中国や韓国が日本の価値をおとしめる
国際的キャンペーンを行っています。
中国に安重根記念館をオープンする等、
中韓で反日宣伝を行う例もあります。
しかし、欧米や東南アジアにおいては、
こうした動きは好意的に受けとられず、
必ずしも成功しているとは言えません。
こうした動きに対するときに重要なのは、
日本の政治家や市民団体が過剰反応せず、
オウンゴールしないことです。
過剰反応して政治家が失言するたびに、
「日本は過去の過ちを反省していない」、
と批判を招くパターンが多いです。
「政府の見解を強く発信すべき」という、
一見もっともらしい意見も支持されます。
しかし、あまり効果はありません。
以上のような趣旨を渡辺靖教授が雑誌に
投稿されていました。私も全く同感です。
渡辺教授は広報文化外交の専門家です。
広報文化外交は「Public Diplomacy」の
日本語訳ですが、近年重視されています。
新聞報道によると従軍慰安婦問題に関し、
政府は対外発信を強化するそうです。
たぶん効果がないか、逆効果でしょう。
中国や韓国の国際的な反日キャンペーンが、
それほど効果を上げていない背景としては、
喧伝臭というかプロパガンダ臭が鼻につき、
あまり説得力がないことが挙げられます。
中国が広報文化外交の一手段として、
世界各国の大学に孔子学院を設置し、
中国の宣伝を行っています。
しかし、アメリカの一部の大学においては、
孔子学院を閉鎖するところが出てきて、
中国流広報外交の欠点が明らかです。
孔子学院は中国に不利なことは避けて、
自国に都合の良い情報だけを喧伝して、
学問の自由や少数意見を尊重しません。
結果的にアメリカの大学を追い出され、
広報文化外交の失敗例となりました。
中国流の喧伝では共感は得られません。
日本政府も中国と同じ過ちをしないか、
心配です。安倍政権ならやりそうです。
やたらと日本賛美が好きな人たちは、
中国と同じミスをするでしょう。
渡辺教授が広報外交の成功例に挙げるのが、
フランスのミシェル・フーコーの例です。
フーコーはフランスの著名な哲学者です。
フーコーは、フランス政府から派遣され、
世界中で政府を批判する講演をしました。
そのおかげで人びとはフランスの自由と
度量の大きさを知りました。
結果、「フランスの自由や寛容は本物だ」
と世界中の多くの人を納得させました。
すばらしい成功例だと私も思います。
ベトナム戦争当時にアメリカ政府機関は、
世界中でベトナム反戦の写真展を開き、
アメリカ民主主義の健全さを示しました。
日本が世界で信頼されたいと思うのなら、
フランスやアメリカの広報外交に学んで、
寛容さや人権意識の高さを示すべきです。
従軍慰安婦の存在そのものを否定したり、
侵略戦争を否定したりすれば、大変です。
欧米やアジア諸国から袋叩きにあいます。
安倍政権に求めたいのは第三者の視点です。
自国中心主義というか、自国の視点だけで、
対外的プロパガンダをやると失敗します。
短絡的な喧伝工作は絶対うまく行きません。
*ご参考:渡辺靖「日本の魅力を世界に発信するために」(「潮」2014年11月号掲載)
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