日野原重明先生著「生きかた上手」を読み終わった。
先生は、気負わずに文章を書かれるのが理想だとの事。75歳を過ぎて、気負わずに文を綴れるようになったという。
日野原先生は、京都大学医学部に入り、エリートコースを歩むつもりが、一年間、結核により寝たきりとなる。しかし、患者の気持ちに寄り添い、患者の気持ちが分かる医師として振舞えるようになれたと、「よど号」ハイジャック事件にも巻き込まれた先生は、不幸を決してそのままにせず、糧としている。年齢を重ねるとは、不幸も良きスパイスとなるとの教え。
聖路加国際病院を今日のような立派な病院にした立役者の日野原先生。しかし、ちっとも偉ぶらない。日本の医師は偉ぶる人がいるが、アメリカ留学で日野原先生は、アメリカ医学は医師と患者は全く対等。アメリカの医師は偉ぶらないという。
この本は、死やボランティア、医学、等々、主に先生の日頃の医師の眼差しを通して見た、新たな視点が窺え、興味深い。医師や看護師を目指す人、病に伏す人、その家族等々、読んで余りある、深い示唆に富む本である。