田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

私は□□で   を辞めました・・・・

2013年10月11日 | 日記
 昔ヒットしたCMがありました。たしか禁煙グッズでしたっけ?。男性が小指をつきたたて「~で会社を辞めました。」と申し訳なさそうな顔をしていたのを記憶しております。昨日、男女関係の修羅場は世の中ゴロゴロしていると書きました。修羅場というには大げさ、ドロドロした関係は見えなかったのですが、それでも若い男の子や、重役候補が足を踏み外したのを見聞きしました。男が悪い、女が悪いなど、誰それが悪いなどとは言えない、人間の性みたいなものだと思います。
 A君は工業高校出のフレッシュマンでした。わが社は、大卒と高卒を半々に採用していました。高卒は能力を重視する現場、大卒は幹部候補生と、大まかな配置は入社時に決まっていました。もちろん、入社してから、夜間大学へ通う者もいました。A君は地元の子で、父親が会社を経営し、能力を積んだら家業を継ぐ予定でした。A君は自宅から通勤せず、寮に入りました。短い期間でも、一人暮らしをしたかったそうです。そんなA君が某女子大生とお友達になりました。女子大生は遠い地方の子だったそうで、バイトをしてもなかなか遊ぶお金までは工面できなかったそうです。A君は寮生活ですし、残業やら出張やら、種々の手当てがつきます。デート費用はA君が払っていたそうです。そんなとき、会社に電化製品の出張販売が来ました。会社取引もあり、とても格安に買えました。社員の多くが購入しました。A君は洗濯機を買って彼女にプレゼントしました。彼女はとても喜んだそうです。彼女の笑顔が忘れられず、一ヵ月後に炊飯器を買いました。
 彼女は気がつきました。「私はそんなつもりではない。A君はただのお友達。」しかしA君には言えなかったそうです。彼女はA君のデートの誘いを断るようになりました。ただし理由は「試験で忙しい。レポートが、研究が・・。」高卒のA君は大学とはそんなに忙しいものかと思い、現場の帰りに大学の近くへ行くようになったそうです。これでは、今で言うストーカーです。A君の誘いが度重なり、困った彼女は「皆といっしょの食事ならば行っても良い。」とA君に言いました。喜んだA君は大判振る舞い、彼女の友達全員の食事代を払ったそうです。
 彼女をアパートまで送るというA君は断られました。そして彼女の友達が「A君、あの子はA君のことを思ってないよ。『物をいっぱいプレゼントしてくれるから気が重い。』って言ってるよ。」とA君に正直に伝えたそうです。A君は振られてしまいました。
 そんなことがあった後、就業中のA君が意味無く笑うようになりました。朝からニヤニヤしています。明らかに異常でした。しかし、仕事も会話も普通にできていました。しばらく過ぎた頃から異臭が漂うようになりました。A君の強烈な体臭です。A君が寮へも自宅へも帰らず、車で生活をしていることが明らかになりました。上司がA君の家に行きましたが、家族はA君の異常をなかなか承知されなかったそうです。治療もしないで、A君は会社を辞めました。それから約二十年後、私がOB会の世話役を努めたとき、A君がわざわざ家まで訪ねてくれました。「私のような者までOBとして認めてくださっってありがとう。」と何度も何度も礼を言い、握った手をなかなか離してくれませんでした。尋常ではありませんでした。「女に振られたぐらいで。」と言ってしまっては、実も蓋もありませんが、人の神経って、とても脆いものだと知りました