

真贋論争

2013年10月26日 | 日記
 某ホテルの食材の偽装、誤表示がたいそうな問題になっている。悪く言えば言葉巧みに、高い物を買わせたことに違いない。偽装では無く誤表示だからゆるして欲しい、と言いたいのであろうか?。返金にレシートは必ずしも必要ではないらしいが、果たして返金を求めてホテルを訪れる客はいるだろうか。味の本質を見抜けなかった美食家の舌が、世間の一般の人と同じであることをあからさまにすることであり、少しばかり恥ずかしい。美術品の真贋論争に似ていると思う。美術品の偽物はたいそう多いそうだ。騙された人はプライドに関わるから、決して偽物を買わされたと名乗り出ぬそうだ。
 昔々、顧客に寿司屋へ連れていってもらった。私は生ものが得意ではない。食べろと言われれば食べられぬことは無いが、あえて自分からは食べない。だから、寿司屋へは行ったことが無かった。顧客の誘いであるから、むげに断れぬし、しぶしぶ同行した。顧客には「生ものはあまり得意ではない。」と伝えたが、顧客は私の遠慮と思ったらしい。
 顧客は店の常連らしく、えらく歓迎された。とても高そうな店であった。私は板前さんに「不慣れだし、高い店に入ったことはない。」とさりげなく伝えた。顧客が「もったいないことに、この人は生ものが苦手だそうだ。今日は思い切り、美味いものを教えてあげてくれ。」と言った。はなはだしいカン違いで、『食べたことがないから苦手』と思うらしい。板前は「じゃ、これなどどうですか。」と、しそ巻きを出してくれた。美味しかった。
 顧客はトロ、大トロ、なんとかの縁側と講釈を交えて私の面前に並べさせた。板前が「無理しなさんな、後で折りに詰めますから。」と言ってくれた。上機嫌の顧客は、店の寿司ネタの高級さをとうとうと語った。
 しばらくして、その店は食中毒を出し、営業停止を喰らった。食中毒を二度起こして閉店した。あの店の寿司ネタは、顧客が言うほど上ネタではなかったように思う。顧客の舌は普通の舌だったろうな。
 さて、某ホテルの方々、高級ホテルで食事をするような方々は、たいそう肥えた舌を持つと自称する人が多いのではなかろうか。そのような人には、手厚い保障は必要と思う。信用失墜だもの。さてさて、いかがなものかな。