治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

普通の子

2010-10-19 08:05:42 | 日記
久しぶりに大地君に会って感じたのは

「本当に普通の子だなあ」ということ。

見た目はちょっとハイテンションな(たぶん、久しぶりに再会してうれしかったせいもあると思う)小学生。

大人たちが話している間、妹ちゃんたちと折り紙でなんか不思議なものをいっぱい作って待つ姿は
実にあどけない。

大地君は大地君だと限られた人にしか知らせず、地域社会で暮らしている。

この子が本を二冊書いたとは、わからないだろう。

大地君が自分の修行を字で書き残すのは、本を出すためじゃない。

「覚えたことを忘れないため」だ。

「自分の修行には目的がある」と覚えておくためだ。

「出来るようになることがある」と覚えておくためだ。

別に特別な子ではない大地君。だからこそ

他の、ごくごく普通に見える小学生の中にも

頑張る気持ちが隠されているかもしれません。

頑張る子と、頑張らない子がどうして分かれるのか

今回は栗林先生にその問を投げかけてみました。

とても勉強になりました。

私が勉強させていただいた旅でした。

事前改札サービス

2010-10-18 09:11:55 | 日記
私はスターアライアンス系航空会社のスーパーフライヤーなので
エコノミーに乗るときも、優先搭乗が利用できる。

全日空の場合、優先搭乗に先立って
事前改札サービスがある。
日本航空もあるかもしれないが
私はあまりJALに乗らないのでわからない。ご興味のある方、JALに問い合わせてみてください。

手助けが必要な高齢者。
障害者。
赤ちゃんづれのファミリー。
こういう人たちがまず先に乗る。

そのあとに優先搭乗。
ビジネスクラスやプレミアムシートのお客、そして
よく飛行機を利用するマイレージクラブのメンバーが乗る。

先に乗れる。これだけでも、ずいぶんラクなのだ。
コミコミの機内を荷物持って歩くより
さっさと自分の席につけるし、荷物も手近に収納できる。
シートベルトを締めて、本でも読みながら、あとからお客が入ってくるのを待つ。

ちゅん平さんが出張するときも
講演の主催者様にお願いして、飛行機の手配のとき事前改札を利用できるようにしてもらったことがあった。
手帳を持っていると、こういうことは言いやすい。

ただしニキさんは逆。
ほぼお客が座ったころに、つまり他のお客が静まったころに、搭乗することを好むようだ。

これもまあ人それぞれ。

新千歳からの帰りの便。
私はいつものように優先搭乗で機内に入った。
事前改札の人はあまりいなかったので
ほぼ一番乗りかと思ったが
隣の列に、先客がいた。
障害があるらしき若い男性だった。
介助の人もいない、一人旅のよう。
航空会社も配慮して、事前改札のアナウンスをかけるさらに前、真っ先に乗ってもらったのかもしれない。
エコノミーの一番前の席の角に座り、すでにイヤホーンをつけていた。

そのまま男性は飛行中
一度も席を離れず、落ち着いて座っていた。
イヤホーンはずっとつけていた。

飲み物サービスのとき
さすがに絵カードは出なかったけど
CAの人は何の飲み物があるか、具体的に見せて丁寧に説明していた。
男性はその中から何かを選んだようだった。

羽田に着いて、人々が荷物を下ろしたりあわただしくなっても
男性はイヤホーンをつけたまま、じっと座っていた。
おそらく航空会社と、話がついているのだと思う。
混乱することなく、降機できるように。

詳しい事情はもちろんわからない。
でも私は、航空会社の対処の仕方に好感を持った。

北海道バージョン全日空キティちゃんです。

岩永先生からの宿題

2010-10-14 07:46:56 | 日記
以前は、80メートル走るのにも転んでしまった大地君。
支援級の先生の粘り強い指導と本人の努力のおかげで、転ばずに走れるようになりました。
岩永先生のアドバイスも効果がありましたね。
さすが自閉っ子の身体感覚においては第一人者の岩永先生。
大地君のかけっこの写真を一枚見ただけで必要なトレーニングを教えてくださったのです。

この話は「発達障害は治りますか?」にも出てきますけどね。


そして大地君が、三キロマラソンを走りとおしたのは以前お伝えしたとおり。


大地君が告知を受けたとき岩永先生が大地君に送ったメッセージ。
それを読んで、改めて気づきました。
岩永先生は大地君に、次の宿題を出しているな。


今度は身体の宿題じゃありません。
心の宿題です。


さすが岩永先生。
告知を受けた子に必要な心構えを、シンプルに、やさしく教えてくださっています。

私が見るところ
大地君はその宿題をきちんとやり遂げていますが。


どんな宿題?

楽しみにしていてください。

花風社に直接ご購入お申し込みの方
来週発送します。
自閉っ子通信もついてきます。

役割を果たす

2010-10-13 08:24:55 | 日記

「僕たちは発達しているよ」のご注文をいただいた方から

「どんなに困難があろうと、この子たちにも果たすべき役割があると思えてなりません」というコメントをいただきました。

もちろん!

だから

わかる方法で、ちゃんと教えてあげたほうがいいですよね。

大人になったら、自分の役割を果たす。
それを知っているのと知らないのとでは大違いでしょう。
修行の意味が、はっきりしますものね。

じゃあ、どうやって伝えるの?

高機能の人には、言葉が通じる。
大人になったら果たすべき役割があると、ちゃんと教えてあげればわかる。

言葉が通じなくても
知的障害がある大地君のお友だちは、ちゃんと告知されて、修行しているそうですよ。
重度のお子さんへの告知がどういうものか
今度北海道で勉強してこようと思いますが。

大地君はもちろん、習っていますよ。
なんのために修行があるのか。

「僕たちは発達しているよ」にはこう書いています。

=====

 ママは言いました。「この世の中に必要ない人はいない。どんな人にも、生きていく上で役割がある」
 僕の周りには、お話の出来ない人や、自分で歩けない人や、いろんな障害の人がいます。障害を持ったお友だちはみんなと同じことは出来ないかもしれないけど、その子にしか出来ない役割があるそうです。
 僕は障害があるかもしれません。でも、みんなと同じように手も足も口も、ちゃんと働く人は神様からもらった役割のほかに人間としての役割があるそうです。
 小学二年生の僕は、学校に通います。勉強をします。お友だちと遊びます。体をたくさん動かします。お日さまパワーをいっぱいもらいます。小さい子に優しくします。僕より弱い人にやさしくします。困ったお友だちを助けてあげます。お家のお手伝いをします。障害あるかもしれない僕は、トレーニングをします。これが僕の人間としての役割です。
 大人になったら、今一緒に勉強しているお友だちの中には、人に助けてもらいながら役割を果たす人もいるそうです。僕は人と協力して社会を作る役割があるそうです。

 
=====
社会適応っていうのは誰かに合わせることじゃないですね。
自分たちの住みやすい社会を作っていく主体的な一員となることです。

温泉まんじゅうキティちゃんです。


あったかいなあ

2010-10-12 08:41:06 | 日記

読者の方たちから「僕たちは発達しているよ」のご注文とともにあったかいコメントをたくさんいただいています。

「大地君の成長を、隣のおばちゃんのような気持ちで見守っています」

わはははは。
これは私たちも同じ。

「大地君の新刊を、家族じゅうで楽しみにしていました」

おお、これもまたありがたい。
頑張っている子の本を読むのは気持ちいい。そして励みになる。
同じように修行に取り組んでいる親子なら、そう感じるのはとても自然なことですね。

「うちの子もアスペルガー。通級の先生に心配されながらですが、県内有数の進学校へ進みました」

これはまた、大地君たちのような知的障害のない自閉っ子たちに励みになります。
もちろんお勉強がすべてではないですよ。向き不向きもあるしね。
でも特別支援教育を受けてもその後さまざまな選択肢があるということを知るだけでも励み。
そして、そういうことを可能にする体制・環境を実現させなければなりませんね。日本中どこでも。

修行っていうのは、ありえない「普通」を目指すためのものではありません。
その子の能力を最大限に発揮するためにすることです。
ちょっとずつ頑張って、「できた!」という成功体験を積み、社会を構成するプレイヤーになっていくことです。

大地君はこう言っています。
「何にもしないであきらめるより
何でも挑戦して
みんなが楽しい修行が一番です」

こういう本なんです。

今日のキティちゃんはソフトバンク・ホークス。
優勝おめでとう。


大地君、お誕生日おめでとう!

2010-10-11 10:15:00 | 日記

今日は大地君のお誕生日。
9歳になりました。
鏡を見たけど昨日と変わったところはないそうです。
これ、自閉っ子からよく聞くセリフ。

お酒が飲めるようになるまであと11年。
もちろん11年後、お酒が飲めない体質だとわかったら無理はしなくていいわけですが
私たちは大地君とお酒が飲める日を楽しみにしています。

みんながよく「大人になったら一緒にお酒を飲もうね」って言うらしく
大地君は今度出る本にこんなこと書いていました。

=====

 僕のパパも大人の友だちも全員が言います。「大人になったら一緒にお酒を飲もう」おそらく、大人は子どもが大きくなったら一緒にお酒を飲むことが楽しみなんだと思います。
 みんなとの約束を守ったら、大人になった次の日からしばらく酔っぱらいが続きそうです。僕はお酒より、ケーキやアイスの方が嬉しいです。会社に行けなくなったら困るので、これから出来る大人の人とはお酒の約束は断ろうと思います。大人はそういうのが面白いと思います。
 
=====
 
わはははは!

もしかしたら、ケーキやアイスよりお酒がおいしいと思う日がやってくるかもしれません。
大人は一杯のビールのために一日一生懸命働くのですよ。
ウソだと思ったら、画伯にきいてごらん。

それと「一緒にお酒を飲みたい」って言われることはいいことなんだよ。
「いいやつだなあ~」と思わないと
一緒にお酒を飲みたいと、大人は思わないんです。

大人へ、また一歩。

おめでとう、大地君。
幸せな一年になりますように。

私も今日は遠くでお祝いしていますよ。
かんぱ~い!

「僕たちは発達しているよ」好評予約受付中です。
藤家さんによる「自閉っ子通信」もついてきます。

http://www.kafusha.com/shinkanyoyaku/shinkanyoyaku.html


特別支援級の一年の成果を本にしました!

2010-10-09 14:12:06 | 日記

三連休、皆さんいかがお過ごしですか?
私は三日目は仕事しようかなと思っていますが、基本的にゆったりしています。
新刊案内メールでご登録の方々にお送りしました。すでにたくさんのご注文ありがとうございます。
一応ここにも貼っておきますね。
それでは皆さん、楽しい休暇を!

======
お世話になっております。花風社です。
花風社ではこのたび、「僕たちは発達しているよ」(中田大地著 1600円+税)を出版する運びとなりました。
小学校二年生から特別支援級で学び、その経験を「ぼく、アスペルガーかもしれない。」にまとめた大地君が
支援級で一年過ごし
「こんなにたくさん覚えたことがあった」と記録をとっていてくれたのです。それを本にしました。

特別支援級は「生きるための力」をつけるところ。
最初から先生やご両親にそう教えてもらっていた大地君は、前向きに修行に取り組みました。
そして、自分の得意なこと・不得意なことがわかったり
出来ないことが出来るようになったり
将来社会に出て働ける大人になるためにどういうことを覚えるのが必要なのか
日々勉強していきました。

前向きに生きる大地君。
でもいいことばかりではありません。
支援級に行ったことでお友だちにバカにされたり
乱暴なお友だちにぶたれたり
そういう苦労もありました。
それも一つ一つ大地君は、先生達やご両親に相談しながら、乗り越えていきます。

そして、学年の最後に待っていたのは
療育手帳を取るための診断。それに続く障害の告知でした。
学校と家庭の見事な連携で。未来への希望をつなぐ感動的な告知となり
それに心を動かされた岩永竜一郎先生がメッセージを寄せてくださいました。
なぜ大地君の告知はうまくいったのか。
岩永先生の許可をいただいて、そのお手紙も本に載せています。

支援級の一年。
それは色々なことがありました。
初めはなじめなかった先生と心を開いていったり
様々な障害のクラスメートと、様々な行事に挑戦したり
「学校のお母さん」とでも言うべき介助員の人との出会い、そして別れがあったり。
出会ったできごとが
ひとつひとつ成長に結びついているのがおわかりいただけると思います。

また、「身体作り」や「大大大博士に教えてもらったこと」を実行することで
どうやって変化していったか
大地君が自分の言葉で、内側から語ってくれています。

前回の神田橋先生の本は、主治医に持っていく方が全国で相次いだようですが
この本は学校の先生たちに読んでもらいたいような本かもしれません。

 いつもの「自閉っ子通信」も最新号をお届けします。今回は藤家寛子さんによる「大人になっても発達しています」がテーマのエッセイです。重い二次障害からの奇跡のような立ち直り、仕事にも恋にも(!)燃える最近の様子を書いてくれました。とても幸せそうですよ!

 書籍購入お申し込みの方は、このメールの返信で
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 をお知らせください。下記からもお申し込みできます。いずれも送料無料です。
 
 新刊「僕たちは発達しているよ」紹介ページ
 http://www.kafusha.com/shinkanyoyaku/shinkanyoyaku.html
 
 自閉症関連書紹介ページ
 http://www.kafusha.com/jiheisho/jiheisho.html


電子井戸端会議

2010-10-08 08:03:24 | 日記
大地君の新刊&北海道講演のお知らせを同報メールで流し、いただくご返答+ご注文がうれしいです。

新刊発売を控えて、ばたばた、ばたばたしているのですが、ひとつひとつお返事したい感じ。

ちょっと時間ができたら、絶対します。

十年間発達障害関連の本を出してきて、色々な地方に出かける機会があって、リアルでもオンラインでも「顔見知り」が増えて

「お~息子さんもう○年生ですか! すっかり大きくなって」みたいな感慨があったり

「非売品キティちゃんくださるとのこと! 感激!」とか

「自閉っ子のお姉ちゃんの下に弟ちゃんが生まれたんですね!」とか

近況報告が楽しいです。

電子井戸端会議も楽しいです。相手を巻き込まれる心配がなくなってから、本当に楽しい。

ときどき、ブログのネタで盛り上がる日もあります。とくに告知とか他害の問題とかは盛り上がりました。

肝っ玉母さんたちや、修行に励む当事者の方たちとの交流を楽しんでいます。

「これからも修行系の本をたくさん出してください」というお声をよくいただきます。

いっぱいは出せないと思います。でも厳選して、本当にいいものを出したいです。

今後ともよろしくお願いいたします。

主役は誰?

2010-10-06 07:38:38 | 日記

さてさて、昨日大地君の新刊
「僕たちは発達しているよ」についての情報を花風社HPにアップしました。

http://www.kafusha.com/shinkanyoyaku/shinkanyoyaku.html

初日から、思いもかけずたくさんのご注文、ありがとうございます。

MLご登録ご希望もいただいたのに「まだ流れてきませんけど」とかのお声を戴いていますが

流していません(汗)。後手後手に回ってすみません。なんとか一両日中にはと思っております。

今度の本は、まあリンク先を見ていただけるとおわかりいただけると思いますが

「特別支援級一年の成果を児童本人がまとめた本」です。

ですから主人公は大地君であり

「特別支援級」であり

一緒に勉強する様々な障害の仲間たちです。

支援級に行くと決めたのは自分。でも友だちや友だちのお母さんから来る偏見。それをどう乗り越えたか。

なじめなかった先生と、心を開いていく様子。

支援級でお勉強するのはなぜか。普通級だけでは足りないものは何か、子どもなりに考え、自覚して、自分の血肉としていく様子。

軽重も含めた様々な障害のお友だちと一緒に学校行事をこなしていく様子。

「学校のお母さん」である介助員の人との出会い。そして別れ。

そして学年の最後に、診断・告知。「アスペルガーかもしれない」だった大地君がはっきりアスペルガーだと知り、未来への決意を新たにしていく様子。

そんな一年が、かわいいマンガとともに描かれています。

日本で一番最初に手に入るのは、10月16日の札幌近郊の講演会です。

花風社にお申し込みいただいた方には20日ごろのお届けになります。

書店販売は10月下旬。

こういう予定です。