正しい食事を考える会

食が乱れている中どういう食事が正しいのかをみんなで考え、それを実践する方法を考える会にしたいと思います。

稲の知識ー2.遺伝子、免疫関係

2010-12-31 | 食事教育
稲の知識ー2. 遺伝子、免疫関係
前稿「稲の知識ー1. 稲作は2000年連作しても問題が無い」の続きです。

ムギネ酸の遺伝子発見
「“荒れ地”と呼ばれるアルカリ土壌の土地では、イネなどの作物はほとんど育たない。土がアルカリ性だと、植物が栄養としての鉄分を吸収することが出来ないからだ。だが、弱いアルカリ土壌ならば、大麦は育つことが多い。そこで、森敏・東京大大学院農学部教授は、2001年、大麦が鉄分を吸収するため根から出す物質「ムギネ酸」に着目。合成される経路、関係する遺伝子を突き止め、「荒れ土に強い」新種のイネを作り出すなど、国内の植物バイオテクノロジーの先陣を切ってきた。
森教授は、ムギネ酸がアミノ酸の一種である「メチオニン」から作られることを突き止めた。
「インド北部やタイの山岳地帯など、世界の陸地の25%はアルカリ土壌。そんな土地でもイネなど作物を作れるようにしたい」と語る。
ケイ素 イネが丈夫に生育するために欠かせないのが「ケイ素」。
農作物に重要な栄養素で、特にイネが倒れにくくなったり、病害虫にかかりにくくなる。
馬建鋒・岡山大学教授はケイ素を吸収する働きを持つ遺伝子を突き止めた。
研究グループは、ケイ素を吸収しない突然変異したイネと通常のイネの遺伝子を比べた。『Lsi2』というイネの根で働く遺伝子が、ケイ素の吸収に関係していることを突き止めた。出穂前後にはこの遺伝子が増えていることがわかった。
成果は2007年7/12のネイチャーに掲載。
・野菜にこの遺伝子を導入すれば、病害虫に強くなり農薬使用量を減らせる。
・この遺伝子を抑えると、飼料やバイオエタノール原料として、柔らかいイネのわらが得られる。
馬教授らは、ケイ素吸収に関わる遺伝子で、土壌からケイ素を吸収する役割を持つ『Lsi1』を2006年に見つけている。
発芽 低温でも発芽する遺伝子
ホクレン協同組合連合会と農業生物資源研究所のチームが2007年9/22の日本育種学会で発表。
研究チームは、気温が低くても発芽するイタリアの特定品種のゲノム情報を、直まき用に開発された品種「はやまさり」と比較。その結果、三番染色体にある「qLTG-3-1」と呼ばれる遺伝子が、イタリア品種では働いているのに対し、「はやまさり」ではDNA塩基配列の一部が欠損し、働いていないことが分かった。
開花しない 2007年9/19、開花せず花粉を飛散させにくいイネの突然変異体を農業・食品産業技術総合研究所が発見したと発表。
イネは開花時、花びらに相当する「りんぴ」という器官が膨らんで、花粉を作るおしべの先の器官が露出する。
「台中65号」という品種のイネからおしべの先が露出せず、鼻が閉じたままで受粉する突然変異体を見つけた
トランスポゾン 高さ5cmのイネ
2000年、農水省農業生物資源研究所は背の高さが通常の1/20以下という極めて小さな“ミニチュアイネ”を開発した。穂が出る時期になっても5cmにしか育たないため、風に倒れにくくなり収穫量の増加が期待できるという。研究チームは特殊な条件でふつうのイネを培養して、イネが持っている遺伝子の一部の働きを抑えることで、新種のイネを作り出すことに成功した。
イネの遺伝子の働きを抑えるために、研究グループはイネの中で通常は寝ている『トランスポゾン』と呼ばれる遺伝子を利用した。
トランスポゾンは「動く遺伝子」と呼ばれ、ほかの遺伝子の様々な場所に潜り込んで、その働きを抑える。イネを特殊な条件下で培養することでトランスポゾンを目覚めさせ、遺伝子のいくつかを破壊し、背丈が極端に低く、葉の面積が広いイネを作り出した。
稲の成長に関わるジベレリンと呼ばれる植物ホルモンなどの合成が妨げられたことが原因と見られるが、どの遺伝子が壊れ、どのような仕組みでなったのかは分からない。
今回の技術は外部から遺伝子を導入して、作物に有益な性質を持たせる遺伝子組み替え技術とは異なり、作物そのものが本来持っている遺伝子を利用して、新しい品種を生み出せるため、普及する可能性が大きい。
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2009年、京都大学の谷坂隆俊教授と米ジョージア大学のチームは、動く遺伝子と呼ばれる「トランスポゾン」によって、イネが低温や煙害など環境ストレスに耐える力を高める仕組みを解明した。
成果はネイチャー電子版(10/22)に発表。
トランスポゾンは他の遺伝子の様々な場所に潜んで、その働きを変える機能などがある。イネではゲノム(全遺伝情報)の35%を占める。
研究チームは、「mping」というトランスポゾンが1000個以上あり、他の遺伝子部分に潜り込みやすい「銀坊主」という品種のイネと、トランスポゾンが50個しかない「日本晴」を比べた。
4℃の低温環境や、海水の約1/3の塩分濃度の水を与えるなどの方法でストレスを苦合え、mpingの移動先や影響を調べた。
銀坊主ではとトランスポゾンの移動の結果、ストレスに反応して働く20個の遺伝子のうち7割が活発化した。移動先は遺伝子の働きを制御する転写調節領域が多かった。移動先に近い、他のストレス応答遺伝子も書き込んで活発化させていることも分かった。
カドミウム 2008年、農業環境技術研究所と農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターは、カドミウムを吸収しにくいイネを開発した。
玄米に含まれるカドミウムの濃度が、通常の半分程度になる。
開発したイネはカドミウムを吸収しにくいアフリカ産の陸稲「LAC23」に「ふくひびき」を掛け合わせて日本でも米が収穫できる。
汚染土壌で栽培しても玄米に含まれるカドミウム濃度が0.4ppm前後と、標準的な「ひとめぼれ」の半分程度に抑えられた。
国際基準では精米に含まれるカドミウム濃度が0.4ppm以下。
バイオエタノール 2009年3/25、農業環境技術研究所は、セルロース系バイオマスも飼料用イネからバイオエタノールを生産する技術を開発した。
糖にしやすい穂の部分だけでなく、分解が難しい葉や茎を含めたイネ全体を処理できる。
飼料用作物を酵素で糖に分解し、乳酸発酵させる発行貯蔵技術が牛の飼料生産法として国内で普及している。新技術は之を改良、糖をエタノールにすr酵母を加え、酵素を増やした。
劣化? 2009年、大成建設とサッポロビールの研究チームは、バイオ燃料の原料となる稲ワラが屋外で雨や雪にさらされても品質が劣化しないことを突き止めた。
専用の倉庫で保管しても屋外で保管しても含有成分が変わらず、コストが安い屋外保存で十分としている。
雑草 オモダカ→スーパー雑草の1つで、除草剤が効かない雑草。
田んぼに「オモダカ」が発生、抜いてもすぐに生える。手作業で抜くしかない。
中央農業研究センターの調べでは、遺伝子の一部が変化していた。
SU剤という除草剤が効かない。
オモダカなど17種類が見つかっている。
オモダカは水田や湿地などに生える多年草。クワイはオモダカの変種で球茎を食用にするが、オモダカの球茎は小さすぎて役に立たない。
アルミニウム 2010年、岡山大学の馬建鋒教授らは植物の成長を妨げるアルミニウムを、細胞内に取り込んで隔離するタンパク質をイネから発見した。
アルミの影響が強くなる酸性土壌でも育ちやすい植物の開発につながる。
研究チームはイネの根の細胞膜に含まれるタンパク質「Nrat1」を発見した。
Nrat1はアルミイオンを運ぶ性質を持つ。
日本のイネはアルミを含む土壌でも育ちやすい。
アルミは地中に最も多く含まれる金属だが、酸性の土壌では植物の根が伸びるのをジャマする性質を持つ。酸性土壌は熱帯や亜熱帯に多く、世界の耕作地面積の3~4割を占める。
コムギ、豆類はアルミに弱く、アルミはアジサイなどの花の色を変える性質もある。

3393種 生理現象関与タンパク
2010年、理化学研究所の白須賢グループディレクターらと慶応技術大学。先端生命科学研究所はイネのタンパク質を大規模に分析し、「リン酸化」という現象を起こしているタンパク質を3393種類特定特定した。シロイヌナズナという別のモデル植物と比べたところ、半数以上が共通していた。
リン酸化は特定のアミノ酸にリン酸がくっつく現象で、光合成など植物の様々な生理現象に関与していると考えられている。


BPA ビスフェノールA
2008年、高橋美佐・広島大学助教授のグループは、イネなどの植物にBPAを吸収する作用があることを発見した。
いもち病 2009年、農業生物資源研究所、愛知県農業総合試験場などのグループはイネのいもち病に強い遺伝子の新タイプを発見した。
研究成果は8/21付けのサイエンスに掲載。
いもち病は葉にカビが広がり、穂が折れる病害で、国内被害額は年間100億円という。
今回発見した遺伝子は日本の陸稲から発見し、『陸稲型pi21』と呼ぶ。
陸稲型pi21のすぐ近くに食味を落とす原因遺伝子があることも突き止めた。
これを応用し、いもち病に感染しても収量が落ちずに、味もコシヒカリと同等の品種を交配で開発した。
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2009年、東京農工大の森山祐充講師は、イネいもち病菌の働きを抑えるウイルスを発見した。発見したのは菌に特異的に感染する「マイコウイルス」。
国際特許を出願した。
マイコウイルスはパン酵母を使って培養できるという。パン酵母を粉末状にして散布すれば、通常の農薬並みに使える。
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微生物農薬
イネの種子を消毒して病害を防ぐ。主成分である有用菌が種子のまわりで繁殖し、有害菌が侵入するのをジャマする。
出光興産の「タフブロック」の主成分[タラロマイセス・フラバス]は栃木県の農業試験場で見つけた菌。
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(自然免疫システム)
2010年、奈良県先端科学技術大学院大学の島本功教授と陳楽天研究員らは、いもち病などの病気に強いイネを作ることに成功した。
植物が病原体に対抗して働かせる免疫システムで重要なタンパク質を特定。これをイネで通常の5倍に増やすと、いもち病に体する抵抗力が2~3割アップした。
成果はセル・アンド・マイクロープ(電子版)に掲載。
植物は侵入した細菌やウイルスから身を守る「自然免疫システム」を備えている。イネでは免疫のスイッチを入れる『OsRac1』や病原体を認識する『CERK1受容体』などのタンパク質が働く。
研究チームは、これらのタンパク質と結合して働く「Hop」(=Sti1)や「Hsp90」というタンパク質を見つけた。
この2つは、CERK1受容体を小胞体という細胞内器官から細胞膜に運ぶ際の介添え役として働いていた。
Hopを働かなくすると、細胞膜に受容体が運ばれなくなった。
イネを遺伝子操作し、Hopの量を増やしたうえで、いもち病のカビを感染させ2週間後に調べた。Hop量を通常の約5倍にすると、カビの広がる速さが2~3割おそくなり、いもち病への抵抗力が強まった。
いもち病はカビが感染して起こるが、最近が原因の白葉枯れ病やウイルスにもHopが働くという。
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免疫機能
2010年、奈良先端科学技術大学院大学と農業・食品産業技術同号研究センターは、イネにいもち病が感染した際に免疫システムが活性化する仕組みを突き止めた。
病原体のセンサーである「抵抗性タンパク質」が働いて免疫防御のスイッチが入り、病気に対する抵抗性を獲得していた。
いもち病はカビの一種が原因。奈良先端大の島本功教授と效の洋治助教らはイネの免疫力システムのうち、細胞内で働く抵抗性タンパク質が担う強力な防御機構を調べた。「Pit」といういもち病向けの抵抗性タンパク質が菌の侵入をとらえると活性化し、細胞膜上にある免疫のスイッチ役タンパク質「OsRac1」に結合。同タンパク質も活性化し、殺菌作用のある活性酸素を作るのを促したり、いもち病菌が感染した細胞の自殺を誘導していたりしていた。
OsRac1の機能を人工的に抑えたイネにいもち病菌を汗腺させると、12日後に病斑の大きさが通常の4から5倍になるなど抵抗性が弱まった。
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いもち病に強い遺伝子
2010年、農業生物資源研究所などの研究グループは、イネの穂に発生するいもち病「穂いもち」に強い遺伝子「Pb1」のDNA配列や機能を解明した。この遺伝子は様々な種類の穂いもちに幅広く抵抗性を示すのが特徴。
白葉枯病 2009年、京都大学などは、イネが「セジロウンカ」という昆虫に養分を吸い取られると、白葉枯病にかかりにくくなることを突き止めた。
植物の青臭さの成分がイネで増え、病原菌を抑えていた。
白葉枯病は東南アジアなどで深刻な問題になっている、
セジロウンカは梅雨時に中国から飛来し、針のような口を葉に突き刺して養分を吸う。被害を受けたイネを解析すると『HPL2』という遺伝子が活発化していた。この遺伝子は植物の青臭さや緑茶の香り成分「青葉アルデヒド」を作る際に働く。


関東HD2号 通常のコシヒカリより14日遅く成熟する。夏場の高温の時期を避けて成熟するので、味が良くなるという。
コシヒカリ
関東HD1号 通常のコシヒカリよりも成熟が早い。
佐賀37号 九州全域で生産されている「ひのひかり」は平均気温25℃までだが、「佐賀37号」は27℃の高温でも育つ
コシヒカリ 2010年、農業生物資源研究所は、コシヒカリのゲノム(全遺伝情報)をほぼ解読したと発表。
イネゲノムは2004年に「日本晴」の配列が解読されている。
イネは約3億8000万塩基対の配列を持つ。
コシヒカリと日本晴を比べたところ、塩基が1つだけ異なる一塩基多型(SNP)が約6万7000個見つかった。
http://www.naoru.com/ine44.htm


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