正しい食事を考える会

食が乱れている中どういう食事が正しいのかをみんなで考え、それを実践する方法を考える会にしたいと思います。

日本の改新「貿易と農業 両立可能」ー読売新聞 識者に聞く⑦

2011-01-23 | 食事教育
TPP問題で読売新聞に識者に聞く特集があった。これを転記しながら勉強した。

1月7日に記事 日本の改新「貿易と農業 両立可能」
 第一部 識者に聞く⑦
生源寺真一氏(東大農学部長。北海道農業試験場研究員なども努めた。著書に「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」など。政府の「食と農林漁業の再生実現会議」有識者委員会。59歳)

貿易自由化や日本農業のあり方を巡り、意見の対立が先鋭化している。農業界と産業界、農水省と経産省、与党内の推進派と反対派など二重、三重の構図が深まっている。
 背景には、近年の内向きな農政の議論がある。与野党とも選挙を意識するあまり、農業者の耳に心地よいことばかりを発信してきた。だから環太平洋経済連携協定(TPP)への参加検討に言及した管首相に対し、唐突感への反発が農業者から噴出した。すっかり保護を期待していたのにハシゴを外された気分になった。
 経済界にも数年前までの農協改革への取り組みに理解が有ったと思うが、改革後退への失望感に加えて、リーマン・ショックや不況で余裕がなくなった。
 今重要なのは冷静で現実的な議論だ。日本の農業・農村の現実と置かれた環境を直視しなければならない。TPPを選ぶか、2国間の経済連携協定(EPA)などを選ぶかは別にしても、世界貿易機関(WTO)の流れを見れば早晩、関税など国境措置の引き下げは避けられないだろう
 国内農業は衰退がとまらない。水田農業は作付面積1㌶未満の零細農家が全体の7割を占める。欧州などに比べ競争力に乏しい。平均年齢はすでに66歳だ
 工業を選ぶか、農業を選ぶかの二者択一ではない。貿易と農業の両立を実現するため、農業の強化をいかに急ぐかを話し合うべきだ最大の問題は農政に戦略性がないことだ。10~20年後の農業・農村の姿が見えないことが、農家の不安と反発を強めている
 欧州は自由化をにらみ、能動的・戦略的に改革を進めた。国が農産物を買い支え価格を維持する「消費者負担型」から、支持価格を大胆に下げ、値下がりによる農家の減収分を税で穴埋めする「納税者負担型」にいち早く切り替えた。日本は後手に回っている。
 食料には一定の保護は認められるべきだ。韓国のようにコメの関税だけは守るとの考え方があっても良い。そのためにTPPにしろEPAにしろ、積極的にルール作りから参加すべきだ。優位に交渉を進めれば、特定品目を例外措置とする可能性も出てくるし、農業強化策を打つための移行期間も確保しやすい。仲間作りも欠かせない。韓国や台湾は日本と農業構造が似ている。タイやマレーシアなどもいずれ食糧輸入国となり、日本と同じ悩みを持つだろう。こうした国々と連携し、戦略的な交渉を進める必要がある。

※「納税者負担型」の解説:過剰生産・過剰在庫」に悩んでいた欧州は1992年、農産物価格の値下がりを容認する代わりに、減収分を国が直接農家に補填する「直接支払い」切り替えた。価格が下がれば国際的な価格競争力がつき、自由貿易の流れにも対応できると考えた。日本の農家への個別補償制度も同様の考えkたが底流にある。※

減反やめ手厚い支援を
 日本農政の近年の起点は1999年に策定した「食料・農業・農村基本法」だ。専業的な農家を育てる「担い手」作りなど、基本方向は示されている。コメ流通の自由化も進めてきた。2006年には、水田面積が4㌶以上(都府県)の規模の農家に支援する方針も打ち出した。
 しかし07年に農政の「逆送」「迷走」が始まった。与野党ともに選挙対策優先の政策に流れ始めたのだ。
 民主党も09年の総選挙で、当初は、農家への戸別所得補償制度とともに、経済連携協定締結を強調していた。しかし、農協などの反発でトーンダウンした。
 納税者の負担による直接支払いは、農産物の関税引き下げに有効だ。ただし、今の戸別所得補償はコメ減反の代償措置として合理的な面はあるが、農家の規模拡大や担い手育成を促す点は不十分だ。減反の将来像もはっきりしない 
この際、減反を徐々に解除し、価格低下に対しては専業農家などへの支援を手厚くする方向を考えるべきだ。それが将来の関税引き下げの対応策にもなる。
 農地法は、農業生産法人の要件緩和などで改善の余地が残る。しかし、09年の改正で農地集積の障害は解消できたのではないか。運用上の課題は残る。農地の集積に関わる組織が農業委員会、市町村、農協などに複線化している。これらの組織が改正農地法の利用者重視の理念に沿って機能しているか、検証が必要だろう。
 農協の問題は多岐にわたる。政治への影響力行使が指摘されてきたが、政権交代で政治との関係は大きく変わったと思う。今後は何よりも農業者にとっての農協の存在意義が問われる。政府の農産物価格への関与がほぼ無くなった今、売り手としての農協の役割が問われている。地方の「買い物弱者」支援をする農協も出てきたが、地域の中での役割も考えないといけない。
 見過ごされがちだが、自由化が進めば食品産業への影響も出る。安価な加工品や調整品の輸入拡大は地方の雇用にも重大だ。自由化でどんな利害得失が発生するかの認識を、消費者、産業界、農業界が共有することが大切だ。農業界には「自分のことしか考えていない」という批判がついて回る。これからは都市の暮らしや国民全体の損得にも目を向ける必要がある。
 そんな対話を経て、合理的な根拠を添える貿易ルールの改善を国際的に提案、交渉してゆくことが大事だ。

聞き手:編集委員近藤和行
工業を取るか、農業を選ぶかーー貿易自由化を巡る論争は、「二者択一」の議論に陥りがちだが、TPP問題もそうなりかけている。大切なのは、激変する世界秩序の中で、日本がどうして生き残るかを国を挙げて考えること。農業強化策はその一歩に過ぎない。


一つの参考意見として勉強しましたが、分からないところもありました。


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