治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

特別支援級のデメリット

2010-10-04 09:22:30 | 日記
さて、もちろん特別支援級にはメリットがたくさんあり
だからこそ多くの人がそこでお勉強するのを選ぶわけですが
大地君が綴った一年の記録を見ていて
デメリットをいくつか知りました。

まあ全部当たり前のことなんですけど。

一つ目。
お友だちやお友だちのお母さんにバカにされる(ことがある)。

もちろん先生たちはちゃんと啓蒙活動してくださっても
それでも人の心というのはどうにもならないところがある。
「バカな子がいくところ」と思ってしまう人はいるし、実際にそういう言葉をぶつけられたりもしています。
同級生から。ときにはその親からも。
ていうか教師からでさえ。悪気はないかもしれないけどね。

二つ目。
心をコントロールできないクラスメートがいる(ことがある)。

わけもわからずいきなり殴りかかってきたりする障害のあるお友だち。
でも健常のお子さんほど
親も教師も打つ手がない。強く叱らない。
したがって殴られている立場としては、見捨てられているような気になります。
そしてフラッシュバックしやすい脳みその持ち主としては
いきなり殴られたときのダメージも大きいのです。家に帰っても苦しむのです。

三つ目。
お勉強が遅れているかもしれないと心配になる。

知的障害がなくて
ある程度お勉強ができて
将来大学進学等を視野に入れている人には気になりますね。

こういったデメリットにどう子どもなりに対応してきたか。

こういったデメリットがあってもなぜ支援級でのお勉強を選んでいるか。

今度の本にはそれも書いてあります。

なかなか、現実感がありますよ。

桃から生まれた桃太郎キティです。

岩永先生からのメッセージ

2010-10-03 08:50:05 | 日記
さて、告知を受けた大地君はこう書いてます。

「正直言うと、ママはすごいと思いました。医者がはっきりしないうちから、ちゃんと見抜いて僕に修行をしてくれたことはラッキーでした。おひさまで勉強すると決めた時、自閉症の博士に会った時。必要なこと、必要じゃないこと、これから大事なことをみんなで教えてくれたことは僕に役に立ちました。僕は周りの人がウソつきでなくてよかったと思いました。ごまかす人たちでなくてよかったと思いました。」

先日、即日告知なさった肝っ玉母さんのお子さんも、告知を受けている間にどんどん笑顔になっていったそうです。
きっとそれまでに、告知を前向きなものにする基盤があったのでしょうね。

大地君が告知を受けたという話を聞き、岩永先生がメッセージをくださいました。
私からお願いしたとか、そういうことではありません。
岩永先生自らのお気持ちで、大地君にメッセージを送ってくださったのです。

「 はじめまして、長崎の岩永です。
 浅見さんの友だちです。

 大地君の本を以前読んで、とても感動しました。
 それは、大地君が自分の力を最大に生かそうとしてがんばっていることがわかったからです。」
 
こういう文章から始まるそのメッセージについては、今度の本への転載を岩永先生が許可してくださいました。

栗林先生から大地君への告知の文章も、許可をいただいて載せています。

それ以外は大地君の書下ろしです。
さすがお子さんですね。
一年たつと、同じ時間で書ける字数がどばっと増えました。

あ、でも
小暮画伯によるマンガもいっぱい入っています。
はじめはなじめなかった先生に心を開いていく様子。
言葉のないお友だちとも仲良く修行をしている様子。
そんな様子がかわいいマンガになっています。

告知なう。

2010-10-01 08:12:27 | 日記
いやいや、前回のエントリーは反響大きかったです。

まあ告知の問題って、専門家でも意見の分かれるところで
私もこの10年、さまざまな専門家の意見を伺ってきました。

でも、支援級に学ぶ小学生の友だちがいると、子どもの間だけで流通する情報に触れるので
ちょっとそれを書いてみたんですけど

「なぜ支援級にいるのかわからなくて戸惑っている」という事実に思い当たる節があったお母様もいるようで

即日告知なさった肝っ玉母さんもいらっしゃいました。

うまくいったみたい。
お子さんもすっきりしたみたい。
どうして支援級でお勉強しているのか
理解できたみたい。

よかった。

と思いつつ「これからいいほうに向かうといいな」と思っていたら
藤家さんから次号の「自閉っ子通信」に載せる原稿が送られてきて
それに綴ってある近況を読んで、どばっと涙が出て

ああ、大人になってから告知された人でもここまで自力で幸せをつかんでいるのだから
小さいうちから「なぜ支援級にいるか」今日初めて教えてもらったお子さんは
きっと明るい未来を送るだろうと、心から思えました。

支援級でお勉強する。
「児童精神科」っていうところにつれていかれる。
薬を処方される。

親の見ていないところで
「ジヘイショウ~」とか囃されてる(かもしれない)。

それでいながら理由を教えてもらえない。

まあ、察するにかなりきつそうですね、これ。

社会に対しては「自閉症を理解してください」と啓蒙活動に熱心な方々が当人には障害を知らせない。

って不思議な光景だったりします。

それにASDの人たちって、実は「事実を事実と受け止める力」って私たちよりあるもんね。
修行の目的と意味がはっきりしたほうが取り組める。

この私の意見にも当事者・保護者・支援者の方々から「そーだそーだ」の声をいただきました。

で、昨日。

またうれしいお知らせ。

私のブログを親子で読み→告知

という流れになった方がお知らせをくださいました。

支援級にいる意味を知り
そこでお勉強する意味を知り

前向きにやっていこう、と親子で同意ができたようです。

書いてよかったです。

今度の大地君の本には、告知の話がたくさん書いてあります。

診断したのはもちろん医師。でも告知したのは特別支援教育コーディネータの先生でした。

先生が大地君に書いた告知の手紙を読むと、涙が出てきます。

大地君もぼろぼろ泣いたそうです。

今も大事にとってあって、ときどき見ているそうです。

大地君に障害名を知らせ
そして明るい未来へ向かおうと励ましている告知です。

大地君だけではなく、同じクラスにいながら親御さんが告知をためらっているお子さんたちへの配慮もされた上での手紙です。

10月16日に北海道で

大地君に告知をした担任の先生と私がお話します。

告知の問題について、たくさんおききしたいことがあります。

もう一つおききしたいのは、「修行」について。

大地君はいつも話してくれるんです。
「僕の友だちは、しゃべらない子でも、足が動かなくても、みんな修行している。人間はみんな修行しているんだ」って。

先日のマラソン大会のときのエピソードでもわかるように
「その子に応じた修行」のアセスメントが
上手な学校なのかな、と思って。

楽しみです。