治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

療育方法の選び方について賢ママさんのご意見

2010-05-08 07:48:52 | 日記
さてさて、最近のブログに関して(とくに「治る。治らない」問題に関して)、長年のメル友である賢ママさんよりもご意見いただきました。
許可をいただきましたので掲載させていただきます。

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発達障害児を2人育てていると、いろんな療育やサプリメント、薬、時には手術やキレート療法を薦められたこともありました。

私は自分の子は自分で思うように育てたいと思いましたから、人からいくら勧められても、自分が納得いくものしか使いませんでした。自閉症に効くとあれこれ言われましたが、私はその人の子どもにいいものでも、自分の子にいいという保証はないし、どの療法も時間とお金がかかるものが多く、病弱の長男の医療費が家計を圧迫していた我が家には考える余地もありませんでした。

時が経って長男の発作も減り、私も講演に出歩くようになり、「OO療法は自閉症にいいのでしょうか」という質問を受けることが多くなりました。私はどんなものでも親がそのお子さんにいいと思えば試してみればいいと思います。「あのとき試しておけば結果は違っていたかもしれない」と思うより、たとえ思うような結果がでなくてもそのほうがいいと思います。

ですから私は

・自分自身はいわゆる療育はどちらの子にも受けさせていないこと
・サプリメントや食事療法もしていないこと
・自己流で育てたことを後悔していないこと

をお話して、その方が一番いいと思う方法で育てればいいのではないかとお答えしています。

人のいうことは気になるものですが、それぞれの家庭の事情は異なるものですし、人まねで子育てをしてもうまくいかないのではないかなと思っています。

私はいかに医学的に根拠のない療法や薬でも、子どもの親がしたいと思うことは試してみるのがいいと思います。いかにあやしげなことでも、否定はしません。相談された時は、「私の子にはしたいとは思わないけど、あなたがしたいならやってみればいいと思う」と答えます。

私の講演にしても、私は教員でも医師でもないし、何の肩書きもないただの素人です。でも私の話を聞きたい、聞いて役に立ったという人もいますし、でたらめをいうなと非難する人もいます。人それぞれですから、それでいいと思います。

うちの近所の脳障害のお子さんは、アメリカまで行って療育を受け、高価なサプリメントを使っています。食事療法もしています。
私も勧められましたが、「あなたのしていることはいいことだと思うけど、わたしはできないから」と断りました。でも友達付き合いは続いています。

たとえ医学的に根拠のない療法でも、「よくなりますよ」と断言してくれる人がいて、希望を持つことで親の精神状態がよくなれば子どもにもいい影響がでると思うので、どんな人のやり方も、否定はしないし、逆に何が自閉症にいいのかと聞かれても、特定の療法やサプリメントなどは薦めないようにしています。

いいものだからと押売りのようにやいやい言われて悩んでいるお母さんや、自分が子どもにいいと思って頑張っているのに「そんなのはいんちきだ」とののしられて落ち込んでいるお母さんに何人もあってきました。

子どものことが一番わかるのは親ですし、自分が親としてどの程度療育やその他の療法に時間とお金を割けるかを知っているのも親でしょう。

他人がすることに口出しするからには金銭面や時間の援助もする覚悟でするべきだと思います。

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賢ママさんの子育ての確かさは、多くの方がご存知だと思います。
何も特別なことはしていない。でも本当にお子さんの特性をよく見極めて、たとえば散歩一つにも工夫をこらして楽しいトレーニングにつなげたり、そういう日常の工夫にあふれています。
賢ママさんの下のお子さんは知的障害を伴う自閉症。診断したお医者様からは「一生字が書けないでしょう」と言われたそうです。でも賢ママさんはお子さんの好きなものの字からこつこつと興味を引き出して教えて、今では作文も書けるようになったそうです。

大大大博士の本が「代替療法を薦める本だ」という誤った憶測が行きかっていますが、実は上記の賢ママさんの療育への姿勢は、大大大博士の本の内容とかなり合うのです。
・おうちで、家族が、こつこつと
・お金をかけずに
・未来を見据えてできること
それを大大大博士は大事に思っていらっしゃるからです。
そのためにはそれぞれが、自分に合ったものを見つけるコツは大事。無用な出費などのリスクを避けることが大事。
そして何よりも、未来への希望を捨てないこと。
そういう意味での「治らないという考え方は治りませんか?」です。

とにかく、大変な数のご注文をいただいています。ありがとうございます。
とくに「目次を見てぜひほしくなった」という方が多いです。
それだけ皆さんが「未来への希望」を欲していらっしゃったのだと私は受け止めています。

昨日のB君に「こんな重い子はいない」と告げた専門家。
わらにもすがるような気持ちで漢方やサプリ、針・整体などの療法を試そうとする親を罵倒する人々。
絶望しか与えない存在は本当に迷惑ですね。

ここで大大大博士の言葉を少し蔵出しします。

「サプリとかは主治医によっても止められることがありますよね?」と訊いた私たちに先生はこう答えられました。

「またその理由が『そんなもののんだら自分が出した薬の効果が検証できない』だったりするんだよな。バカみたい。データ採りのために医療があるんじゃない。目の前の患者さんをちょっとでもよくするために医療があるんだ。」

「治療を大事に考える医者なら、できるだけ患者の治療意欲は大事にして患者の養生心を引き出す。それに協力するという姿勢をとるでしょう。」

大大大博士は、こういうお医者様です。

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