私は□□で を・・・・その２

　昔々、私が勤めていた会社の多くの人は晩婚で、仕事仲間の多くは独身でした。ホワイトカラーの走りというか、仕事が一番と考える企業戦士が多かったように思います。私は学生時代からの女友達とはズルズルとつきあっていました。販売系に就職した女友達は日曜日が休めないので、昼休みによく会社を訪ねてくれました。社内はお堅い雰囲気の男性達が多かったので、少し冷たい目で見られました。お堅い人達もアフターナイン（ほとんど残業でしたので）はマージャンやお酒、お酒の後の良くない遊び、などはおさかんだったと思います。私は下戸でしたし、マージャンを憶える機会がありませんでしたので、まったく誘われませんでした。
　ある年、新入社員の中に一風変わった女の子が入社しました。学生時代、男子運動部のマネージャーを務め、趣味は大相撲観戦という風変わりでした。いかんせんスポーツ男子の中で鍛えられた女子です。物怖することもなく上司ともも話せました。上司に叱られ、自分の落ち度が理解できると極端にしょげます。感情の起伏が激しい娘でした。逆に叱られる意味がわからぬと、とことん聞いていました。そんなことで、短い期間に会社に溶け込んでいきました。
　彼女の欠点ば、あまりに心の内を正直に話してしまうところでした。「怒るチーフの顔って良い顔ですね～ぇ。（ウットリ目）」「隣の課長がうちの課長だったら良いなぁ・・。（課長にダメだしをされて毒つく）」等など、つい口走るのです。社では素人女性にはウブな人が多かったものですから、つい真に受けたり、他の女子社員への対応と違う対応をする男性人（複数）が現れてしまいました。
　多くの女子社員は面白くありません。「どうして差別するの！。」「あの娘って、ぶりっ子ねッ！。」女子社員の多くは技術部ではなく、総務や他の部でしたので、そんなに彼女と接点はなかったのですが、サッカー部のマネージャーになったとたん、女性群に総すかんされました。さすが新入社員は気まずくなったらしく上司に相談し、マネージャー返上を願い出したみたい。上司はカン違いしたようです。おおいなるカン違いは『俺が解決してやらねば！！。』就業中、上司の目は、彼女を求めて目が泳ぎまくり仕事が手につかない。人の話は聞いているようで聞いていない。そうです、色ボケになっちゃったのです。もう全てが上の空でした。私はとても心配しましたが、こんな時はどんな忠告も聞いてくれないと思うのです。熱が冷めるまで一年ほどかかりました。幸いにも大きな失敗も無く、上司の家庭崩壊も無くホットしたものでした。
　大相撲女子に「あのなぁ～ええ加減にしなよ。」って忠告しました。「わぁ～六兎さんカッコ良い。」と・・・『その、君の照れ隠しを誤解する人もいるんだよ。』と言っても分かってくれなかったろうなぁ。