教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

政党助成金と格差是正蟷螂の斧・山内康一

2011年11月29日 13時42分46秒 | 国際・政治

アメリカの政治学者が書いた「幸福の研究」という本を読んでいて、
選挙資金の公的助成に関するおもしろい指摘を見つけました。

それによると、高所得層ほど多額の政治献金を出す傾向があります。
逆に、低所得層ほど政治献金をあまり出さない傾向もあります。
すると、結果的に高所得層の意見ほど政治に影響を与えます。

従って、選挙資金(政治資金)を自由化すれば(規制を緩和すれば)、
お金持ちの意見がより通りやすくなるということになります。

低所得層の意向を政治に反映させるためのひとつの手段として、
金持ちや大企業の献金に頼らなくても政治活動ができるよう、
政治活動への公的助成の必要性が指摘されていました。

意外なことに、前に読んだジョン・ロールズの本のなかにも、
政治活動への公的助成の必要性が指摘されていました。
リベラルな政治哲学者が、そういう指摘をするのに驚きました。

政治献金に規制をかけて富裕層の意志が過大に反映されるのを避け、
政治資金の公的助成により貧しい人の意志を政治に反映させるのが、
アメリカ的な「格差是正」の考え方なのかもしれません。

日本では、そういうことを言う人はあまりおりませんが、
「格差是正のために政治資金の公的助成が必要だ」という主張は、
一定の妥当性があると私も思います。

しかし、日本では、国会議員の定数削減や歳費のカットと並んで、
政党助成金のカットを主張する人がけっこう多いです。
共産党でさえも、政党助成金の廃止を訴えています。

政党助成金ができたおかげで、普通のサラリーマンでも公募に応募し、
国政選挙に立候補できるようになったというのが実情だと思います。
それ以前は自前で何千万円も集めないと、立候補もできませんでした。

政党助成金がなくなると、すべて自前で選挙資金をまかなえる人しか、
国政選挙に立候補できなくなります(共産党や公明党を除く)。
よほどのお金持ちか、労組出身者しか、選挙に出られなくなります。

共産党や公明党等のバリバリの組織政党は、政党助成金なしでも、
強固な支持団体の支援や新聞収入でやっていけるかもしれません。
しかし、民主党や自民党は、政党助成金なしではやっていけません。

政党助成金がなくなれば、各党が政治献金集めに奔走するようになり、
ますます利益誘導政治、ポピュリズム政治になりかねません。
業界団体や労働組合、大企業に有利な選挙制度になってしまいます。

私は、企業・団体献金は禁止し、その代り、政党助成金は維持する、
というのが、望ましい形だと思っています。

みんなの党は、国会議員の歳費カットや定数削減を実施して、
国会議員のポケットマネーに関する部分はカットしていきますが、
政治活動に必要な経費の公的助成は必要だと考えています。

「政党助成金のカット」は耳に心地よく、一見良さそうな政策ですが、
結果的に、お金持ちや業界団体・労組に有利な選挙制度をつくり、
貧困層や一般市民の不利益になりかねないことを忘れてはいけません。

|

引用元yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ●26日目▲ジェームススキナー3... | トップ | 政党助成金と格差是正蟷螂の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿